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真・らぶ・CAL・てっと 二十八
しおりを挟むその黒い影の正体は神道直也だった。
ちょうど向いの教室をA・Cが使用しているのを知らなかったのが、その連中の第一の不運であった。
そして第二の不運は、たまたま今日は、直也が部室に早めにやって来ていたことだ。
その、第二の不運は致命的だったのである。
「な」
なに!までは言えなかった。
それくらい直也の攻撃は速かったのだ。
残りの連中もあっという間に叩きのめされ、床を這った。
神道直也は、学園の脅威5本の指に入る実力の持ち主だ。
病院送りにされたくらいは可愛いものであった。
まことに、知らないと言うことは恐ろしいものなのだった。
何か事情があったのだろう直也はかしこまって、部長・植芝透子に報告し
「部長。 よろしくお願いしていいですか?」
と問うた。
何のことか、すぐに理解した彼女。
「ん、わかった。 突き出しとくわ」
透子は、医務室へと佑を担いでいく直也と弘へ、にこやかに手を振る。
少々、表情がひきつっていたようではあった。
直也はほとんど無表情だったが、弘はポッと顔を赤らめた。
まだ透子に未練があるようだった。
ややあって、意識を取り戻した佑。
「う、う……ん……」
弘と直也が介抱してくれていたらしい。
「ぼ、僕は」
ベッドの上で身を起こすと
「大丈夫?」
と、親友が心配してくれた。
「ありがとう、結城。 でも僕は北条を守れなくて」
「多勢に無勢だったんだ。 気にするな」
ぶっきらぼうに慰める直也。
「そうだよ育嶋。 それに後ろからやられたんじゃないか」
佑は黙ってうつむいていた。
自分は、可愛い後輩を守れなかったのだ。
(二人は慰めてくれるけど)
自分の情けなさが許せないのであった。
「先輩、大丈夫ですか?」
心配そうに治がかけ寄る。
「北条の方こそ」
彼には襲われた様子はなかった。
「直兄が」
口を滑らせたことに気付いて言い直す。
「あ、ごめんなさい……神道先輩が助けてくれて」
「二人はどういう知り合いなの?」
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それはつまり『何かがあった』の意味だろう。 まさか『会ったことがある』ということではあるまい。 治の顔が真っ赤になったのがそれを証明している。
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「残りはひっぱたいただけさ。 女だったからな」
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治の方へとアゴでしゃくって
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弘の言葉には刺がある。
ある意味、それもしょうがないのだが。
ちなみに、弘は佑と治の『仲』を知らない。 佑が弘自身の失言によって知ってしまっているのとは対照的にである。
治も彼らの仲を知らないのだが、弘の言葉に刺があるのは何となくわかってしまっていた。
もちろん直也は全部知っていた。 そして言うまでもなく判ってもいた。
何故だかはともかく。
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