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第2章
第19話 チビ魔獣ウカルガンの神降臨?
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『さっきは凄かったね~ 可愛いモフモフだと油断したらモフモフパニックだもんね』
「そうだな、ウサギ頭にチビカンガルーの身体が思いのほかヤンチャだったな、
俺はコイツらにマジで殺されると思ったぞ」
「ふふ、そうですね、先程の奏多様のご様子には、
可愛さと恐怖が入り交じった感情が見受けられました」
「桜、そんな冷静な判断しないでくれよ、
俺は本当に必死で真琴を助け出そうとしていたんだぞ」
モフモフ可愛いと調子に乗った真琴が大量の果物や野菜に次いで、日本でおなじみだった小動物用の固形フードまでお取り寄せしたのが原因で、大量の【ウカルガン】(ウサギ頭にチビカンガルーの身体を持つ小型の魔獣)を呼び寄せてしまっていた。
真琴がウカルガンにもみくちゃにされているのを見た奏多が、真琴が襲われていると勘違いして助け出そうと飛び込んだのだが、何故かウカルガンが真琴を同種族の神だと思い込み、逆に真琴が奏多に危害を加えられると勘違いして、あわや危機一髪の所で、動物や魔獣とも話せた桜が双方に勘違いを教えてくれたことで、事なきを得ていたのだ。
奏多にとって真琴が危険にさらされることは、現世日本でのあの別れを思い出し、ある意味トラウマに近い感情に育ってしまったのは仕方のないことなのだろう。
『分かってる、奏多ありがとうね。
でもなんでオレを自分らの神だと勘違いしたんだろう?
ちゃんと人間に変身してバニボー姿じゃないのにさ』
「…… 真琴様、ウカルガンが、姿は人間に見えるが真実の姿は隠せない、
オーラを隠すことなど出来ません。と、話してます」
キャンプをしている平原には、何故か騒ぎが収まった後もウルガン達が百匹近く真琴を囲むように、あちらこちらを警戒しながらファイティングポーズで待機していた。
傍から見れば小型魔獣を集めて、戦闘訓練でもしているように見えていたかもしれない所だが、なにぶん真琴が人化している姿はやはり神様の、それも一番偉い神様のペットだからなのか、虹色のロングヘアーをなびかせている姿はかなり神々しく見えて、常に行動を共にする奏多と桜であっても、見とれてしまうことがあったりするのだ。
桜は元より真琴を主人と崇めているからいいが、奏多はかなり複雑な思いを抱いていたりする。それはそうだろう、ノーマル志向の人間が同姓の親友に、それも能天気な性格の幼馴染相手に見とれることがあるなどと相手に知られれば何を言われるか分かったものじゃないからだ。
『奏多~現世時代から何度も言っているだろう?
そんなに見つめられても気持ちに応えてやれないと。ニヒヒ』
「うるせーよ、一ミリも一ミクロンもそんな気は起きないから安心しろ。
それより、そろそろバニボー信者達を解散させる方向で、
さすがにこんな数を引き連れてフォルトザまで行けないからな」
『それも面白そうだけど、アム神に迷惑かけるのも悪いしね。
モフモフなみんな、食べ物は全部持って行っていいからね。
でも、ここでお別れしないとダメなんだ、またね! 』
ウキューウキューウリュリューウキウキューウキューウリュリュー
ウキューウリュリューウキューウキューウリュリュー
キュキュキュキュキューーー
真琴がさよならを告げた途端、ウカルガン達の悲しげな大合唱が平原に響き渡る。その鳴き声に奏多も桜も胸を締め付けられたが、当事者である真琴はと言えば、モフモフ大合唱だと喜ぶおバカぶりを発揮していた。
しかしウカルガン達は真琴の喜ぶ様子を見て、いったい何を思ったのか長い耳をパタパタ旋回させながら、両手を真琴に向けて上げ下げ一礼したのちに、それぞれが来た道を戻っているようだった。
『あーあ、モフモフ軍団が帰っちゃった。寂しいな、…… ん? 』
キュキュキュウ
「おい、白くて凄くちっちゃな子が残ってるが…… 」
「本当ですね、ああー分かりました。このウカルガンは自発的に残ったようです。
なんでも、片目が見えなくて片耳も聞こえず、仲間に迷惑をかけているのが辛く、
神様のお傍に置いて下さいと言っているようです」
「このこ、アルビノなんじゃないか? みんな目が赤かったから気が付かなかったが」
『そうなの? 目の色が左右で違うオッドアイじゃないの?
綺麗な紫色と金色でいいじゃん! でも片目見えないの? 耳も?
それは不便だね。待ってね~治してあげるから』
「おいおい真琴、治すってお前出来るのか? 」
『ん? 大丈夫だよ、ゼノバゼロス様から変身魔法習ったときに、
回復魔法だけは仲間の為に絶対必要だと思ったんだよね』
「「…… そうか」真琴様」
いつもちゃらちゃらしている真琴の仲間を思う真剣な様子に、らしくなく感動してしまった奏多と、やはり私の真琴様は素晴らしいと感動している桜とが見守る中で、変身をいつの間にか解いてバニボー姿に戻った真琴は、手のひらからとても暖かで慈愛に満ちた光を、チビウカルガンへと降り注いでいた。
『チビウカルガンちゃん、どうかな、オレがはっきり見える?
そして、オレの神々しい声がはっきり聞こえるかな? 』
ウキューウキューウリュリューキュウ
「真琴様! 素晴らしいです。この子は見えるし聞こえるそうです!
そして、いつも片側が動きにくいと思っていたのも治ったと言ってます」
『ワハハ! やっぱりオレって凄いね、うん、チビちゃん良かったね。
どうする? 仲間の所へ帰ってもいいんだよ、怒ったりしないからね』
ウッキューウキュー!!
『ワハハ! やっぱりオレの傍に居たいんだね。いいよおいで~
そうだ、名前を付けなきゃね。う~ん、真っ白だから……
マシュマロ! マシュマロちゃんでいいかな? 』
ウキューウキュー
『おおー気に入ったんだね。これからよろしくね。
奏多、桜、マシュマロだ! 可愛い仲間をよろしくね』
「「おお!!」はい! 」
「「マシュマロ、よろしく」」
ウキュキュキュー
初めての異世界の旅で見つけた、可愛いモフモフのマシュマロが仲間になって、真琴達のテンションは大きく上がって行くが、この先の首都フォルトザで思いがけない騒動に巻き込まれるのは、また別のお話である。
「そうだな、ウサギ頭にチビカンガルーの身体が思いのほかヤンチャだったな、
俺はコイツらにマジで殺されると思ったぞ」
「ふふ、そうですね、先程の奏多様のご様子には、
可愛さと恐怖が入り交じった感情が見受けられました」
「桜、そんな冷静な判断しないでくれよ、
俺は本当に必死で真琴を助け出そうとしていたんだぞ」
モフモフ可愛いと調子に乗った真琴が大量の果物や野菜に次いで、日本でおなじみだった小動物用の固形フードまでお取り寄せしたのが原因で、大量の【ウカルガン】(ウサギ頭にチビカンガルーの身体を持つ小型の魔獣)を呼び寄せてしまっていた。
真琴がウカルガンにもみくちゃにされているのを見た奏多が、真琴が襲われていると勘違いして助け出そうと飛び込んだのだが、何故かウカルガンが真琴を同種族の神だと思い込み、逆に真琴が奏多に危害を加えられると勘違いして、あわや危機一髪の所で、動物や魔獣とも話せた桜が双方に勘違いを教えてくれたことで、事なきを得ていたのだ。
奏多にとって真琴が危険にさらされることは、現世日本でのあの別れを思い出し、ある意味トラウマに近い感情に育ってしまったのは仕方のないことなのだろう。
『分かってる、奏多ありがとうね。
でもなんでオレを自分らの神だと勘違いしたんだろう?
ちゃんと人間に変身してバニボー姿じゃないのにさ』
「…… 真琴様、ウカルガンが、姿は人間に見えるが真実の姿は隠せない、
オーラを隠すことなど出来ません。と、話してます」
キャンプをしている平原には、何故か騒ぎが収まった後もウルガン達が百匹近く真琴を囲むように、あちらこちらを警戒しながらファイティングポーズで待機していた。
傍から見れば小型魔獣を集めて、戦闘訓練でもしているように見えていたかもしれない所だが、なにぶん真琴が人化している姿はやはり神様の、それも一番偉い神様のペットだからなのか、虹色のロングヘアーをなびかせている姿はかなり神々しく見えて、常に行動を共にする奏多と桜であっても、見とれてしまうことがあったりするのだ。
桜は元より真琴を主人と崇めているからいいが、奏多はかなり複雑な思いを抱いていたりする。それはそうだろう、ノーマル志向の人間が同姓の親友に、それも能天気な性格の幼馴染相手に見とれることがあるなどと相手に知られれば何を言われるか分かったものじゃないからだ。
『奏多~現世時代から何度も言っているだろう?
そんなに見つめられても気持ちに応えてやれないと。ニヒヒ』
「うるせーよ、一ミリも一ミクロンもそんな気は起きないから安心しろ。
それより、そろそろバニボー信者達を解散させる方向で、
さすがにこんな数を引き連れてフォルトザまで行けないからな」
『それも面白そうだけど、アム神に迷惑かけるのも悪いしね。
モフモフなみんな、食べ物は全部持って行っていいからね。
でも、ここでお別れしないとダメなんだ、またね! 』
ウキューウキューウリュリューウキウキューウキューウリュリュー
ウキューウリュリューウキューウキューウリュリュー
キュキュキュキュキューーー
真琴がさよならを告げた途端、ウカルガン達の悲しげな大合唱が平原に響き渡る。その鳴き声に奏多も桜も胸を締め付けられたが、当事者である真琴はと言えば、モフモフ大合唱だと喜ぶおバカぶりを発揮していた。
しかしウカルガン達は真琴の喜ぶ様子を見て、いったい何を思ったのか長い耳をパタパタ旋回させながら、両手を真琴に向けて上げ下げ一礼したのちに、それぞれが来た道を戻っているようだった。
『あーあ、モフモフ軍団が帰っちゃった。寂しいな、…… ん? 』
キュキュキュウ
「おい、白くて凄くちっちゃな子が残ってるが…… 」
「本当ですね、ああー分かりました。このウカルガンは自発的に残ったようです。
なんでも、片目が見えなくて片耳も聞こえず、仲間に迷惑をかけているのが辛く、
神様のお傍に置いて下さいと言っているようです」
「このこ、アルビノなんじゃないか? みんな目が赤かったから気が付かなかったが」
『そうなの? 目の色が左右で違うオッドアイじゃないの?
綺麗な紫色と金色でいいじゃん! でも片目見えないの? 耳も?
それは不便だね。待ってね~治してあげるから』
「おいおい真琴、治すってお前出来るのか? 」
『ん? 大丈夫だよ、ゼノバゼロス様から変身魔法習ったときに、
回復魔法だけは仲間の為に絶対必要だと思ったんだよね』
「「…… そうか」真琴様」
いつもちゃらちゃらしている真琴の仲間を思う真剣な様子に、らしくなく感動してしまった奏多と、やはり私の真琴様は素晴らしいと感動している桜とが見守る中で、変身をいつの間にか解いてバニボー姿に戻った真琴は、手のひらからとても暖かで慈愛に満ちた光を、チビウカルガンへと降り注いでいた。
『チビウカルガンちゃん、どうかな、オレがはっきり見える?
そして、オレの神々しい声がはっきり聞こえるかな? 』
ウキューウキューウリュリューキュウ
「真琴様! 素晴らしいです。この子は見えるし聞こえるそうです!
そして、いつも片側が動きにくいと思っていたのも治ったと言ってます」
『ワハハ! やっぱりオレって凄いね、うん、チビちゃん良かったね。
どうする? 仲間の所へ帰ってもいいんだよ、怒ったりしないからね』
ウッキューウキュー!!
『ワハハ! やっぱりオレの傍に居たいんだね。いいよおいで~
そうだ、名前を付けなきゃね。う~ん、真っ白だから……
マシュマロ! マシュマロちゃんでいいかな? 』
ウキューウキュー
『おおー気に入ったんだね。これからよろしくね。
奏多、桜、マシュマロだ! 可愛い仲間をよろしくね』
「「おお!!」はい! 」
「「マシュマロ、よろしく」」
ウキュキュキュー
初めての異世界の旅で見つけた、可愛いモフモフのマシュマロが仲間になって、真琴達のテンションは大きく上がって行くが、この先の首都フォルトザで思いがけない騒動に巻き込まれるのは、また別のお話である。
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