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ライアン達の子
歓迎会 夜の部
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【 リリアンの視点 】
何でよりにもよって薄紫のドレスを持ってきたの!
「どうしてこのドレスなの?ミリア」
「奥様がお選びになりました」
「何でもないわ」
刺繍も銀色だし、宝石はアメジスト……勘違いされないよね?
しかし、本当に傾国の美男子だわ。
天界から遣わされた美の神みたいな感じだわ。
確かに、あの美しさに陶酔するか、見劣りし過ぎる自分に自己嫌悪するかね。
フィンリー王太子殿下と会ってみたかったな。
支度が終わり、お父様とお母様と一緒に会場へ入った。夜の部は、伯爵家以上の当主、夫人のみ。
私は指名があったので特別に出席した。
ヘイデル様は国王陛下、王妃殿下、ゼイン王子殿下と一緒にいらした。
最初にバトラーズ家が挨拶かと思ったら他の公爵家が呼ばれた。
陛下の侍従がお父様とお母様に言伝を伝えた。
「ヘイゼル王女殿下がゆっくり話したいので最後にお願いしますとのことです」
「分かった」
そう言いながらお母様の手をずっと握っている、
「パパ」
「どうした」
「ハグして欲しい」
「おいで」
ギュウギュウと抱きしめてくれて和む。
「王女の目がこっち向いてるぞ」
「大丈夫。パパが大好きだとさっき話したばかりだから」
「パパも大好きだぞ」
「へへっ」
そして挨拶が終わった人達には歓談タイムにして、バトラーズ家が挨拶をした。
「バトラーズ公爵、夫人、お会いしたかったですわ」
「娘がお世話になりました」
「リリアン嬢はとても率直で素敵なレディですわ。
早速お友達になりましたの。
そこでお願いがございます」
「何でしょうか」
「是非、バトラーズ邸に滞在をさせていただきたいのです。じっくりご夫妻とお話しがしたいのです。
せっかく友人となったリリアン嬢とも交流を深めたいですし」
「……」
「お願いします」
「滞在中はバトラーズ家のルールに従っていただけるのであれば」
「嬉しいですわ!ありがとうございます」
「一応お伝えしますが、ゼイン王子殿下と同じ歳の長男がおりますが、よろしいでしょうか」
「ええ。かまいませんわ」
本気ですか? ウチに? バレますよ?
「リリアン、私が行ったら嫌なの?」
「そうは思っておりません」
「そこは、“きゃあ!嬉しいっ!” とか言って喜んでくれないと」
「キャアー、ウレシイー」
「まるで感情がこもっていないじゃない。
酷い棒読みだわ。少しくらい嬉しそうにしてよ」
「フフッ 嬉しいですよ」
「っ! わ、わかればいいのよ」
頬を染めて可愛いわね。
そして、話が終わり、ひとまず端に寄った。
「(リリアン。言い寄られてはいないのだな?)」
やっぱりお父様には男だってわかっちゃった。
「(全然言い寄られていません)」
「(恐ろしい美しさね)」
「(神様がウチにやってきた…と思いましょう)」
ヘイゼル様に向かって拝んだら目が合った。
口が動いてる。
「(ククッ)」
エフ先生が笑った。
「(何て言ったか分かるんですか?)」
「(“崇めたのか殺したのかどっちだ”と言っているよ)」
両手を上に向けて肩をすくめた。
「(もしかして、今ヘイゼル様 舌打ち?)」
「(したな)」
そして国王夫妻とゼイン王子殿下とヘイゼル王女殿下のダンスが始まった。
結構体離して踊るわね。完全に好きなのは女性ね。
「(おもしろいな)」
「(笑いそう)」
「(もう顔が堪えきれずに漏れてるぞ)」
「(だって、プッ)」
「(ほら、自分のことを見て笑ってると気付かれたぞ)」
「(だって、)」
そして次はお父様達が踊りに行ったので、私は一人で居た。
「リリアン」
声の主が誰だか分かったが無視するわけにはいかなかった。
何でよりにもよって薄紫のドレスを持ってきたの!
「どうしてこのドレスなの?ミリア」
「奥様がお選びになりました」
「何でもないわ」
刺繍も銀色だし、宝石はアメジスト……勘違いされないよね?
しかし、本当に傾国の美男子だわ。
天界から遣わされた美の神みたいな感じだわ。
確かに、あの美しさに陶酔するか、見劣りし過ぎる自分に自己嫌悪するかね。
フィンリー王太子殿下と会ってみたかったな。
支度が終わり、お父様とお母様と一緒に会場へ入った。夜の部は、伯爵家以上の当主、夫人のみ。
私は指名があったので特別に出席した。
ヘイデル様は国王陛下、王妃殿下、ゼイン王子殿下と一緒にいらした。
最初にバトラーズ家が挨拶かと思ったら他の公爵家が呼ばれた。
陛下の侍従がお父様とお母様に言伝を伝えた。
「ヘイゼル王女殿下がゆっくり話したいので最後にお願いしますとのことです」
「分かった」
そう言いながらお母様の手をずっと握っている、
「パパ」
「どうした」
「ハグして欲しい」
「おいで」
ギュウギュウと抱きしめてくれて和む。
「王女の目がこっち向いてるぞ」
「大丈夫。パパが大好きだとさっき話したばかりだから」
「パパも大好きだぞ」
「へへっ」
そして挨拶が終わった人達には歓談タイムにして、バトラーズ家が挨拶をした。
「バトラーズ公爵、夫人、お会いしたかったですわ」
「娘がお世話になりました」
「リリアン嬢はとても率直で素敵なレディですわ。
早速お友達になりましたの。
そこでお願いがございます」
「何でしょうか」
「是非、バトラーズ邸に滞在をさせていただきたいのです。じっくりご夫妻とお話しがしたいのです。
せっかく友人となったリリアン嬢とも交流を深めたいですし」
「……」
「お願いします」
「滞在中はバトラーズ家のルールに従っていただけるのであれば」
「嬉しいですわ!ありがとうございます」
「一応お伝えしますが、ゼイン王子殿下と同じ歳の長男がおりますが、よろしいでしょうか」
「ええ。かまいませんわ」
本気ですか? ウチに? バレますよ?
「リリアン、私が行ったら嫌なの?」
「そうは思っておりません」
「そこは、“きゃあ!嬉しいっ!” とか言って喜んでくれないと」
「キャアー、ウレシイー」
「まるで感情がこもっていないじゃない。
酷い棒読みだわ。少しくらい嬉しそうにしてよ」
「フフッ 嬉しいですよ」
「っ! わ、わかればいいのよ」
頬を染めて可愛いわね。
そして、話が終わり、ひとまず端に寄った。
「(リリアン。言い寄られてはいないのだな?)」
やっぱりお父様には男だってわかっちゃった。
「(全然言い寄られていません)」
「(恐ろしい美しさね)」
「(神様がウチにやってきた…と思いましょう)」
ヘイゼル様に向かって拝んだら目が合った。
口が動いてる。
「(ククッ)」
エフ先生が笑った。
「(何て言ったか分かるんですか?)」
「(“崇めたのか殺したのかどっちだ”と言っているよ)」
両手を上に向けて肩をすくめた。
「(もしかして、今ヘイゼル様 舌打ち?)」
「(したな)」
そして国王夫妻とゼイン王子殿下とヘイゼル王女殿下のダンスが始まった。
結構体離して踊るわね。完全に好きなのは女性ね。
「(おもしろいな)」
「(笑いそう)」
「(もう顔が堪えきれずに漏れてるぞ)」
「(だって、プッ)」
「(ほら、自分のことを見て笑ってると気付かれたぞ)」
「(だって、)」
そして次はお父様達が踊りに行ったので、私は一人で居た。
「リリアン」
声の主が誰だか分かったが無視するわけにはいかなかった。
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