上 下
7 / 8

初ダンジョン

しおりを挟む
ぼんやりと光が見える。

ここはどこだっけ?

長い夢を見ていた気がする。

「レッドさん!」

俺を呼ぶ声がする。

この声は…


「マホ…」

「みなさん、気がついたみたいです」

ブラック・マホが回復魔法を俺に使っているようだ。

思い出した。

俺はレベル1000ダンジョンにいたんだ。

「トヲルは?」

「何も覚えていないんですね」

周りをよく見ると、草原ではなく荒地になっていた。

あまりの変わり様に一瞬驚いたが、状況は飲み込めた。

「俺がトヲルを倒したんだな」

「はい」

マホは頷いた。

「夢を見ていたんだ。トヲルと出会った頃の夢」

「どんな夢だった?」
紫・ピィメンが質問をした。

「7年前、勇者になりたての時の夢だった」

7年前

レッド・チャンは勇者になった。

「最初は誰でもレベル1からスタートになります」

「どうやったらレベルを上げられるの?」

ここは勇者になる為の受付。

受付の人と少年が話していた。

この少年こそレッド・チャンだ。

レッド・チャンの質問に受付の人は答えた。

「ダンジョンにはレベルがあります。クリアしたダンジョンのレベルと活躍によって、協会が判定をしてレベルの割振りをします」

「じゃあ、高いレベルのダンジョンに挑戦したい」

「それはできません。最初の勇者にはダンジョンに慣れてもらう為、上級レベルの勇者1人とレベル1勇者4人の5人編成で低レベルダンジョンに挑んでもらいます」

「そっか。じゃあいつそのダンジョンには行けるの?」

「レベル1勇者はあなたを合わせて3人いますので、あと1人勇者の申請をした人がいれば挑めますよ」

「だったら今から行きましょうか」

後ろから太めのおじさんが話に割り込んできた。

「あなたは?」

受付の人が質問をした。

「僕も勇者になる」

太めのおじさんは勇者の申請をした。

それから、太めのおじさんは受付を済ませ終えてやって来た。

「初ダンジョン行けるってさ。よろしくね」

おじさんはそう言って手を差し伸べてきた。

「よろしくな!俺はレッド・チャン」

おじさんと握手を交わした。

「グンジョウです」

それからはグンジョウとしばし会話をし、少ししてからダンジョンに案内された。

メンバーはこの俺、レッド・チャンとグンジョウのおっさん、初心者勇者のミズウィローとトヲル・メイ、上級レベル勇者のグレーさんだ。

グレーさんがダンジョンの扉の説明をしてから扉を開けた。

そこは一面の草原だった。

その中に、ウサギにしては大きなウサギがいた。

大きいといっても、そんなに大きくはなくて三輪車くらいの大きさだ。

目が真っ赤で、とても目つきが悪い。

「このウサギは見て分かる通り、普通のウサギではない。モンスターだ。ただ、そこまで強いモンスターでもないから大丈夫。誰か戦ってみたい人はいるかな?」

グレーさんは優しく問いかけた。

「俺がやるぜ!」

俺は真っ先に手を挙げた。

隣でグンジョウのおっさんも手を挙げていた。

「じゃあ2人で倒してみようか」

グレーさんは、武器を取り出して俺に渡してくれた。

俺は初めて、剣を手にした。

「君にも武器を渡そう」

グンジョウのおっさんにも剣を差し出した。

「そんな弱い剣なんていらないね」

グンジョウのおっさんが喋ると同時に、グレーさんは血を吐き出した。

良く見ると、グンジョウのおっさんの手から光の剣が出ていて、グレーさんの腹部を貫通していた。

「お前は一体誰だ!」

グレーさんが叫んだ。

「僕はモンスターだ」

グンジョウのおっさんが答えた。

グレーさんは手にしていた剣でグンジョウのおっさん目掛けて斬りかかった。

だが、その剣はグンジョウのおっさんの光る剣によって砕かれた。

そのままグンジョウのおっさんは、グレーさんを切り裂いた。

「上級レベルの勇者も大したことないな」

その光景を見たミズウィローは来た道を戻り扉の方に逃げ出した。

「逃がさないよ」

グンジョウのおっさんは気づいたら、ミズウィローの前に立ちはだかっていた。

そして、光る剣でまたしても切り裂いた。

「おい、グンジョウのおっさん!!!」

俺は叫んだ。

「レベル1勇者のレッドくん、そんな怖そうな顔をしてどうしたんだい?」

グンジョウのおっさんはニヤリと笑いながらこっちを見た。

俺にアイツを倒す力なんてない。

初めてのダンジョンで俺は命を落とすのか。

その時、直ぐ隣から声が聞こえた。

「レッド、君となら倒せる気がする」

隣を見ても誰もいない。

良く見ると、トヲル・メイの姿もない。

トヲルが急に隣に現れた。

「僕の能力さ」

トヲルが言った。

「それよりお前と力を合わせたらアイツを倒せるのは本当か?」

「僕とレッドが力を合わせたら誰にだって負けやしないよ」

俺とトヲルを見ながら、グンジョウはゆっくりと近づいてくる。

段々と人の姿からモンスターの姿へと変えていく。

「レベル1勇者が揃った所で何ができる?」

完全にモンスターの姿に変貌したグンジョウと対峙した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。 しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。 だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。 そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。

雨の世界の終わりまで

七つ目の子
ファンタジー
第一部  魔王が滅びて約100年。人々は魔王の残した呪いに悩まされていた。 不死の呪いにして必死の呪い。そんな呪いに罹った青年レインは残された最後の5年間旅をする。  魔物溢れる悪意に満ちた世界。 そんな世界で出会ったサニィという少女と共に何かを残す為、鬼と呼ばれた村の青年は進む。           《Heartful/Hurtful》  世界を巡る青年と少女のハートフル冒険譚。 ―――――――――――――――――――――――― 第二部  二人の英雄が世界を救って4年。 魔物の脅威は未だなくならず、凶暴化している。その日も、とある村が魔物の襲撃に晒され、戦士達は死を覚悟していた。 そこに現れたのは、一人の武器にまみれた少女だった。  鬼の二人の弟子、心を読む少女と無双の王女の英雄譚。 第二部完結! 第三部ほぼ毎日不定時更新中! 小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しております。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

処理中です...