上 下
9 / 16

求婚

しおりを挟む
「ディオン様!責任など取らなくていいのです!」

「リディアーヌ、昔王子殿下とディオン様が喧嘩になったのは、ディオン様がリディアーヌに求婚したからなの」

「可愛かったわぁ」

「では?」

「私が貴女をペルマナントに遊びに来ないかと誘っていたのは、ディオンと引き合わせる為なの。ディオンはリディアーヌが忘れられないし、王子とは上手くいっていないようだからと希望を見出してどんな縁談も断ってしまったわ」

「あの夜は」

「リディが行くと聞いて私も参加した。
仮面をつけていても直ぐに分かったよ」

「じゃあ……」

「私はリディを愛しているから屋敷に連れて来た」

「でも…他の令嬢とお付き合いをしたのでしょう」

「諦めなくてはいけないと思ったし、後継も必要だから。割り切って務めを果たす条件のいい令嬢と交際してみたが、結局私に愛を求めるし婚約もしていないのに宝石やドレスを強請りだしたから断った。

試しに体を重ねたこともあったが尽くす気持ちにはならなかった」

「社交界の花となるだろうと言われた令嬢も断ったのよ」

「あまりにも自分が可愛いと勘違いするものだったから『リディの方が可愛いから無理だ』と言ったら泣いて帰っていった」

叔母様の方を見ると苦笑いしている。
きっととても可愛らしい方だったのね。

「ディオン!お前見る目があるな!
リディの方が可愛いに決まっている!」

「リディは義兄上の瞳にそっくりでとても可愛い」

「ディオン!よく分かってるな!
賢い男は好きだ!

そうなんだよ。リディと俺の瞳はそっくりなんだよ」

「義兄上のような方が兄様ならリディも幸せでしょう。全力で守ってくださるのですから」

「そうなんだよ。だけど国王のやつ!息子可愛さに俺をこっちの研究所に推薦しやがって!俺とリディを引き離したんだ!」

「とんでもない奴ですね!
義兄上、遊びにいらした時、ゆっくりリディと話ができるよう専用の部屋を用意します。
いつでもいらしてください」

「そうか!ありがたい!」

お兄様…それでは結婚の許可を出したようなものですよ…

「アベル公認ならなぁ」

「そうですね。他の殿方では命が危ないかもしれませんからね」

「あの~。私には婚約者がいて、今回の事を打ち明けたらどうなるか分からない身なのですが」

「問題ない。

義兄上、その時は一緒に行っていただけますか。私もリディを守りますが義兄上がいてかだされば怖いものはありません」

「勿論一緒に行くぞ!
あのクソ王子を生き埋めにしてやるか」

「義兄上、頼りにしております」

「任せておけ」

「お兄様!」

「リディ。私は王宮主催の剣闘会の優勝者だ。安心しろ」

「ええっ!?学校じゃなくて!?」

「リディに変な虫がつくといけないから留守番だったな。アベルは3回優勝して殿堂入りしたからもう参加出来ないが今でも強いんだ」

「そうなのよ騎士団から何度も誘いがあったけど、リディの側にいることが任務だと言って断ったのよ」

「お兄様!」

久しぶりにお兄様の膝の上に乗ってしがみついた。

「何も知らなくてごめんなさい。いつもありがとうございます」

「可愛い俺のリディ。今思えば近衛に入って王族を根絶やしにするんだったよ」

怖い!怖い!

「お兄様が汚れてしまうのは嫌ですわ。
お兄様とまた遠乗りしたいです」

「リディは馬に乗れるのか」

「リディに一人乗りなどさせるか。
勿論俺が乗せて遠乗りするんだよ」

「良かったな、リディ」

本当にそう思ってる?




「ベルナード兄様、リディアーヌが去ってからどうなったのですか」

「手紙が5通届いたところで開封して、執務は自分でやれと返事を出したら訪ねてきたのでリディアーヌはペルマナントだし婚約は解消すると告げた」

「お父様、ご迷惑をおかけしました」

「リディアーヌにもアベルにもまだ話していないが決着した。その事を知らせて戻ってきても大丈夫だと言うためにここに来た。

陛下が王命を取り下げた。
そして第一王子殿下有責の婚約解消が成された」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

【完結】旦那の病弱な弟が屋敷に来てから俺の優先順位が変わった

丸田ザール
BL
タイトルのままです アーロ(受け)が自分の子供っぽさを周囲に指摘されて素直に直そうと頑張るけど上手くいかない話。 イーサン(攻め)は何時まで生きられるか分からない弟を優先してアーロ(受け)を蔑ろにし過ぎる話 【※上記はあくまで"あらすじ"です。】 後半になるにつれて受けが可哀想になっていきます。受けにも攻めにも非がありますが受けの味方はほぼ攻めしか居ないので可哀想なのは圧倒的受けです ※病弱な弟くんは誰か(男)カップリングになる事はありません 胸糞展開が長く続きますので、苦手な方は注意してください。ハピエンです ざまぁは書きません

【完結】愛することはないと告げられ、最悪の新婚生活が始まりました

紫崎 藍華
恋愛
結婚式で誓われた愛は嘘だった。 初夜を迎える前に夫は別の女性の事が好きだと打ち明けた。

【完結】貴方が浮気した病弱な幼馴染、陛下の愛人みたいですよ

冬月光輝
恋愛
「ヘレナには俺が必要で、俺にはヘレナが必要なんだ」 浮気現場を見られてもなお、お互いに愛し合っていると悪びれない婚約者のケイン。 自分の幼馴染のヘレナは病弱で私よりも大事だという。 そんな彼は私と一方的に別れを告げて婚約破棄。どうやらヘレナは妊娠してるらしい。 「ヘレナに騙された!よりを戻してくれ!」 しかし、ケインはすぐに私に復縁を要請する。 どうやら、ヘレナは陛下の愛人で手を出したのがバレてケインはかなり立場を悪くしたのだとか。 貴方なんて、もう知らない……!

【完結】幼馴染が妹と番えますように

SKYTRICK
BL
校内で人気の美形幼馴染年上アルファ×自分に自信のない無表情オメガ ※一言でも感想嬉しいです!! オメガ性の夕生は子供の頃から幼馴染の丈に恋をしている。丈はのんびりした性格だが心には芯があり、いつだって優しかった。 だが丈は誰もが認める美貌の持ち主で、アルファだ。いつだって皆の中心にいる。俯いてばかりの夕生とはまるで違う。丈に似ているのは妹の愛海だ。彼女は夕生と同じオメガ性だが明るい性格で、容姿も一際綺麗な女の子だ。 それでも夕生は長年丈に片想いをしていた。 しかしある日、夕生は知ってしまう。丈には『好きな子』がいて、それが妹の愛海であることを。 ☆竹田のSSをXのベッターに上げてます ☆こちらは同人誌にします。詳細はXにて。

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番

兎騎かなで
BL
 パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。  美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?   さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。

処理中です...