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ライアン達の子
愛されない令嬢は堕ちる
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【 ビクトリアの視点 】
扉をそっと開けて背後を取ったがすぐに気付かれた。振り向かないまま…
「死にたいの?」
やっぱり、抵抗できたんじゃない!
「私の婚約者を寝取っておいて、よく平気な顔をしていられるわね」
「望んでいなかったわ」
「男に振られたからって、見境なく股を開かないでよ!」
「……開かされたのだけど」
「悪女の腐った股に突っ込むほど溜まっていただけよ! 淫乱!」
「その腐った股を、ゼインは長いこと美味しそうに舐めていたわ。
確かに溜まっていたわね。
自分似と私似の子を産んで欲しいと言いながら奥の部屋に直接注がれたし、四回だったか五回だったか、愛を囁きながらたくさん注がれたもの。
吐精の勢いが凄くて……ふふっ」
「っ!!」
もう頭に血が昇って、隠していた刃物で悪女を刺そうとしたのに…
ゴキッ!
「ギャアアアアッ!!」
黒い服の男が刃物を持った手を掴み、捻じ曲げ、ニヤッと笑うとそのまま有らぬ方向へ力を込めた。
「エフ先生、素敵」
「お前の閨の話など聞きたくなかった」
「ごめんなさい。振られたと侮辱されて つい」
「この女はどうしたい?」
「余計なことを囀って周囲を巻き込むのよね。
先生ならどうしますか?」
「喉を掻き切る」
「死んじゃうじゃないですか」
「生かして黙らせたいのか?
じゃあ、歯を全部抜いて舌を切り落とすか」
「失血死しちゃいますよ」
「どちらかというと、多量の血が流れ込んで窒息だな。気になるなら切り口を焼くか」
「頭がおかしいんじゃないの!
誰かー!! 助けてー!!」
何で、何で誰も来ないの!?
「中はダンスの時間で音楽を演奏しているし、このバルコニーは使用人達が使う側だ。側のワゴンから刃物を盗んだろう?他にも果物やグラス、飲み物のボトルなどがあるから貴族は近寄らない。
警備は私のすることに異議を口にしない。死ぬからな」
「貴方!決闘のときにいた、」
「では、これを飲むか、歯を全部抜いて舌を切り落とすか選ばせよう」
「何なのそれ」
「声帯を傷付ける薬品だ。死にはしない」
「嫌よ!」
「よし、歯を抜くか。歯を抜いたらその顔は維持できないぞ」
「待って!」
いくら扉を見ても誰も寄ってこない。
飲んで治療を受けるしかないわ。
「本当に死なないのね?」
「命をかけて誓おう」
男から包みを受け取り、粉状のものを飲んだ途端に焼ける様な刺激が襲った。
「み……ず……」
「液体は止めておけ。胃が荒れるぞ」
ゴキッ!!
「ガ……グ……」
男はもう片方の腕も捻じ折った。
「高確率で治らない。文字は書けないし、カトラリーも持てない。メイドに食べさせてもらえ」
この女は、セロン様の手首を切り落としたときも平然としていた…悪女じゃなくて悪魔なのね!
「あ…くま」
「エフ先生、まだ喋れますよ」
「時間がかかるんだ。
10分くらいかな」
「元凶の貴女に何もしなかったのは、第一王子殿下の婚約者だったからよ。
貴女の周辺には見張りが何人もいて、陛下に報告が上がっていたんですって。
大人しくしていれば王子妃になり、いずれ王妃になったでしょうに。
バトラーズ家は貴女にチャンスをあげたのが分からなかったのね」
「いいか、ビクトリア。リリアンは俺達の天使で、俺には家族同然だ。確かにあの日、リリアンの気持ちに関係なく王子は手を付けてしまった。
彼は殺される覚悟をしていた。
何故か分かるか?
リリアン以外の女を抱きたくないそうだ。
お前とキスをして唾液を交換したり、セックスで粘膜に触れたりするのも鳥肌が立つほど嫌だと言っていた。
唯一の女が侮辱を受けて許せなかった。国で一番高貴な独身の男がリリアンを欲して止まないと教えたかったそうだ。キスで終われなかった王子は後でお仕置きするがな。
お前はリリアンの不幸を口にすることで貶めたかったのだな。せっかく自制していた王子を刺激するなど馬鹿のすることだ。
だが、もう言葉を話せないから二度と失敗はしないだろう」
数日後。
「やはり駄目ですね。何の薬を使ったのか解りませんが溶けて固まってしまって治せません」
「腕の骨折はいかがでしょう」
「奥様、肘の骨折というよりは脱臼です」
「なら治るのではないのですか」
「三つの靭帯が切れている様で無理です。
いくら元の位置に合わせても意味がありません。繋げ支えるものが無いのですから」
「薬とか手術とか」
「この状態を治せる者など聞いたことがありません」
二名の専門医が帰ると、母は泣き崩れ、父は頭を抱えた。
扉をそっと開けて背後を取ったがすぐに気付かれた。振り向かないまま…
「死にたいの?」
やっぱり、抵抗できたんじゃない!
「私の婚約者を寝取っておいて、よく平気な顔をしていられるわね」
「望んでいなかったわ」
「男に振られたからって、見境なく股を開かないでよ!」
「……開かされたのだけど」
「悪女の腐った股に突っ込むほど溜まっていただけよ! 淫乱!」
「その腐った股を、ゼインは長いこと美味しそうに舐めていたわ。
確かに溜まっていたわね。
自分似と私似の子を産んで欲しいと言いながら奥の部屋に直接注がれたし、四回だったか五回だったか、愛を囁きながらたくさん注がれたもの。
吐精の勢いが凄くて……ふふっ」
「っ!!」
もう頭に血が昇って、隠していた刃物で悪女を刺そうとしたのに…
ゴキッ!
「ギャアアアアッ!!」
黒い服の男が刃物を持った手を掴み、捻じ曲げ、ニヤッと笑うとそのまま有らぬ方向へ力を込めた。
「エフ先生、素敵」
「お前の閨の話など聞きたくなかった」
「ごめんなさい。振られたと侮辱されて つい」
「この女はどうしたい?」
「余計なことを囀って周囲を巻き込むのよね。
先生ならどうしますか?」
「喉を掻き切る」
「死んじゃうじゃないですか」
「生かして黙らせたいのか?
じゃあ、歯を全部抜いて舌を切り落とすか」
「失血死しちゃいますよ」
「どちらかというと、多量の血が流れ込んで窒息だな。気になるなら切り口を焼くか」
「頭がおかしいんじゃないの!
誰かー!! 助けてー!!」
何で、何で誰も来ないの!?
「中はダンスの時間で音楽を演奏しているし、このバルコニーは使用人達が使う側だ。側のワゴンから刃物を盗んだろう?他にも果物やグラス、飲み物のボトルなどがあるから貴族は近寄らない。
警備は私のすることに異議を口にしない。死ぬからな」
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「では、これを飲むか、歯を全部抜いて舌を切り落とすか選ばせよう」
「何なのそれ」
「声帯を傷付ける薬品だ。死にはしない」
「嫌よ!」
「よし、歯を抜くか。歯を抜いたらその顔は維持できないぞ」
「待って!」
いくら扉を見ても誰も寄ってこない。
飲んで治療を受けるしかないわ。
「本当に死なないのね?」
「命をかけて誓おう」
男から包みを受け取り、粉状のものを飲んだ途端に焼ける様な刺激が襲った。
「み……ず……」
「液体は止めておけ。胃が荒れるぞ」
ゴキッ!!
「ガ……グ……」
男はもう片方の腕も捻じ折った。
「高確率で治らない。文字は書けないし、カトラリーも持てない。メイドに食べさせてもらえ」
この女は、セロン様の手首を切り落としたときも平然としていた…悪女じゃなくて悪魔なのね!
「あ…くま」
「エフ先生、まだ喋れますよ」
「時間がかかるんだ。
10分くらいかな」
「元凶の貴女に何もしなかったのは、第一王子殿下の婚約者だったからよ。
貴女の周辺には見張りが何人もいて、陛下に報告が上がっていたんですって。
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彼は殺される覚悟をしていた。
何故か分かるか?
リリアン以外の女を抱きたくないそうだ。
お前とキスをして唾液を交換したり、セックスで粘膜に触れたりするのも鳥肌が立つほど嫌だと言っていた。
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「なら治るのではないのですか」
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