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兄様 カッコいい!
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普通令嬢の身支度とかは男は入れないんじゃないの?
まあ、色気も胸も無いからアイザックをそのまま居させるんでしょうけど。
だったら夜中の護衛も要らないのでは?
「さあ、できましたわ」
「とても素敵ですわ シルビア様」
「大丈夫よ。私の容姿は平凡で色気も無く胸も小さいのは分かっているわ」
「「シルビア様…」」
「……」
貴族の控室に案内されるとパパとママとカイン兄様がいた。
「シル」
「兄様!」
「シルビア、素敵よ」
「シーちゃん可愛い」
兄様にハグされ、ママにハグされ、そしてパパがハグして離さない。
「お兄様、午前中にヘンリー様と知り合いました」
え? 何で周りの貴族達がこっち見るの?
「ヘンリー? 誰だ?」
「お兄様と一緒の研究所の学生だと、」
「ヘンリーって、あのコーデュロウ殿か!?」
「眼鏡をかけたヘンリー・コーデュロウ様です」
「ヘンリーと呼んでいいと言われたのか?」
「はい。名前で呼び合うことになりました」
「どうやって知り合った」
まさか、頭に乗せていた眼鏡を探していたなんて言えないわね。
「探し物をしていらして、困っているのかなと思い声をかけました。最初は着飾った庭師かと思ったのですが」
家族の皆様、他人の皆様、そんなに驚くことですか?
「記憶が無いとは無敵だな」
「記憶があっても知らないわよ」
ママ。酷い。
「シーちゃん 可愛い」
パパ好き。
「普通の感じの良い優しい人でした」
「は? 感じの良い!? 優しい!?」
声の主は、後方の令嬢だった。
「んんっ!失礼」
向き直り、
「ダンスに誘われました」
部屋中から騒音が生まれた。
カップが落ちる音、お茶を吹き出す音、咳き込む音、声も上がる。
何ですか? この不思議な一体感は。
「夢か!夢だな?」
「ハンドキスで当たった唇が柔らかかったから、夢ではないです」
「断った、断ったんだろう!?」
「? 断る訳がありませんよ」
「シーちゃんに虫が…」
「大丈夫です。私相手にそんな気になる男はいません。
パパにさえ振られるのですから」
「シーちゃん!酷い!シーちゃんには娘としての永遠の愛を誓っているのに!」
「その気はあるのか?」
「何の気ですか」
「コーデュロウ殿と進展するつもりがあるのか聞いているんだ」
「兄様、失礼ですよ。
それに単に知り合っただけの方に一々妄想をしていては イタイ身の程知らずになってしまいます。
私は平凡で色気も胸も無い 気遣い不要の令嬢ですから」
「誰がそんなことを言った」
「そうよ!誰なの!」
「シーちゃん、あの男か」
「ア、王太子殿下とカルーディオ侯爵令息です」
「コロス」
「シメル」
「よし!辞表を、」
「大丈夫。事実ですから。
でもパパがこうやって抱きしめてくれて幸せだからいいのです」
兄様、思っていても口に出しては駄目ですよ。
こんなに証人を作ってしまったら、今後アイザックの身に何かあれば一番に取り調べを受けますからね。
でも、兄様カッコいい。
まあ、色気も胸も無いからアイザックをそのまま居させるんでしょうけど。
だったら夜中の護衛も要らないのでは?
「さあ、できましたわ」
「とても素敵ですわ シルビア様」
「大丈夫よ。私の容姿は平凡で色気も無く胸も小さいのは分かっているわ」
「「シルビア様…」」
「……」
貴族の控室に案内されるとパパとママとカイン兄様がいた。
「シル」
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「シルビア、素敵よ」
「シーちゃん可愛い」
兄様にハグされ、ママにハグされ、そしてパパがハグして離さない。
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え? 何で周りの貴族達がこっち見るの?
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「どうやって知り合った」
まさか、頭に乗せていた眼鏡を探していたなんて言えないわね。
「探し物をしていらして、困っているのかなと思い声をかけました。最初は着飾った庭師かと思ったのですが」
家族の皆様、他人の皆様、そんなに驚くことですか?
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ママ。酷い。
「シーちゃん 可愛い」
パパ好き。
「普通の感じの良い優しい人でした」
「は? 感じの良い!? 優しい!?」
声の主は、後方の令嬢だった。
「んんっ!失礼」
向き直り、
「ダンスに誘われました」
部屋中から騒音が生まれた。
カップが落ちる音、お茶を吹き出す音、咳き込む音、声も上がる。
何ですか? この不思議な一体感は。
「夢か!夢だな?」
「ハンドキスで当たった唇が柔らかかったから、夢ではないです」
「断った、断ったんだろう!?」
「? 断る訳がありませんよ」
「シーちゃんに虫が…」
「大丈夫です。私相手にそんな気になる男はいません。
パパにさえ振られるのですから」
「シーちゃん!酷い!シーちゃんには娘としての永遠の愛を誓っているのに!」
「その気はあるのか?」
「何の気ですか」
「コーデュロウ殿と進展するつもりがあるのか聞いているんだ」
「兄様、失礼ですよ。
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私は平凡で色気も胸も無い 気遣い不要の令嬢ですから」
「誰がそんなことを言った」
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「シーちゃん、あの男か」
「ア、王太子殿下とカルーディオ侯爵令息です」
「コロス」
「シメル」
「よし!辞表を、」
「大丈夫。事実ですから。
でもパパがこうやって抱きしめてくれて幸せだからいいのです」
兄様、思っていても口に出しては駄目ですよ。
こんなに証人を作ってしまったら、今後アイザックの身に何かあれば一番に取り調べを受けますからね。
でも、兄様カッコいい。
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