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ライアン達の子

新たな火種

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【 リリアンの視点 】



あの後、また学園でいろいろと噂されるのかと思ったら、

“大変でしたわね。パトローヌ侯爵令嬢が全ての引き金だったと聞きましたわ”

“もう除籍されてビクトリアさんよ”

“ご自分の友人を巻き込んでおいて平然としていたなんて”

“せっかく円満解消と発表されたのに逆恨みで刺そうとしたなんて”

と、私に好意的だった。



一方で、一度お父様がシャルール伯爵と会った。

「あれは誤解です」

「君の言葉を本人がしっかり聞いている。娘の耳が悪いとでも?」

「いえ、そうではなく。
あれは本気で言ったのではありません。リリアン嬢に興味を持ち始めた友人達から興味を無くさせるために“子供だ”と言ったのです。

それに、確かに昔関係を持った女性達に声をかけられましたがその場で断っております」

「確かに16歳の学生だが、“その気になれない”などという言葉は、成人した令嬢に対してほぼ侮辱だ。

興味を持たれても“交際中だから手を出すな”と言えばいいじゃないか。

前向きに心を開いたというのに。

許可した私に対する裏切りでもある」

「方法を間違えました。申し訳ございません」

「今後君とリリアンを付き合わせる気はない。
友人としても無理だ。縁は無かったとして潔く身を引いてくれ」

「リリアン嬢に会わせてください」

「顔が腫れるまで泣いて、旅に出て気持ちの整理が終わっている。リリアンには過去の出来事だ。
もう君とどうこうなることは無いよ」

「公爵」

「リリアンに君への気持ちは無い。
無傷でいれるうちに手を引き、別の女を探せ」

「別の女など」

「伯爵家や事業に関わる者たちを路頭に迷わす気か?」

「っ!」

「身を引け。二度と個人的にリリアンに会うな。手紙も駄目だ。何も贈るな」


隠れてエフ先生と話を盗み聞きしていた。
エフ先生は抱きしめて背中を摩ってくれた。

安心するな。




兄様は領地でお勉強。
私は毎週土曜のティータイムにゼイン様と交流することになった。

あの時は、あまり覚えていない振りをしたけど本当は覚えている。
場の雰囲気を察したのと、恥ずかしかったのと。
演技だということは エフ先生にはバレていた。




「リリアン、欲しい物はないのか」

「特には」

「そう…」

「…靫が欲しいです」

「矢をいれるやつ?」

「はい。軽くて丈夫なのが欲しいです」

「そうか」

誕生日のことなんだろうな。
無いって言えば殿下は悲しそうな顔をするし、絞り出せば嬉しそうにニコニコしてるし。

この人は何で私なんだろう。



そんなことを思っていると来てしまうものだ。



学食でラナとカトリーヌと食事をしていると、後ろの席から話が聞こえた。

「聞いた?ゾードから王女が来るらしいわ」

「まさか、婚約しては破棄しちゃう第二王女!?」

「そう、それそれ。だけどすごーく美人らしいの」

「そんなのがうちの未来の王妃なんて嫌だわぁ」

「ええ!?縁談なの!?」

「殿下より一つ下みたい。
婚約解消を聞き付けて狙いに来たんじゃないかしら」

そっか。
また同じことにならないように気をつけなくちゃね。


その日に私は土曜日の交流は止めたいと手紙を出した。

何故かと返事が来たので、お互い時間を有効に使った方がいいと思うと書いて送ったら、王妃殿下から呼び出しを受けた。

これにはお母様が付き添ってくれた。




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