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理由があって借金をしたんだ
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カーラの呟きに陛下がお答えになった。
「知らなかったか?
プリュム子爵領で顔、手、体、髪に付ける美容品と洗料品がとても優秀で、一昨年に発売してから売れに売れていると聞く。
香りも複数あり、発売期間を限定した香りまである。
贈り物用の入れ物で高級感を出し、喜ばれている。
一昨年から来国した要人に土産として贈ったらとても喜んでもらえたのだ」
「まさか…“アフロディテ”!?」
「そうそう、それだ」
「そんな……」
「陛下、爪用と唇用も来月には数量限定で売り出します。本日、お試しにお持ちいたしました。既に陛下の侍女へ預けております。贈り物用の包装にしておりますので王妃様へ国王陛下からの贈り物としてお渡しください」
「子爵の心遣いに感謝する」
「女性の笑顔は我々の平和の証ですから。
陛下用には普通の包装です。
爪も唇も荒れた男はモテません。
どうぞお試しくださいませ」
「ハハっ、そうか。では美しくなるとしよう」
「待ってください!」
「何だ」
「婚約解消は止めます」
うわぁ…ボヴァン伯爵は虫の息だ。
「何故だ」
「元に戻せば丸くおさまりますわ。
エミリアン、結婚して差し上げますわ」
「カーラ!?」
この反応からするとパトナムは本気だったんだな。
「どうするのだ?エミリアン」
「陛下、決まっております」
「本人に告げてやれ」
「ボヴァン嬢。君とやり直すなんてあり得ないことだ。真実の愛を1ヶ月も育てて、皆の前で声を張り上げて不貞をしていましたと宣言したんだ。しかも俺の友人とだ。
俺は狂っていないから、君を妻には迎えられない」
「不貞だなんて。体を繋げたわけでもないわ」
「パトナムとのことは、金の無いプリュム子爵夫人になるより、ブレット子爵夫人になる方が貧乏暮らしをしなくて済むという愛を知ったのだろう。
プリュム家が先代から慎ましく生活していて、4年前に借金をしたのは、開発にかかる費用や量産のための工場や機材や材料費や人件費などの先行した費用が必要だったからだ。
言っておくが支援してもらった金は昨年ボヴァン家に返金済みだ」
「貴方が娼婦と寝るから、」
「伯爵のように外で女を囲って婚外子を産ませた方が良かったか?」
「っ!!」
「へ?」
「店の様子を見に行った時に見かけたんだよ。
伯爵の馬車が路地で止まり奥に入っていくのを。
赤毛の女性が伯爵そっくりの金髪碧眼の女の子を抱いていたよ」
「!!」
カーラは夫人似の茶色の髪と瞳だ。
「しかも双子。まるで天使だった」
「信じられない…」
「ついでにもう一つ、信じられないことがある。
俺に女を教えたのはパトナムだ」
「は!?」
「“男は経験がないと恥をかく” とか、“お気に入りの子がいるから付き合え” とか、“令嬢は尽くされることしか知らないから、プロの技に感動するぞ” とか言われて連れ回された。
パトナムの指名する娼婦はどの女も豊満だった。パトナムの好みが胸の豊かな女だからな」
「エミリアン!」
「ボヴァン嬢は婚約者の立場で俺を裏切り、パトナムは友人の立場で俺を裏切った。
ボヴァン嬢ともパトナムとも終わりだ」
「知らなかったか?
プリュム子爵領で顔、手、体、髪に付ける美容品と洗料品がとても優秀で、一昨年に発売してから売れに売れていると聞く。
香りも複数あり、発売期間を限定した香りまである。
贈り物用の入れ物で高級感を出し、喜ばれている。
一昨年から来国した要人に土産として贈ったらとても喜んでもらえたのだ」
「まさか…“アフロディテ”!?」
「そうそう、それだ」
「そんな……」
「陛下、爪用と唇用も来月には数量限定で売り出します。本日、お試しにお持ちいたしました。既に陛下の侍女へ預けております。贈り物用の包装にしておりますので王妃様へ国王陛下からの贈り物としてお渡しください」
「子爵の心遣いに感謝する」
「女性の笑顔は我々の平和の証ですから。
陛下用には普通の包装です。
爪も唇も荒れた男はモテません。
どうぞお試しくださいませ」
「ハハっ、そうか。では美しくなるとしよう」
「待ってください!」
「何だ」
「婚約解消は止めます」
うわぁ…ボヴァン伯爵は虫の息だ。
「何故だ」
「元に戻せば丸くおさまりますわ。
エミリアン、結婚して差し上げますわ」
「カーラ!?」
この反応からするとパトナムは本気だったんだな。
「どうするのだ?エミリアン」
「陛下、決まっております」
「本人に告げてやれ」
「ボヴァン嬢。君とやり直すなんてあり得ないことだ。真実の愛を1ヶ月も育てて、皆の前で声を張り上げて不貞をしていましたと宣言したんだ。しかも俺の友人とだ。
俺は狂っていないから、君を妻には迎えられない」
「不貞だなんて。体を繋げたわけでもないわ」
「パトナムとのことは、金の無いプリュム子爵夫人になるより、ブレット子爵夫人になる方が貧乏暮らしをしなくて済むという愛を知ったのだろう。
プリュム家が先代から慎ましく生活していて、4年前に借金をしたのは、開発にかかる費用や量産のための工場や機材や材料費や人件費などの先行した費用が必要だったからだ。
言っておくが支援してもらった金は昨年ボヴァン家に返金済みだ」
「貴方が娼婦と寝るから、」
「伯爵のように外で女を囲って婚外子を産ませた方が良かったか?」
「っ!!」
「へ?」
「店の様子を見に行った時に見かけたんだよ。
伯爵の馬車が路地で止まり奥に入っていくのを。
赤毛の女性が伯爵そっくりの金髪碧眼の女の子を抱いていたよ」
「!!」
カーラは夫人似の茶色の髪と瞳だ。
「しかも双子。まるで天使だった」
「信じられない…」
「ついでにもう一つ、信じられないことがある。
俺に女を教えたのはパトナムだ」
「は!?」
「“男は経験がないと恥をかく” とか、“お気に入りの子がいるから付き合え” とか、“令嬢は尽くされることしか知らないから、プロの技に感動するぞ” とか言われて連れ回された。
パトナムの指名する娼婦はどの女も豊満だった。パトナムの好みが胸の豊かな女だからな」
「エミリアン!」
「ボヴァン嬢は婚約者の立場で俺を裏切り、パトナムは友人の立場で俺を裏切った。
ボヴァン嬢ともパトナムとも終わりだ」
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