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そのよんじゅうに
酷似ヒロイン
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「お家デートって言葉があるじゃないですか」
またもや突然言い出したラスに、リシェはいつものようにうんざりした表情を剥き出しにしてしまう。
「何だいきなり」
「たまには先輩とそういうのも良いのかなあ…って…」
リシェはきょろきょろと周囲を見回した。
家というか寮の部屋だ。
「まさかお前、俺の家に突撃する気か?」
「して欲しいんですか?」
質問を質問で返すな、とリシェは舌打ちする。
「別にしても構わないが俺の家なんて知らないだろう。それに家に行けばあの気色悪いのが常時存在しているからな」
気色悪いの…とラスは該当する人物を思い浮かべる。
知っている限りで彼の特殊な兄位しか思いつかない。
「ああ…常時存在しているって、先輩のお兄さんって普段何をしてるんですか?」
弟を溺愛しているのはいいが、いかにもな口調で趣味に没頭している印象。でもこのような可愛い弟が居れば溺愛したくなってしまうのは十分分かる。分かり過ぎる。
一方のリシェはそんな事を聞いてどうするんだ…と一瞬面倒そうに黒い髪を掻き上げると、「あいつは家で出来る仕事しかしてないと思うぞ」と答えた。
「変な小説を書いてるらしい。それなりに稼いでいるらしいから誰も何も言わない」
「ほええ!?凄いじゃないですか!!売れっ子なんだ!?何ていう小説を作ってるんです?」
様々なジャンルがひしめく中、小説のみで稼げる作家はそうそう居ないだろう。かなりの人気の作家と見たラスは、思わずリシェに食いつくように質問する。
ラスは小説の類は読まないタイプだが、愛するリシェの事は何でも知りたいようだ。
しかしリシェは兄に対しては全く興味が無いらしく、どんな小説を作っているのか筆名はどのような名前なのかも把握していない状況だった。
天を仰ぎながら「何だっけ…」とぼやく始末。
ラスは知らないんですか?ときょとんとする。
「あいつに全く興味が無いからな」
「せめてペンネームとか…それでほら、色々検索出来るし」
「あー…そういえば何か出す度に宣伝紛いの事をしていたな」
どうやら個人的に向こうから宣伝していたらしい。
それでも全く反応をしようとしないとは、余程兄に対して興味が無いのだろう。
リシェは自分の携帯電話で連絡ツールアプリを通して履歴を見ていく。しばらくして、「あった」とラスに画面を見せた。
「ふんふん…っていうか、これあれじゃないですか…未成年が読んじゃあかんやつじゃないですかね…」
タイトルからしてそんな雰囲気がしてきた。
念の為に、と自分の携帯電話で検索して概要を覗き、そして「あぁ」とだけ呟く。
「これはあれです、先輩。大変エッチなやつです。でもたまに普通のも書かれているんですね…イラストとかもすっごい綺麗だし…って、んん??」
検索していく毎に、ラスはある事に気付いた。
リシェは首を傾げながら「何だ?」と問う。
表紙のイラストの羅列を見ていくと、必ず小柄な黒髪のキャラが居るような気がした。そして不意にリシェの顔を見比べる。
「気のせいかもしれませんがね。…怒らないで聞いて下さいよ?既刊の大半に、黒髪の可愛いキャラが居るんです。…何か必ず先輩に似ているキャラが居るような気がして」
何だと?とリシェはラスから携帯電話を引ったくり、画面を確認した。確かに似たようなキャラが居るような感じはするが。
そしてその似たようなキャラが半裸に剥かれている画像を確認した際、リシェは「…あの野郎!!」と激昂する。
「うわ!!何ですかいきなり!?」
「似ているだけならまだいい、名前まで酷似してるじゃないか!!何だリーチェって!!」
「ええ!?」
まさか名前まで似せているとは思わなかった。
兄弟愛もそこまでいくと怖い。
怒り狂うリシェは「電話してくる!!」とぷりぷりして部屋から出て行ってしまった。
「ひぇえ…まさかこんな小説を書いてたとかぁ…ちょっと欲しい…」
ではこれを読めば彼にいけない事をしている疑似体験が出来るという事ではないだろうか。しかも必ず酷い目にあっているのがまたたまらない。
完全に酷似したキャラが描かれた小説なら、個人的に買ってみたいと更にリシェを怒らせるような事を考えてしまった。
またもや突然言い出したラスに、リシェはいつものようにうんざりした表情を剥き出しにしてしまう。
「何だいきなり」
「たまには先輩とそういうのも良いのかなあ…って…」
リシェはきょろきょろと周囲を見回した。
家というか寮の部屋だ。
「まさかお前、俺の家に突撃する気か?」
「して欲しいんですか?」
質問を質問で返すな、とリシェは舌打ちする。
「別にしても構わないが俺の家なんて知らないだろう。それに家に行けばあの気色悪いのが常時存在しているからな」
気色悪いの…とラスは該当する人物を思い浮かべる。
知っている限りで彼の特殊な兄位しか思いつかない。
「ああ…常時存在しているって、先輩のお兄さんって普段何をしてるんですか?」
弟を溺愛しているのはいいが、いかにもな口調で趣味に没頭している印象。でもこのような可愛い弟が居れば溺愛したくなってしまうのは十分分かる。分かり過ぎる。
一方のリシェはそんな事を聞いてどうするんだ…と一瞬面倒そうに黒い髪を掻き上げると、「あいつは家で出来る仕事しかしてないと思うぞ」と答えた。
「変な小説を書いてるらしい。それなりに稼いでいるらしいから誰も何も言わない」
「ほええ!?凄いじゃないですか!!売れっ子なんだ!?何ていう小説を作ってるんです?」
様々なジャンルがひしめく中、小説のみで稼げる作家はそうそう居ないだろう。かなりの人気の作家と見たラスは、思わずリシェに食いつくように質問する。
ラスは小説の類は読まないタイプだが、愛するリシェの事は何でも知りたいようだ。
しかしリシェは兄に対しては全く興味が無いらしく、どんな小説を作っているのか筆名はどのような名前なのかも把握していない状況だった。
天を仰ぎながら「何だっけ…」とぼやく始末。
ラスは知らないんですか?ときょとんとする。
「あいつに全く興味が無いからな」
「せめてペンネームとか…それでほら、色々検索出来るし」
「あー…そういえば何か出す度に宣伝紛いの事をしていたな」
どうやら個人的に向こうから宣伝していたらしい。
それでも全く反応をしようとしないとは、余程兄に対して興味が無いのだろう。
リシェは自分の携帯電話で連絡ツールアプリを通して履歴を見ていく。しばらくして、「あった」とラスに画面を見せた。
「ふんふん…っていうか、これあれじゃないですか…未成年が読んじゃあかんやつじゃないですかね…」
タイトルからしてそんな雰囲気がしてきた。
念の為に、と自分の携帯電話で検索して概要を覗き、そして「あぁ」とだけ呟く。
「これはあれです、先輩。大変エッチなやつです。でもたまに普通のも書かれているんですね…イラストとかもすっごい綺麗だし…って、んん??」
検索していく毎に、ラスはある事に気付いた。
リシェは首を傾げながら「何だ?」と問う。
表紙のイラストの羅列を見ていくと、必ず小柄な黒髪のキャラが居るような気がした。そして不意にリシェの顔を見比べる。
「気のせいかもしれませんがね。…怒らないで聞いて下さいよ?既刊の大半に、黒髪の可愛いキャラが居るんです。…何か必ず先輩に似ているキャラが居るような気がして」
何だと?とリシェはラスから携帯電話を引ったくり、画面を確認した。確かに似たようなキャラが居るような感じはするが。
そしてその似たようなキャラが半裸に剥かれている画像を確認した際、リシェは「…あの野郎!!」と激昂する。
「うわ!!何ですかいきなり!?」
「似ているだけならまだいい、名前まで酷似してるじゃないか!!何だリーチェって!!」
「ええ!?」
まさか名前まで似せているとは思わなかった。
兄弟愛もそこまでいくと怖い。
怒り狂うリシェは「電話してくる!!」とぷりぷりして部屋から出て行ってしまった。
「ひぇえ…まさかこんな小説を書いてたとかぁ…ちょっと欲しい…」
ではこれを読めば彼にいけない事をしている疑似体験が出来るという事ではないだろうか。しかも必ず酷い目にあっているのがまたたまらない。
完全に酷似したキャラが描かれた小説なら、個人的に買ってみたいと更にリシェを怒らせるような事を考えてしまった。
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