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ライアン達の子

アンベールとリリアン

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【 ライアンの視点 】



ミーシェとの間には娘も産まれた。
私の外見に似ていて、中身はミーシェ似だ。
エフは息子より娘を弟子にと狙っている。

息子は私とグレースそれぞれに似ている。中身はバトラーズ家の血筋といった感じだ。

だから少し兄妹の仲は微妙だ。

「何故父上も母上もリリアンを貴族令嬢らしくさせないのですか」

「大抵の貴族は薄い仮面を被った個人だ。
お前の目に見えていないだけで相応しくないことをしている者で溢れている。

貴族とは?貴族令嬢とはなんだ。お前の考えるソレははたしてあるべき姿の貴族令嬢か?

お前の考えは絶対か?間違いや歪みはないか?
そもそも貴族令嬢の定義は何処で知った」

「……」

「お前の都合や思想に合わせて妹を糾弾するな。
私から言わせれば次期公爵としてあるまじき姿だ」

「父上はリリアンが可愛いからでしょう」

「当然だろう。愛するグレースとの子だ」

「……」

「リリアンは法を破ってもないし、誰かに酷いことをしているわけではない。お前に裁く権利はない。
偏った考えで人を評価してはいけない。
寧ろその個性や能力を把握して采配し活かすのが権力者だ。

どうしても気に入らないなら外れていい。領地のお祖父様の所でのんびり暮らせ。将来は管理人として仕えればいい」

「それは廃嫡ということですか」

「妹一人守れずに何ができるんだ?」

「あんまりです!父上!」

「あんまりだと思っているのはリリアンだ。
茶会でお前が味方をするでも守るでもなく、意地悪を言う令息達や茶をかける令嬢達にただ傍観していたんだ」

「リリアンが、」

「アンベール、集団で男達が一人の令嬢を攻撃することは許されるのか?
令嬢達が共謀して茶をかけて一人の令嬢を辱めるのは許されるのか?
自分の意見があってリリアンが同調しないから虐められて当然だと?そう言うのか」

「っ!」

「お父様、もういいです。私、お兄様に何も期待していませんから」

「リリアン」

「お兄様、もう私のことは妹だなどと思わなくて結構です。今まで通り助けないでください。その代わり、私のことは同居人だと思って関わらないでください。外でもです。そして私のことに口出しは無用です」


アンベールが10歳、リリアンが8歳の頃だった。




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