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真・らぶ・CAL・てっと エピローグ(最終回)
しおりを挟むエピローグ
「調合に失敗した薬が、とんだ口説くになったというわけなのですよ、師匠」
口説くは正しくは功徳である。
井沢正の口調に慣れている上桐御世は、別に戸惑わない。
「これも、師匠の教えのおかげです」
「え? あたし、近頃なにか正君に教えたっけ?」
「ええ、次元震のことを。 そしてその結果……」
「結果?」
「様さまな人の出会いがあったことを」
「あ、そうね。 そして実は一番うれしい出会いはね」
本当に嬉しそうで、正も和むくらいだった。 次の言葉を聞くまでは。
「あたしと大事な朋明ちゃんの出会いかなあ」
無表情になった正には、御世の次の言葉も聞こえていなかった。
「あ、確認された出会いでは、だけどね」
と脳天気なことをいう御世。
だが、よく考えれば、それは他の人々の出会いと意味合いが違う。
そして、なぜ自分が不機嫌になったのか、本気で理解できない正。
急に黙り込んだ正をよそに、御世は
「まだね、全部は確認が出来てないの。 縁ちゃんがね『いちいち「あなたはどこか別の所に急に飛ばされてしまったご経験は?」って聞いて歩く気?』っていうんだけど。 でもそれしかなかったら仕方ないよね? 縁ちゃんたら、いつもは『それしかなかったらそうやるの!』って言うのに。 変よね、縁ちゃんて」
と、にこにこ微笑んでいた。
正でもそんな彼女に悪意など抱きようがない。
上桐御世は得な性格だとしか言いようがないのであった。
そしてその後――
上桐邸のお茶会用お庭を辞した彼は八つ当たりの相手を無意識に探していた。
完全に無意識だったのでいつもの悪魔的思考・行動ではないことは彼にとってそして被害者にとっても幸いだったろう。
それでも、そんなとき通りかかった佑たちこそ災難だった。
「やあ、育嶋」
「あ、い、井沢先輩、ど、どうも」
完全に尻込みをする佑、そして治。
だが女性陣は臆せず
「こんにちは、井沢先輩」
と挨拶する。
ターゲットがロックオンされた、というべきだろう。
またもや育嶋佑は多難の神に見込まれたのである。
その日、にわかの大雨に降られた佑と、留美、治。
彼らは雨宿りのため佑の家へ逃れた。
ふと雷が鳴る。
井沢正の新発明が完成したらしかった。
しかし、家の中では別の嵐が吹き荒れていた……
おしまい
(なお、事態は、次のお話『外伝・らぶ・Miss・しんぐ』へと続きます)
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