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二つ名をつけられるリオ

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リオは逃げるように領地に向かい、私はサットン邸にいる。

まだまだ長期休暇が始まったばかり。
だけどシメオン様の新しいお嫁さん探しや、ペーズリー様が嫁ぐ準備が始まった。ケイン様はお仕事がある。

もしかしてリオと領地に行った方が良かったかしらなんて思っていると、長男シメオン様が居間にいる私とペーズリー様を見つけた。

シ「ペーズリー、サラ、夜会に出るぞ」

ぺ・私「ええ~」

シ「今の歳頃は二度と戻って来ないのに楽しまないのは損だぞ?」

ぺ・私「面倒臭い~」

シ「本当に仲がいいな。それにペーズリーに嫁探しを手伝ってもらわないと」

ぺ・私「あ~」

シ「妹達からその顔をされるとは。お兄ちゃんは悲しいよ」

ぺ・私「……」


シメオン様が甘え上手なことが分かった。
仕方なく夜会には来たが、シメオン様は両手に花状態でニコニコと満足そうだ。

私「シメオン様、未来の花嫁が逃げますわよ」

シ「仕方ないだろう。私は幸せを感じているんだ。可愛い妹達にエスコート嬉しいよ。
婚約してデビューしてからは悪魔のエスコート。遂には社交界から姿を隠さねばならなかった。
ああ!この空気。懐かしい」

ぺ「お兄様ったら」

シ「それに可愛い妹達に囲まれていたら新しい嫁が来なくても構わないよ」

ぺ「娘は要らないの?」

シ「養女でもいい」

ぺ「まったく…」

シ「お、ジェームズ!」

ジェ「シメオン!やっと戻ったか」

シ「エクソシスト侯爵のおかげだよ」

ジェ「エクソシスト侯爵?」

シメオン様が下剤混入を見破ったリオの話をした。

ジェ「なるほど。そりゃエクソシスト侯爵と呼ばれるな。

ペーズリー嬢、久しぶりだね。
騎士の誓い、見ていたよ。良かったね」

ぺ「悪魔祓いをして優勝もして、彼は本当に素敵です」

ジェ「エクソシスト侯爵は優勝者と同一人物か。
すごいじゃないか」

シ「そうなんだよ。つるぎを持ったエクソシスト侯爵なんてカッコいいだろう?」

ジェ「その侯爵は?」

シ「領地に

気付いていたのね。シメオン様ったらしつこくリオを撫で回していたから。

“俺の天使~! 悪魔祓いをありがとう~!”

リオの肩を抱き、頭や額にたくさんキスしていたもの。リオを呼んだり会いたいからと私とペーズリー様を連れてガードナー邸に押しかけリオを愛でるし。
リオも純粋な好意には冷たくできなかったから領地へ逃げてしまった。

ジェ「シメオン。彼女を紹介してくれ」

シ「彼女は侯爵家の長女、サラ・ガードナー。妹の親友だ。サラ、彼は伯爵家の次男、ジェームズ・フィフセルナ。学友だよ」

ジェ「ごきげんよう。サラ嬢とお呼びしても?」

私「あ、はい」

ジェ「私のこともジェームズと。しかし可愛い令嬢を両手にだらしない顔をしているな」

シ「そりゃ、だらしなくもなるさ」

ジェ「サラ嬢。ダンスを申し込んでもいいかな?」

私「パートナーの女性はどうなさいましたか」

ジェ「えっ」

私「パートナーの方が良いと仰ればぜひ」

シ「ジェームズ、ペーズリーと踊ってくれ。
サラ。踊っていただけますか」

私「喜んで」

シメオン様の手を取りダンスホールへ移動した。

曲に乗せてステップを踏み始めるとシメオン様が苦笑いした。

「サラ。こんなに上手く踊られたら私が下手なのが丸分かりだよ」

「気のせいですわ」

「すごい講師でも雇ってるの?」

「いえ。母に会う度に指導を受けるだけです。結構厳しいですけど」

「ならリオも上手いんだね」

「そうかもしれません」

「ケインとは踊った?」

「いえ。機会がありませんし」

「駄目なやつだなぁ」

「私は学生ですし、ケイン様はお仕事がありますし、それに余計な者はいない方がいいのです。ケイン様にも素敵な出会いが必要ですから」

「ケインが探してるって?」

「いえ。適齢期ですし、王族専属騎士でサットン家のご令息ならお嫁さんを探していらっしゃるかと。
おモテになるようですから、ケイン様がお気に召すかどうかだとは思いますが。
いくら妹の様な存在でも、そこに私がいては未来のお嫁さんは気分のいいものではないでしょう」

「ん~」



サットン邸に戻るとお祖父様とケイン様が待っていた。

将「お帰り」

「ただいま戻りました」

ソファに座り肘掛けにもたれかかった。

ケ「サラ?」

ケイン様が私を覗き込んだ。

シ「あ~、紹介して回ってたら少し飲み過ぎたんだ。この子、強いよ。ジェームズがギブアップした」

ケ「兄上、何やってるんですか!彼は酒豪だったでしょう!」

ケインはサラを抱き上げて部屋へ運んだ。
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