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第一章
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ぴょんぴょん跳ねるスライムを追いかけた先には…おそらくは10匹以上はいるだろう大量のスライムがいた。
「すごい数…!」
「うん?なんかスライムに埋もれてる人いない?」
私が大量発生しているスライムに驚いていると、奈々子が大群の中に向かって指を指していたのでそれを見た。
「えっ?あっ、本当だ!確かにいる…」
「いくらスライムが雑魚モンスターだからってあんなに大量に囲まれてちゃHPをギリギリまで吸われちゃうよ?!」
「それってかなりやばいじゃん?!助けに行こう!!」
「だね!行こう!」
そういえば忘れてたけど私、これが最初のクエストで最初の戦闘になるんだよな…。
上手くできるだろうか…。
コマンドを見て、今私ができる技を見る。
今私が習得しているのは『#淡泡_バブル__#』という技だ。
小さな泡を的に向かって当てる、そういう技らしい。
初期設定の技なので当然威力は弱い。
いくらスライム相手でも数が多くては一掃できない。
「『微風』!!」
奈々子の属性はどうやら『風』のようだ。
さすが私よりも長くプレイしていることもあり、初期設定の技でも威力は私よりも強い。
「ねえ奈々子、いままでもこんな大量発生あったの?」
「いや、こんなの初めてだよ!?大量発生情報なら運営の方からお知らせが来るはずだもん!」
「じゃあこれもバグってこと?!」
「そうかも!なんかことごとく運悪いね!」
こうも多くのスライムを倒してきたからか、私と奈々子のレベルも着々と上がってきた。
「ひ~!こんなこと初めてだ!今までにないスピードでレベル上がってきてる~!MP足りるかな…」
技を打つのにもMPというポイントがある。
レベルが上がるにつれ、MPの数も上がっては来るけれど…、それでもこの大量のスライムを倒し切れるほどまで足りるか正直不安だ。
すでにクエストはクリアしているが、それでもスライムに埋もれたまま動けない人を放っておくのはよくないと思ったので私はそのままスライム退治を続けた。
奈々子もそれに賛同してくれた。
ゲームの中だから放っておけばいいんじゃ?とか思う人も中に入るかもしれないけど、現実じゃなくても大変な目に遭っている人を見ると助けたくなる。
「奏波!私このままスライムたちの相手するからあんたは埋もれてる人を助けに行って!」
「わかった!」
私はそのままスライムの中へ突っこんでいき、埋もれている人の腕をなんとかつかんだ。
その人の腕からは着物のような装備が見られた。
「あの!大丈夫ですか?!」
スライムの海の中から人を引き上げると顔…というかお面が見えた。
それも狐のお面だ。
あれ?このお面…見たことあるぞ?
狐のお面の人は気がついたのか、「あれ?」と声を漏らした。
「うわ、なにこれ。ベトベトしてる」
と呑気なことを言いながら、煌びやかな着物についたスライムの粘液を払っていた。
「奏波!そこにいる人、大丈夫そう?」
と奈々子は私に呼びかけた。
「うん!気がついたみたい!えっと…スライムに囲まれてるから早くここから逃げましょう!」
「あー…スライム?このベトベト…そういうこと…あれ?でもなんでぼく、こんなところ?」
と狐のお面の人は独り言を呟いていた。
「あの…」
狐のお面の人は私が呼びかけても動かない。
ダメージ大きかったのかな…。
「まっ、いいか」
狐のお面の人は自分の武器であろう、扇を取り出す。
「『風神之舞』」
と奈々子の風属性とは違う、ものすごい威力の風が辺り一体のスライムをなぎ払った。
「すごい数…!」
「うん?なんかスライムに埋もれてる人いない?」
私が大量発生しているスライムに驚いていると、奈々子が大群の中に向かって指を指していたのでそれを見た。
「えっ?あっ、本当だ!確かにいる…」
「いくらスライムが雑魚モンスターだからってあんなに大量に囲まれてちゃHPをギリギリまで吸われちゃうよ?!」
「それってかなりやばいじゃん?!助けに行こう!!」
「だね!行こう!」
そういえば忘れてたけど私、これが最初のクエストで最初の戦闘になるんだよな…。
上手くできるだろうか…。
コマンドを見て、今私ができる技を見る。
今私が習得しているのは『#淡泡_バブル__#』という技だ。
小さな泡を的に向かって当てる、そういう技らしい。
初期設定の技なので当然威力は弱い。
いくらスライム相手でも数が多くては一掃できない。
「『微風』!!」
奈々子の属性はどうやら『風』のようだ。
さすが私よりも長くプレイしていることもあり、初期設定の技でも威力は私よりも強い。
「ねえ奈々子、いままでもこんな大量発生あったの?」
「いや、こんなの初めてだよ!?大量発生情報なら運営の方からお知らせが来るはずだもん!」
「じゃあこれもバグってこと?!」
「そうかも!なんかことごとく運悪いね!」
こうも多くのスライムを倒してきたからか、私と奈々子のレベルも着々と上がってきた。
「ひ~!こんなこと初めてだ!今までにないスピードでレベル上がってきてる~!MP足りるかな…」
技を打つのにもMPというポイントがある。
レベルが上がるにつれ、MPの数も上がっては来るけれど…、それでもこの大量のスライムを倒し切れるほどまで足りるか正直不安だ。
すでにクエストはクリアしているが、それでもスライムに埋もれたまま動けない人を放っておくのはよくないと思ったので私はそのままスライム退治を続けた。
奈々子もそれに賛同してくれた。
ゲームの中だから放っておけばいいんじゃ?とか思う人も中に入るかもしれないけど、現実じゃなくても大変な目に遭っている人を見ると助けたくなる。
「奏波!私このままスライムたちの相手するからあんたは埋もれてる人を助けに行って!」
「わかった!」
私はそのままスライムの中へ突っこんでいき、埋もれている人の腕をなんとかつかんだ。
その人の腕からは着物のような装備が見られた。
「あの!大丈夫ですか?!」
スライムの海の中から人を引き上げると顔…というかお面が見えた。
それも狐のお面だ。
あれ?このお面…見たことあるぞ?
狐のお面の人は気がついたのか、「あれ?」と声を漏らした。
「うわ、なにこれ。ベトベトしてる」
と呑気なことを言いながら、煌びやかな着物についたスライムの粘液を払っていた。
「奏波!そこにいる人、大丈夫そう?」
と奈々子は私に呼びかけた。
「うん!気がついたみたい!えっと…スライムに囲まれてるから早くここから逃げましょう!」
「あー…スライム?このベトベト…そういうこと…あれ?でもなんでぼく、こんなところ?」
と狐のお面の人は独り言を呟いていた。
「あの…」
狐のお面の人は私が呼びかけても動かない。
ダメージ大きかったのかな…。
「まっ、いいか」
狐のお面の人は自分の武器であろう、扇を取り出す。
「『風神之舞』」
と奈々子の風属性とは違う、ものすごい威力の風が辺り一体のスライムをなぎ払った。
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