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兄妹愛
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その後、ジュリアン様、バーネット卿、兄様と踊ったが、いずれも褒められた。
最後にフェリクス殿下に誘われるのかと覚悟したのに、姿が見えなかった。
ドリンクを飲みに向かうと、突然現れたフェリクス殿下が私と兄様にグラスを渡した。
「疲れただろう。乾杯しよう」
「……」
こんな時は兄様の教えを守るべきだわ。
強引に殿下の持っているグラスを取り上げて飲み干した。
「失礼。殿下がお持ちの飲み物の方が美味しく見えましたの。間接キスを奪ったことをお許しください」
「そ、そうか。間接キスか。可愛いな」
「では、こちらをどうぞ」
「え?」
殿下が私に渡したグラスを握らせた。
「飲み干してください」
「あ、え?」
「レディが殿下のお酒を飲み干したのに、殿下は飲まないおつもりですか?」
酒を勧めた男は、相手の女が飲み干した場合、同じように飲み干さなければ下心ありと見做される。あってもいいだろうが、酔わせてどうこうしたいという卑劣な意味も含むので紳士なら飲むことを選択する。
これが一つ目の役割。
「さあ、フェリクス殿下。妹が家族以外からの飲み物を飲み干すなんて、そうありません。妹の気持ちを汲んであげてください」
また、相手の女性が一滴も残さず飲み干した場合は好感がありますという意思表示。
これが二つ目の役割。
「も、もちろんだ」
殿下は一気に飲み干した。
「ありがとうございます。私はキャロン伯爵家の生まれで、今はウィルソン侯爵家に嫁いでおります」
「え?人妻!?」
「はい」
「おや? フェリクス殿下。顔が赤くなっておられますよ。暑いですか?もしかしてお酒に弱かったとか」
「あ、熱い」
「大変だ。医師を呼ばせましょう」
「医師はまずい…じゃなくて、医師はまだいい。部屋で休む。ノルベール」
「殿下を部屋にお連れします。キャロン様、ウィルソン夫人。失礼します」
一緒にいた人は従者なのかしら。
「シア。ちょっとバーネット伯爵夫人の側にいてくれないか。エリオットと話してくる」
「はい、兄様」
【 ノルベールの視点 】
「クソっ!熱い!」
「水を」
「そんなものは意味がない!女を調達しろ!」
「お願いして参ります」
廊下に出るとバーネット辺境伯が歩いて向かってきていた。
「ノルベール殿。フェリクス殿下の体調が優れないと伺いました。医師を呼びましょうか」
「実は、病ではなく…女性を…できれば少し手荒にしても大事にならない女性を手配していただきたいのです」
「ああ、なるほど」
「大至急お願いしたいのですが」
「だとすると、近くの町の娼婦を連れてくるしかありませんが、かまいませんか?」
「構いません」
「では直ぐに殿下の部屋に連れて行きましょう」
「お願いします」
部屋に戻ると下着1枚になった殿下が悶えていた。
「女、女は未だか!」
「さすがに此処は娼館ではありませんので、直ぐは用立てられません。しばらくお待ちください」
「その辺を歩いているメイドでもいいだろう!」
「ここは他国です。しかも辺境伯の城なのですから、そんなことをすれば敵意有りと見做されます」
「くっ!勃ち過ぎて痛い!」
「まさか、ウィルソン夫人のグラスに媚薬を入れて渡したのですか!?」
「美人だから優しくしてやろうと思ったのに侮辱しやがった!だから飲ませて使い捨ててやろうと思ったのに、古めかしい慣習を出しやがって」
「人見知りがありそうでしたから、最初は素直になれなかっただけじゃないですか」
「ならレティシアを連れてこい!」
「エリオット王太子殿下の親友の妹で、侯爵家の妻ですよ?無理です」
「お前も、お前の母親と同じで本当に使えないな!」
「申し訳ございません」
暴言を吐かれ続けること1時間。やっと辺境伯の侍従か女を連れてきた。
「エリンという娼婦です。こちらは避妊薬です」
「助かります」
「ノルベール!早く女を置いて出ろ!」
「直ぐに。
エリンさん、お客様をお願いします。報酬を先にお渡しします」
「こんなにいただけるのですか!?」
「その代わり、他言無用でお願いします」
「はい」
部屋の灯りを小さくして部屋を出た。
「ノルベール様はいかがなさいますか」
「私は要りません」
「では、もう1人の娼婦には手間賃を渡して帰します」
「これで払ってください。お気遣いありがとうございます」
隣の客室に入り上着を脱いだ。
あのレディは知っていたのだろうか。
フェリクスが渡した飲み物に何か混入していたことを。
「はぁ」
このパーティに出席する前に、招待客リストを貰っていた。外交部に話を聞いたときに興味があったのはアレクサンドル・キャロンだった。伯爵家の跡継ぎというだけでエリオット王太子殿下の側近にはなっていないが親友だという。そして追随を許さない美貌の持ち主。
普通は側に置きたくないだろう。うちのフェリクスなら自分が引き立て役になってしまうからと遠ざける。
入国して、フェリクスが辺境伯と城内を回っている間にエリオット王太子殿下に接触できた。
『アレク? 側近にできたら最高だっただろうな』
『では何故 命じなかったのでしょう』
『美の化身のような容姿をしていても 牙も爪も鋭い猛獣なんだ。狡猾で執着心が強く他人に無関心。
側にいて欲しい反面、いなくて良かったかもと思わされることが度々ある』
『殿下に害は無いようですね』
『あいつの基準は溺愛する妹だよ。妹のためにキャロン伯爵家の仕事をするし、妹のために様々な情報を仕入れてくる。妹が傷付けられたと知ると満足するまで制裁する男だ。つまり、妹に手を出さなきゃいい。妃に迎えたかったがアレクが駄目だと言ったから断念したよ』
『仲の良い兄妹なのですね』
『8つ歳の離れた妹が可愛過ぎて、自分だけを慕うよう極度の人見知りに育てた兄だ。アレクには本物の天使に見えているのだろう。まあ、私でも見えるからな』
『今回はご夫人と出席ですから問題ありませんね』
『それが夫人が来られないからと、妹のレティシアを連れてくると先触れが来た。アレクがいるから大丈夫だと思うが』
『大丈夫とは?』
『この国の貴族社会では“アレクサンドルに逆らうな”“妹に手出ししなければ無害だ”と周知されているから、側にアレクがいるのにレティシアに話しかけようなんて勇者はいない』
『情報をありがとうございます』
『波風を立てずに無事に帰国してもらいたい』
事前情報を得ていたが、遠くからでも直ぐに分かるほどの美しい兄妹だった。フェリクスも美貌の王子だが近くで見たら敵わないだろう。
フェリクスも気付いていたようで、2人が挨拶に来なかったことを口にしていた。
ダンスのためにホールへ足を運んだ兄妹は神々しかった。
フェリクスが誘っても全く揺れない。自惚れたフェリクスの鼻を折って断ってしまった。
ダンスが始まると天使が舞っているかのようにフワリと踊る。2人の息はピッタリで兄の方は完璧だ。兄にしては温度のある眼差しを妹に向け、妹は兄を信頼しきって全身を預け嬉しそうに微笑む。
羨ましかった。
数日差で産まれた異母弟のフェリクスは、私と私の産みの母のことを蔑む。彼は正妃の子。私は 国王になる前の父が下級貴族と恋に落ち産ませた婚外子。
フェリクスは正妃そっくりに産まれ、私は母の容姿に父の色を持って産まれた。 国王の寵愛を受けた母が気に入らず、父の色を持つ私が気に入らない正妃は、のちに妾として娶られた母にキツく当たった。もちろん私も。
第一王子とは名ばかりで、フェリクスの従者をさせられている。そうしないと母への当たりが強まるから仕方ない。
国王になった父の守りが薄くなったのは病に倒れたから。重要な行事には少しだけ顔を出し、普段はベッドで出来る限り仕事をしている。
私と母の命は、後1年か、2年か。
〈痛い!止めてください!〉
〈大人しくしろ!!〉
隣の客室の物音と声が煩い。
静かになったのは夜明け前だった。
最後にフェリクス殿下に誘われるのかと覚悟したのに、姿が見えなかった。
ドリンクを飲みに向かうと、突然現れたフェリクス殿下が私と兄様にグラスを渡した。
「疲れただろう。乾杯しよう」
「……」
こんな時は兄様の教えを守るべきだわ。
強引に殿下の持っているグラスを取り上げて飲み干した。
「失礼。殿下がお持ちの飲み物の方が美味しく見えましたの。間接キスを奪ったことをお許しください」
「そ、そうか。間接キスか。可愛いな」
「では、こちらをどうぞ」
「え?」
殿下が私に渡したグラスを握らせた。
「飲み干してください」
「あ、え?」
「レディが殿下のお酒を飲み干したのに、殿下は飲まないおつもりですか?」
酒を勧めた男は、相手の女が飲み干した場合、同じように飲み干さなければ下心ありと見做される。あってもいいだろうが、酔わせてどうこうしたいという卑劣な意味も含むので紳士なら飲むことを選択する。
これが一つ目の役割。
「さあ、フェリクス殿下。妹が家族以外からの飲み物を飲み干すなんて、そうありません。妹の気持ちを汲んであげてください」
また、相手の女性が一滴も残さず飲み干した場合は好感がありますという意思表示。
これが二つ目の役割。
「も、もちろんだ」
殿下は一気に飲み干した。
「ありがとうございます。私はキャロン伯爵家の生まれで、今はウィルソン侯爵家に嫁いでおります」
「え?人妻!?」
「はい」
「おや? フェリクス殿下。顔が赤くなっておられますよ。暑いですか?もしかしてお酒に弱かったとか」
「あ、熱い」
「大変だ。医師を呼ばせましょう」
「医師はまずい…じゃなくて、医師はまだいい。部屋で休む。ノルベール」
「殿下を部屋にお連れします。キャロン様、ウィルソン夫人。失礼します」
一緒にいた人は従者なのかしら。
「シア。ちょっとバーネット伯爵夫人の側にいてくれないか。エリオットと話してくる」
「はい、兄様」
【 ノルベールの視点 】
「クソっ!熱い!」
「水を」
「そんなものは意味がない!女を調達しろ!」
「お願いして参ります」
廊下に出るとバーネット辺境伯が歩いて向かってきていた。
「ノルベール殿。フェリクス殿下の体調が優れないと伺いました。医師を呼びましょうか」
「実は、病ではなく…女性を…できれば少し手荒にしても大事にならない女性を手配していただきたいのです」
「ああ、なるほど」
「大至急お願いしたいのですが」
「だとすると、近くの町の娼婦を連れてくるしかありませんが、かまいませんか?」
「構いません」
「では直ぐに殿下の部屋に連れて行きましょう」
「お願いします」
部屋に戻ると下着1枚になった殿下が悶えていた。
「女、女は未だか!」
「さすがに此処は娼館ではありませんので、直ぐは用立てられません。しばらくお待ちください」
「その辺を歩いているメイドでもいいだろう!」
「ここは他国です。しかも辺境伯の城なのですから、そんなことをすれば敵意有りと見做されます」
「くっ!勃ち過ぎて痛い!」
「まさか、ウィルソン夫人のグラスに媚薬を入れて渡したのですか!?」
「美人だから優しくしてやろうと思ったのに侮辱しやがった!だから飲ませて使い捨ててやろうと思ったのに、古めかしい慣習を出しやがって」
「人見知りがありそうでしたから、最初は素直になれなかっただけじゃないですか」
「ならレティシアを連れてこい!」
「エリオット王太子殿下の親友の妹で、侯爵家の妻ですよ?無理です」
「お前も、お前の母親と同じで本当に使えないな!」
「申し訳ございません」
暴言を吐かれ続けること1時間。やっと辺境伯の侍従か女を連れてきた。
「エリンという娼婦です。こちらは避妊薬です」
「助かります」
「ノルベール!早く女を置いて出ろ!」
「直ぐに。
エリンさん、お客様をお願いします。報酬を先にお渡しします」
「こんなにいただけるのですか!?」
「その代わり、他言無用でお願いします」
「はい」
部屋の灯りを小さくして部屋を出た。
「ノルベール様はいかがなさいますか」
「私は要りません」
「では、もう1人の娼婦には手間賃を渡して帰します」
「これで払ってください。お気遣いありがとうございます」
隣の客室に入り上着を脱いだ。
あのレディは知っていたのだろうか。
フェリクスが渡した飲み物に何か混入していたことを。
「はぁ」
このパーティに出席する前に、招待客リストを貰っていた。外交部に話を聞いたときに興味があったのはアレクサンドル・キャロンだった。伯爵家の跡継ぎというだけでエリオット王太子殿下の側近にはなっていないが親友だという。そして追随を許さない美貌の持ち主。
普通は側に置きたくないだろう。うちのフェリクスなら自分が引き立て役になってしまうからと遠ざける。
入国して、フェリクスが辺境伯と城内を回っている間にエリオット王太子殿下に接触できた。
『アレク? 側近にできたら最高だっただろうな』
『では何故 命じなかったのでしょう』
『美の化身のような容姿をしていても 牙も爪も鋭い猛獣なんだ。狡猾で執着心が強く他人に無関心。
側にいて欲しい反面、いなくて良かったかもと思わされることが度々ある』
『殿下に害は無いようですね』
『あいつの基準は溺愛する妹だよ。妹のためにキャロン伯爵家の仕事をするし、妹のために様々な情報を仕入れてくる。妹が傷付けられたと知ると満足するまで制裁する男だ。つまり、妹に手を出さなきゃいい。妃に迎えたかったがアレクが駄目だと言ったから断念したよ』
『仲の良い兄妹なのですね』
『8つ歳の離れた妹が可愛過ぎて、自分だけを慕うよう極度の人見知りに育てた兄だ。アレクには本物の天使に見えているのだろう。まあ、私でも見えるからな』
『今回はご夫人と出席ですから問題ありませんね』
『それが夫人が来られないからと、妹のレティシアを連れてくると先触れが来た。アレクがいるから大丈夫だと思うが』
『大丈夫とは?』
『この国の貴族社会では“アレクサンドルに逆らうな”“妹に手出ししなければ無害だ”と周知されているから、側にアレクがいるのにレティシアに話しかけようなんて勇者はいない』
『情報をありがとうございます』
『波風を立てずに無事に帰国してもらいたい』
事前情報を得ていたが、遠くからでも直ぐに分かるほどの美しい兄妹だった。フェリクスも美貌の王子だが近くで見たら敵わないだろう。
フェリクスも気付いていたようで、2人が挨拶に来なかったことを口にしていた。
ダンスのためにホールへ足を運んだ兄妹は神々しかった。
フェリクスが誘っても全く揺れない。自惚れたフェリクスの鼻を折って断ってしまった。
ダンスが始まると天使が舞っているかのようにフワリと踊る。2人の息はピッタリで兄の方は完璧だ。兄にしては温度のある眼差しを妹に向け、妹は兄を信頼しきって全身を預け嬉しそうに微笑む。
羨ましかった。
数日差で産まれた異母弟のフェリクスは、私と私の産みの母のことを蔑む。彼は正妃の子。私は 国王になる前の父が下級貴族と恋に落ち産ませた婚外子。
フェリクスは正妃そっくりに産まれ、私は母の容姿に父の色を持って産まれた。 国王の寵愛を受けた母が気に入らず、父の色を持つ私が気に入らない正妃は、のちに妾として娶られた母にキツく当たった。もちろん私も。
第一王子とは名ばかりで、フェリクスの従者をさせられている。そうしないと母への当たりが強まるから仕方ない。
国王になった父の守りが薄くなったのは病に倒れたから。重要な行事には少しだけ顔を出し、普段はベッドで出来る限り仕事をしている。
私と母の命は、後1年か、2年か。
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