上 下
29 / 37

呪い

しおりを挟む
パパと一緒に陛下に会いに出向いた。
部屋に入るとアイザックもいた。


陛「他言はできない。いいかな」

父「はい」

私「はい」

陛「歴代の国王の日記を読み返した中に アイザックとシルビアちゃんに起こっていることの原因の記述があった。

だが、これは信じ難い内容になる。

かなり昔、第一王子が問題を起こした。
婚約者がいるのに他の令嬢に現を抜かしてしまった。
王子は婚約者の令嬢に冷たく当たり、ついに言い争いになって 王子が振り払った勢いで婚約者は階段から落ちてしまった。

4日後に意識を取り戻した令嬢は、ほとんどの記憶を無くしていた。

その令嬢は自分は別の世界から来たと主張した。
宗教にとても傾倒した国で、悪魔とか呪術なども存在する世界だと話した。

だが身体は令嬢だった。
ほとんどの者が信じなかったが、令嬢の母親だけは信じた。

結局 第一王子は謝罪をして婚約は維持された。
それは第二王子の方が優秀だと囁かれていて、婚約が無くなったら次期国王の座は第二王子になると知らされた第一王子が謝罪をして、浮気相手とは別れると言ったからだ。

令嬢の当主も娘を王妃にしたくて、謝罪を受け入れた。だが令嬢は結婚したくないと拒否していた。

令嬢のいた世界も王族や貴族のいる世界で、当主に逆らうことはできないと心得ていた。だから仕方なく受け入れた。

婚姻の儀が済み、夫婦となった。
だが、第一王子は初夜をすっぽかした。

浮気相手と別れておらず、女を城に呼んでおいて女が泊まっている客室で情事を楽しんでいた。

翌日、その報告を受けた国王が第一王子を叱り付け、第一王子の正妃に謝罪した。

だが、彼女は許さないと答えた。

その夜、改めて初夜を行うために部屋に入った王子はベッドの上に置いてある手紙を手に取った。
開けた瞬間に呪術が発動した。

手紙には

“私は遠くへ旅立ちます。
午前0時から夜明けまで、貴方は否応なしに私の元へ飛ばされるでしょう。
晴天、もしくは多少の曇り空の日に発動します。

ちなみに、私の元に飛ばされたときに私の命を狙うと、貴方は私が死んだその場所から離れることはできません”

と書いてあった。
誰も信じなかったが、次の夜 午前0時になると王子は消え、夜明けと共に戻ってきた。

向こうで何があったのか、王子は口を割らなかった。
愛人は、ほとんど夜を過ごせない王子を捨てた。

一年後、王子は赤子を抱えて戻ってきた。
王子には似ているが、正妃の子ではないと言う。

そこで初めて飛ばされた先で何があったのかが分かった。

正妃の逃げ込んだ先は悪魔崇拝者達のアジトだった。
呪術を使える彼女を悪魔崇拝者達は崇めた。

行く度に生贄の血を浴び、得体の知れないものを飲まされ、見知らぬ女を孕ませろと命じられた。
体は強制的に導かれる。

結果 女は男児を産んだ。

何故かその世代の王子三人は男児に恵まれず、第一王子が連れ帰った子を跡継ぎとする他なかった」

ア「つまり我ら王族は、その時の子の子孫ということですか」

陛「そういうことだ。

昔の呪いが何故かアイザックに発現した。
理由は分からない」

私「婚約者がいるのにが酷かったからじゃないですか」

ア「シルビア、今はそんなことはしていない」

私「呪いは解けないのですか」

陛「次の代の日記にも解術の記述はない。
呪われた王子は死ぬまで飛ばされ続けたようだ」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

不妊を理由に離縁されて、うっかり妊娠して幸せになる話

七辻ゆゆ
恋愛
「妊娠できない」ではなく「妊娠しづらい」と診断されたのですが、王太子である夫にとってその違いは意味がなかったようです。 離縁されてのんびりしたり、お菓子づくりに協力したりしていたのですが、年下の彼とどうしてこんなことに!?

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

(完結)王家の血筋の令嬢は路上で孤児のように倒れる

青空一夏
恋愛
父親が亡くなってから実の母と妹に虐げられてきた主人公。冬の雪が舞い落ちる日に、仕事を探してこいと言われて当てもなく歩き回るうちに路上に倒れてしまう。そこから、はじめる意外な展開。 ハッピーエンド。ショートショートなので、あまり入り組んでいない設定です。ご都合主義。 Hotランキング21位(10/28 60,362pt  12:18時点)

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

だからもう…

詩織
恋愛
ずっと好きだった人に告白してやっと付き合えることになったのに、彼はいつも他の人といる。

処理中です...