【完結】見えてますよ!

ユユ

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決行

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【 ウィリアム王太子視点 】

エリアスのクロノス伯爵令嬢に対する溺愛振りにも驚いたが、陛下からの話も驚いた。

エリアスの侍従が令嬢を泊めると言い出したので、その後のことも報告させた。

脚が痺れてもじっとエリアスの為に膝枕をして耐えていた?
号泣させながら膝にのせて給餌?

翌朝には平凡そうな令嬢が現れたが、礼も食事の所作も美しい。

エリアスが側に置いて口を拭いてやっている。

“リュカ”と呼ばせているなんて。

エリアスは彼女を溺愛していた。
でもオヌール公爵令息の婚約者だ。

陛下の話は、二組の破断についてだった。
確かに、エリアスがあのままで婚約者が式前日に処女でないと分かったら大変だ。今のうちで良かった。

近衛騎士2人を尋問室に呼び、話を聞いた。

王族主人の婚約とお楽しみのようだな。しかも、エリアスが一緒の領地滞在中とは」

「……誘われて」

「夜中の交代で、部屋に戻ろうとしたら令嬢がガウンの前をあけ、透けたナイトウェアを見せながら美味い酒があるから部屋に来いと」

「私とカーターとデレクで令嬢の部屋を訪ねました。ひとりだと誤解があった時に困りますので」

は? 3人!?

「確かに高級な酒を用意してもらいましたが、コレで楽しまないかと小瓶を出してきました」

「小瓶?」

「媚薬です」

…勘弁してくれ

「私達は…その…城内勤務と領地への旅で、ご無沙汰で…もう我慢がききませんでした。私とロイが媚薬を垂らした酒をもらい、カーターは断りました。
ですが私とロイと令嬢が交わっているうちに…」

「令嬢がひとりで扱いていたカーターを呼んで口淫を…」

「令嬢は経験が浅くはありませんでした。
避妊薬も自ら飲んでいました」

「サンドル侯爵令嬢は媚薬を飲んだのか?」

「分かりません私達の前では飲んでいなかったのですが、夜明けまで私達の相手をしたので、事前に飲んでいたのかもしれませんし」

「単にアバズレだということもあるのか」

「はい。申し訳ございません」

「クビどころではないが、協力するなら近衛に残してやる。誓約書を書かせるがどうする?」

「やります」

「チャンスをください」

その後カーターも呼び出し同意を得た。




作戦決行の日、晩餐会が開かれた。
クロノス伯爵令嬢は見事にあのカザハ公爵家から気に入られていた。彼女をエリアスの伴侶に迎えたいと強く思った。

オヌール公爵令息とサンドル侯爵令嬢の食後の茶に媚薬を混ぜた。穏やかな効き目で夫婦に人気の媚薬だ。

徐々にその気になり、相手を求める。
我を忘れるということもなく、しっかり記憶が残る。

若い男女には我慢が効かないだろう。

問題は、オヌール公爵令息がクロノス伯爵令嬢に手を出すことがないように、またサンドル侯爵令嬢がエリアスに夜這いをかけないようにすること。

そしてオヌール公爵令息とサンドル侯爵令嬢が求め合うようにしないとならない。

3人の騎士達のその後の話では、関係は続いていた。サンドル侯爵令嬢が気まぐれに騎士達を誘っているようだ。

晩餐会を解散する頃には薬は効き始め、湯浴みを終える頃には完全に効いているだろう。

騎士達には代わる代わる令嬢の部屋へ行き、適当な用事を言いながらさりげなく自分達の待機部屋を告げさせた。

令息の方は若くて豊かな身体のメイドを選び、偶然を装って刺激を与えながら湯浴みをさせて欲しいと報酬を渡した。




湯浴みを終えたのは22時頃。影を配置して様子を探らせていた。近くの空き部屋で待機して待った。

すると令嬢が部屋から出てきて騎士達の待機部屋だと告げた部屋に入った。令息の部屋とは知らずに。
灯りを消してメイドは立ち去ったからよく確認しないままベッドに入り誘うだろう。

扉に近寄るとすっかり盛っていた。


そして私はサンドル侯爵夫妻の寝室をメイドと騎士とともに訪ねた。
睡眠中に起こされた夫妻の機嫌が悪かったが、

「侯爵令嬢が戻らないとメイドから報告を受けて探しています。大事な王子妃となるご令嬢が転んで怪我でもされてたり部屋を間違えていたりしては大変です。夜着で出たらしいので立ち会っていただけますか」

そこに騎士を来させ決められた台詞を言わせる。

「廊下や階段、共同のトイレや厨房、応接間などにもおられません。護衛騎士が立っておりますので他の階へは行けません。空き部屋は鍵をかけていますので後は個々のお部屋かと」


一番奥が令嬢、次がサンドル侯爵夫妻、その次はカザハ公爵夫妻の部屋でリネン室を挟んで次がオヌール公爵令息の部屋だ。

怖いが証人になって欲しい為カザハ公爵夫妻を起こして確認をし、次はオヌール公爵令息の部屋だ。

小さめのノックを数回して

「保安確認の為、開けます」

そう言って扉を開けて小さな灯りを向けた。

そこにはベッドで性交渉に夢中になり、未だに私達の事に気が付かない。オヌール公爵令息の上で腰を振り続けるサンドル侯爵令嬢がいた。

叫んだのは侯爵夫人だ

「ジョアンナ!なんて事を!」


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