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拾い主の自覚

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【 ノアム・アルク子爵の視点 】


毎日、朝起きるのが楽しみで、夜寝る時間が来ないで欲しいなどと思っている。

毎日、食事が美味しい。執務室も明るい。庭の花に目が止まる。血が巡り高揚する。

バートやローズのお小言も鳥の囀り並に感じる。
側近達も顔色がいい。使用人達の笑い声も聞こえる。



「ご主人様、徹底的にパトリシア様の関連する物は廃棄しました。改装を始めますか」

「基礎だけにして、後に本人が好きにできる状態にしてくれ」

「かしこまりました」

「ご主人様、ご指示通り、アンジェリーヌ様のお使いになる品は最新の物を購入しました。お気に召さなければ直ぐに別の物に取り替えます」

「任せた。ぬいぐるみはこまめに天日干ししてくれ」

「ご主人様、アンジェリーヌ様はブタのぬいぐるみもお好みかと」

「ブタ?」

「はい。インコ、ヒヨコ、ネコ、イヌ、クマ、ウサギ、リス、ヒツジとありますが、ブタはいないのかと仰っておいででした」

「直ぐに可愛らしいブタを探してくれ」

「かしこまりました」

「ご主人様、アンジェリーヌ様がメイド服が欲しいと仰って、」

「駄目だ。害獣の始末ができないとメイドになれないと言っておいてくれ」

「それは直接、」

「嫌だ。そんなことを言えるか」

「ええ!?」

「任せたぞ」

「かしこまりました。ご主人様」

「何だ」

「いえ、忙しいようですね。失礼しました」

「言ってみろ」

「アンジェリーヌ様がお探しです」

「もっと早く言え!」


早歩きでアンジェリーヌのところへ行くと、

「ノアム様、ちょっと目を貸してください」

「アンジェリーヌ!?」

刺繍糸を私の目の横に合わせて一つ選んだ。

「これが一番ノアム様の瞳の色に近いことが分かりました。ご協力ありがとうございます」

それだけ言うと去っていった。



てっきり刺繍をするのだと思っていたら、小さなクマのぬいぐるみを作って目の部分などを瞳の色と同じ刺繍糸で縫って作っていた。

その日の夜には私の部屋の枕元に置いてあった。
私の髪の色のリボンを首に巻いて。

「どうせならアンジェリーヌの色にすればいいのに」




次の日、娼館から手紙が届いた。
綺麗な新人を雇ったらしく、初日の客になりますかという誘いだった。
 
悩んだが久しぶりだし行くことにした。


「ノアム様、いってらっしゃいませ」

見送りに来たアンジェリーヌはじっと私を見つめていた。

「行ってくる」

「待っていますね」
 
「…自由に過ごしていていいからな」


馬車に乗り、町に出て娼館に着いた。

「いらっしゃいませ。
今回の新人は顔立ちも綺麗ですよ」

そう言いながら部屋まで案内され、中で待つとやってきた女に驚いた。

「ノアム様!」

「……店長」

「お知り合いですか?」

引きこもっていたから町にも来ていなかったし 娼館に連れてくることもない。分からなくて当然か。

「すまないが、この女は駄目だ」

「どうかなさいましたか」

「男爵と浮気して離縁した元妻だ。男爵が引き取ったはずだが」

「なっ!そうとは知らず申し訳ございません!」

「店長のせいではない。きっと飽きて捨てられたのだろう。他の客を取らせてやれ」

「今、別の者を、」

「では前回の娘を」

「リタですね。直ぐに呼びます」

店長はパトリシアを連れて部屋を出た。


男爵の子を孕めなかったのだな。
もしかしたら男爵は種無しかもしれない。



リタはすっかりベテランの仲間入りをしていた。
拙さはほぼなくなり、戸惑うことなく咥えて勃たせている。気持ちいいところを探るように。

そして跨り腰を落とした。
たくさん客をとったであろう身体もパトリシアよりは締まりがいい。

リタは腰を止めてモジモジしだした。

「どうした」

「申し訳ございません。旦那様を差し置いて…」

イキそうだということのようだ。

「気にせず動いてくれ」

「はい」

胸を揺らしながら腰を振り続け、陰茎を強く締め付けた。

「んんっ!!」

体勢を逆転させリタの腰を掴みナカを捏ね回した。

「ああっ!!ダメっ!!まだっ!!」

快楽の高波を荒波に変えるかのように奥を攻め立てた。

リタが声が枯れるほど喘いでいるのは分かっていたが、痙攣中の膣に構うことなく体力の限り突き上げ捏ね回した。

本気で逃げようとする身体を押さえつけて。


ビュルッ ビュルッ ビュルッ ビュルッ … …


出し切って、膣から抜くとリタはぐったりしていた。
息もあるし脈もある。


身支度をして、多めに金を払った。

「店長、すまない。失神させてしまった。
今日はこれであのまま休ませてやってくれ」

「申し訳ございません」

「いや、私が無理をさせた」

「有り難く頂戴いたします」



屋敷に戻るとアンジェリーヌが笑顔で出迎えた。

「お帰りなさいませ」

「ただいま」

このときにしっかりと確信した。

俺はアンジェリーヌが好きなのだと。


さっきはリタが達したときにアンジェリーヌが達したときに指に感じた感触を思い出し、リタを組み敷きアンジェリーヌだと思って攻め立てた。

目の前の女はリタではない。アンジェリーヌだと思って乱し押さえつけ、他の男を望まないよう執拗に快楽を与え続け、そして孕ませるつもりで出し切った。

失神したリタを見て、泣いてよがり 俺の名を呼び 搾り取るように食らいついて離さない膣で子種を受け止めたのがアンジェリーヌだったらと願った。

屋敷で出迎えた本物のアンジェリーヌを見て抱きたいと思った。さっき満足した気でいたが、やはり本物でないと駄目だと悟った。

彼女のこの瞳が この唇が 私を揺さぶってしまう。



そして次の日の午後、アンジェリーヌは倒れた。
読みかけの本のページはブランパーン大公について記載があった。


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