22 / 73
拒絶
しおりを挟む
仕方なく朝食を口にするが味があまり感じられないし飲み込み辛かった。
二口目で諦めた。
正直もうここには居たくない。王都の屋敷も嫌だ。
学園も行きたくない。
何処へ行けば良いのか全く分からない。
無駄に小綺麗に生まれてしまって悔やんでいる。
女に生まれたことも悔やんでいる。
だが、最後の足掻きはしておこう。
居間に行くと何やら会議をしていたようだ。
「おはようございます。
先程、イザーク殿下から決め事があると伺いましたが、何か早急に決めることがございますか」
閣「座ってくれ」
お母様やリオの側ではなく、離れた一人がけのソファに座った。
閣「先ず、ユリス殿下のことだが、嫁ぎたくないということでいいんだね?」
私「まあ、資格がありませんのでユリス殿下にはハッキリとお断りしました。
そして私は誰とも結婚する気はありません」
リ「サラ」
母「そういうわけには」
私「私が結婚して縁を繋がないとガードナー家が困りますか」
母「違うわ」
私「ではお断りします」
イ「結婚しないでどうするのかな?」
私「昨日の今日で妙案など出ません」
母「サラ。その態度は何ですか」
私「勝手に決めると仰ったので顔を出しました。
本当ならこの部屋に入りたくもありません。
屋敷から出て行きたいくらいです」
母「サラ!」
私「お母様、私の心は怒りで満ちています。
何を口にするか分りません。ですので話を進めませんか」
母「っ!」
リ「サラ、俺と結婚しよう」
私「嫌です」
リ「サラ」
私「何の意味がありますか?政略にさえなりませんよ」
リ「黙っていたのも、勝手に動いていたのも悪かった。許してくれないか」
私「無理です。私は以前に諦めに近い形で許したのですよ?ガードナー侯爵」
リ「サラ…そんな呼び方は止めてくれ」
私「私と侯爵は血がつながらず、家族だとも思っていないから結婚などというのですよね?
私は恋人でもありません。友人でもありません。
ならば侯爵とお呼びするのは当然ではありませんか?」
リ「っ!」
閣「時間が必要のようだ。元凶は私だからな。
サラ。本当に申し訳なかった。
あの時は子ができれば諦めて婚姻を承諾してもらえると思った。
だがソフィアは違う可能性を危惧した。
結果、ソフィアに辛い思いをさせた。
亡くなったガードナー侯爵がサラを愛し可愛がってくれたから実子じゃなかったと聞かされて辛いのだろう。だが、彼のサラに対する愛が消えるわけじゃない」
ポタポタと大粒の涙が溢れ出た。
閣「結婚したくないならその道で支援をしよう」
リ「閣下!」
閣「君の想いは分かったが、サラに無理強いはできない。ソフィアもいいね?」
母「はい」
閣「選択肢として頭に入れて欲しい。
もしリオと結婚する場合は、サラをブランパーン家の籍に移す。妻と話し合ったが、嫁ぐためなら受け入れると言ってくれた。
あと、弟が2人いる。異母弟だ。忘れないで欲しい」
私「はい」
閣「ソフィア。昨日も話したが、サラを連れて公爵家にも戻れる」
母「はい」
閣「明日、国へ帰るつもりだ。また会いに来る」
大公閣下とイザーク殿下は翌朝出発なさった。
一応、イザーク殿下には謝っておいた。
そして2日後の朝、私とリオは王都へ戻った。
【 ブランパーン大公の視点 】
馬車が出発すると大きな溜息を吐いた。
「はあ~、嫌われた~」
「叔父上」
「当時15歳のソフィアを婚約もしていないのに孕ませたのだから、普通はあの反応だよな」
「ま、まあ、そうですね」
「くぁ~! 娘怖い!」
「叔父上…」
「グッサグッサ刺してくるんだな、息子達とは大違いだ。手を繋いで散歩したり膝の上に乗せたりできると思っていたのに」
「それ、やるなら10年以上前ですね」
「遅過ぎたよなぁ~」
「まあ、遅過ぎですね」
あれから貴族派と距離を縮めて、公爵家にもソフィアとサラの情報を渡して普通に話ができるまでになった。孕ませていたと告げた時には殴られたけど。
妻には長男が成人してようやくサラのことを承諾してもらえて……待てよ?
「もしかして、長男との歳の差があまり離れていないのもいわれるのか」
「まあ、ソフィア叔母上が叔父上の子を産んでいる時に他の女に種付けしてたら、娘は良しとはしないでしょうね」
「あれ以上冷たくされたら立ち直れないよ」
「されるでしょうね」
「アーッ!!」
「止めてくださいよ。馬が驚くでしょう」
「はあ。可愛かったなぁ。顔立ちはソフィア似だけど髪の色も瞳の色も私と同じだし」
「可愛かったですね。笑ってくれたらもっと可愛かったでしょうね」
「戻ろうかな」
「駄目ですよ」
二口目で諦めた。
正直もうここには居たくない。王都の屋敷も嫌だ。
学園も行きたくない。
何処へ行けば良いのか全く分からない。
無駄に小綺麗に生まれてしまって悔やんでいる。
女に生まれたことも悔やんでいる。
だが、最後の足掻きはしておこう。
居間に行くと何やら会議をしていたようだ。
「おはようございます。
先程、イザーク殿下から決め事があると伺いましたが、何か早急に決めることがございますか」
閣「座ってくれ」
お母様やリオの側ではなく、離れた一人がけのソファに座った。
閣「先ず、ユリス殿下のことだが、嫁ぎたくないということでいいんだね?」
私「まあ、資格がありませんのでユリス殿下にはハッキリとお断りしました。
そして私は誰とも結婚する気はありません」
リ「サラ」
母「そういうわけには」
私「私が結婚して縁を繋がないとガードナー家が困りますか」
母「違うわ」
私「ではお断りします」
イ「結婚しないでどうするのかな?」
私「昨日の今日で妙案など出ません」
母「サラ。その態度は何ですか」
私「勝手に決めると仰ったので顔を出しました。
本当ならこの部屋に入りたくもありません。
屋敷から出て行きたいくらいです」
母「サラ!」
私「お母様、私の心は怒りで満ちています。
何を口にするか分りません。ですので話を進めませんか」
母「っ!」
リ「サラ、俺と結婚しよう」
私「嫌です」
リ「サラ」
私「何の意味がありますか?政略にさえなりませんよ」
リ「黙っていたのも、勝手に動いていたのも悪かった。許してくれないか」
私「無理です。私は以前に諦めに近い形で許したのですよ?ガードナー侯爵」
リ「サラ…そんな呼び方は止めてくれ」
私「私と侯爵は血がつながらず、家族だとも思っていないから結婚などというのですよね?
私は恋人でもありません。友人でもありません。
ならば侯爵とお呼びするのは当然ではありませんか?」
リ「っ!」
閣「時間が必要のようだ。元凶は私だからな。
サラ。本当に申し訳なかった。
あの時は子ができれば諦めて婚姻を承諾してもらえると思った。
だがソフィアは違う可能性を危惧した。
結果、ソフィアに辛い思いをさせた。
亡くなったガードナー侯爵がサラを愛し可愛がってくれたから実子じゃなかったと聞かされて辛いのだろう。だが、彼のサラに対する愛が消えるわけじゃない」
ポタポタと大粒の涙が溢れ出た。
閣「結婚したくないならその道で支援をしよう」
リ「閣下!」
閣「君の想いは分かったが、サラに無理強いはできない。ソフィアもいいね?」
母「はい」
閣「選択肢として頭に入れて欲しい。
もしリオと結婚する場合は、サラをブランパーン家の籍に移す。妻と話し合ったが、嫁ぐためなら受け入れると言ってくれた。
あと、弟が2人いる。異母弟だ。忘れないで欲しい」
私「はい」
閣「ソフィア。昨日も話したが、サラを連れて公爵家にも戻れる」
母「はい」
閣「明日、国へ帰るつもりだ。また会いに来る」
大公閣下とイザーク殿下は翌朝出発なさった。
一応、イザーク殿下には謝っておいた。
そして2日後の朝、私とリオは王都へ戻った。
【 ブランパーン大公の視点 】
馬車が出発すると大きな溜息を吐いた。
「はあ~、嫌われた~」
「叔父上」
「当時15歳のソフィアを婚約もしていないのに孕ませたのだから、普通はあの反応だよな」
「ま、まあ、そうですね」
「くぁ~! 娘怖い!」
「叔父上…」
「グッサグッサ刺してくるんだな、息子達とは大違いだ。手を繋いで散歩したり膝の上に乗せたりできると思っていたのに」
「それ、やるなら10年以上前ですね」
「遅過ぎたよなぁ~」
「まあ、遅過ぎですね」
あれから貴族派と距離を縮めて、公爵家にもソフィアとサラの情報を渡して普通に話ができるまでになった。孕ませていたと告げた時には殴られたけど。
妻には長男が成人してようやくサラのことを承諾してもらえて……待てよ?
「もしかして、長男との歳の差があまり離れていないのもいわれるのか」
「まあ、ソフィア叔母上が叔父上の子を産んでいる時に他の女に種付けしてたら、娘は良しとはしないでしょうね」
「あれ以上冷たくされたら立ち直れないよ」
「されるでしょうね」
「アーッ!!」
「止めてくださいよ。馬が驚くでしょう」
「はあ。可愛かったなぁ。顔立ちはソフィア似だけど髪の色も瞳の色も私と同じだし」
「可愛かったですね。笑ってくれたらもっと可愛かったでしょうね」
「戻ろうかな」
「駄目ですよ」
801
お気に入りに追加
1,634
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛する貴方の愛する彼女の愛する人から愛されています
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「ユスティーナ様、ごめんなさい。今日はレナードとお茶をしたい気分だからお借りしますね」
先に彼とお茶の約束していたのは私なのに……。
「ジュディットがどうしても二人きりが良いと聞かなくてな」「すまない」貴方はそう言って、婚約者の私ではなく、何時も彼女を優先させる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
公爵令嬢のユスティーナには愛する婚約者の第二王子であるレナードがいる。
だがレナードには、恋慕する女性がいた。その女性は侯爵令嬢のジュディット。絶世の美女と呼ばれている彼女は、彼の兄である王太子のヴォルフラムの婚約者だった。
そんなジュディットは、事ある事にレナードの元を訪れてはユスティーナとレナードとの仲を邪魔してくる。だがレナードは彼女を諌めるどころか、彼女を庇い彼女を何時も優先させる。例えユスティーナがレナードと先に約束をしていたとしても、ジュディットが一言言えば彼は彼女の言いなりだ。だがそんなジュディットは、実は自分の婚約者のヴォルフラムにぞっこんだった。だがしかし、ヴォルフラムはジュディットに全く関心がないようで、相手にされていない。どうやらヴォルフラムにも別に想う女性がいるようで……。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
わたしの婚約者の好きな人
風見ゆうみ
恋愛
わたし、アザレア・ミノン伯爵令嬢には、2つ年上のビトイ・ノーマン伯爵令息という婚約者がいる。
彼は、昔からわたしのお姉様が好きだった。
お姉様が既婚者になった今でも…。
そんなある日、仕事の出張先で義兄が事故にあい、その地で入院する為、邸にしばらく帰れなくなってしまった。
その間、実家に帰ってきたお姉様を目当てに、ビトイはやって来た。
拒んでいるふりをしながらも、まんざらでもない、お姉様。
そして、わたしは見たくもないものを見てしまう――
※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる