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そのろくじゅうさん
真っ黒でいやらしくてやましい心
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ロシュが私室として利用している保健室内。
具合を訴える生徒も今の所不在なので、受け持っている授業も無いレナンシェと一緒にオセロに興じる最中、おもむろにぼそりと呟くロシュ。
「ああ、欲求不満だ」
思っていた事を普通に口を出していた。
その言葉をすかさずレナンシェは拾い上げ、何なんだいと言いながら眉を顰めた。
「それは私を誘っているのかい、ロシュ?」
言いながら彼は満更でも無いように問う。
しかしロシュは心底嫌そうな反応をして見せた。
「いいえ、全く」
そんなに否定しなくてもいいじゃないかと内心ショックを受けつつ、何がそんなに欲求不満なんですと自分の色である黒にひっくり返す。
「普通にしたいだけです」
「はい?何ですか、それは誘ってると言いませんか?誰としたいのです」
「私はリシェとしたいのです。リシェとエッチな事をしたくてしたくてたまらないのです」
こちらのリシェは自分との距離がとにかく遠い。
向こうの世界では普通にいちゃいちゃしているというのに、ここではノーマークだった相手によって自分とリシェとの距離を阻まれているのだ。
ぱちりとロシュは白の磁石を盤面に乗せた。
「あなたは生徒といかがわしい事をしたがる位、しょうもない変態に成り果てたのかい。全く、いつからそんなにド変態になったんだい」
こちらのレナンシェは酷く自分を罵ってくる傾向にあるようだ。
「あなたに言われると妙にイラッとしますね」
「イラっとしたのかい」
「とてもイラっとしました」
レナンシェは笑顔で黒に返していった。
きっとこれも欲求不満のせいなのだろう。多少の事でもストレスになってしまう。完全なリシェ不足に陥っているようだ。
「相手は子供でしょう。あなたは誰にも知られたくないでしょうが、あちこちにその子の写真が置かれているのを私は気づいていますよ」
え、とロシュは顔を上げてレナンシェを見た。
にこにこしながら彼は一冊の医学書を引っ張りぱらぱらと捲ると、一枚の写真をロシュの前に出す。
「あっ」
「栞の代わりかい?」
「そんなつもりは無いんですが」
その後、彼は別の机からあちこち探しては写真を並べていった。それも全て、色んな方向から見たリシェの写真だった。
ロシュは「よくある場所を把握してますね…」と妙な気持ち悪さを感じてしまう。
「君の事はよく把握しているんだよ、ロシュ」
「気持ち悪いなぁ」
どの口が言うのか。
レナンシェはにっこりと微笑み、「君には言われたくないけどなぁ」と言った。
ぱちん、と盤面を黒くしていく。
「ああ、出来上がってきた」
レナンシェはぼそりと呟いた。ロシュは「ん?」と盤面を覗き込むと、全てが真っ黒になっていた。
あれえ?と不思議そうに首を傾げる。
いつの間にこんなに取られていたのだろう。
あまりにもリシェの事ばかり考えていて、他の事に対して目を向けていなかった結果なのだろうか。
「ふふふ、君のドス黒い心みたいになったねえ」
レナンシェはえらく爽やかな顔で微笑んでいた。
具合を訴える生徒も今の所不在なので、受け持っている授業も無いレナンシェと一緒にオセロに興じる最中、おもむろにぼそりと呟くロシュ。
「ああ、欲求不満だ」
思っていた事を普通に口を出していた。
その言葉をすかさずレナンシェは拾い上げ、何なんだいと言いながら眉を顰めた。
「それは私を誘っているのかい、ロシュ?」
言いながら彼は満更でも無いように問う。
しかしロシュは心底嫌そうな反応をして見せた。
「いいえ、全く」
そんなに否定しなくてもいいじゃないかと内心ショックを受けつつ、何がそんなに欲求不満なんですと自分の色である黒にひっくり返す。
「普通にしたいだけです」
「はい?何ですか、それは誘ってると言いませんか?誰としたいのです」
「私はリシェとしたいのです。リシェとエッチな事をしたくてしたくてたまらないのです」
こちらのリシェは自分との距離がとにかく遠い。
向こうの世界では普通にいちゃいちゃしているというのに、ここではノーマークだった相手によって自分とリシェとの距離を阻まれているのだ。
ぱちりとロシュは白の磁石を盤面に乗せた。
「あなたは生徒といかがわしい事をしたがる位、しょうもない変態に成り果てたのかい。全く、いつからそんなにド変態になったんだい」
こちらのレナンシェは酷く自分を罵ってくる傾向にあるようだ。
「あなたに言われると妙にイラッとしますね」
「イラっとしたのかい」
「とてもイラっとしました」
レナンシェは笑顔で黒に返していった。
きっとこれも欲求不満のせいなのだろう。多少の事でもストレスになってしまう。完全なリシェ不足に陥っているようだ。
「相手は子供でしょう。あなたは誰にも知られたくないでしょうが、あちこちにその子の写真が置かれているのを私は気づいていますよ」
え、とロシュは顔を上げてレナンシェを見た。
にこにこしながら彼は一冊の医学書を引っ張りぱらぱらと捲ると、一枚の写真をロシュの前に出す。
「あっ」
「栞の代わりかい?」
「そんなつもりは無いんですが」
その後、彼は別の机からあちこち探しては写真を並べていった。それも全て、色んな方向から見たリシェの写真だった。
ロシュは「よくある場所を把握してますね…」と妙な気持ち悪さを感じてしまう。
「君の事はよく把握しているんだよ、ロシュ」
「気持ち悪いなぁ」
どの口が言うのか。
レナンシェはにっこりと微笑み、「君には言われたくないけどなぁ」と言った。
ぱちん、と盤面を黒くしていく。
「ああ、出来上がってきた」
レナンシェはぼそりと呟いた。ロシュは「ん?」と盤面を覗き込むと、全てが真っ黒になっていた。
あれえ?と不思議そうに首を傾げる。
いつの間にこんなに取られていたのだろう。
あまりにもリシェの事ばかり考えていて、他の事に対して目を向けていなかった結果なのだろうか。
「ふふふ、君のドス黒い心みたいになったねえ」
レナンシェはえらく爽やかな顔で微笑んでいた。
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