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『といっても重要な出来事くらいしかわからないんだけど……、って聞いてる?』

 私が聞いていいないのがわかったのか、妖精のアオがプンプンと怒ってる。でも小さなアオが怒っても怖くもなんともない。なんか可愛い?

「そのことはいいわ。聞いてもよくわからないし」
「そうなの? 変わってるわね。私たちが未来を知ってるってわかると、みんな知りたがるために躍起になるものなのに。ある人は金銀財宝をくれると言ったものよ」

 へえ、そんな人がいるのかぁ。でも私には関係のないことね。

「そう。でも私は金銀財宝なんて持ってないもの。とても無理ね」
『まあ。じゃあこれはどう? 上級貴族の地位をくれるって言った王様もいたわよ』

 王様ねぇ。雲の上の人過ぎてますます私には関係ないことだってわかるわ。それにしてもこの王様、悪戯好きの妖精に貴族の地位をあげてどうするつもりなのかしら。本気で言ったのだとしたら危ない国よね。

「私は王様じゃないから上級貴族の地位なんてあげられないわよ」
『もう! 本当に変わった子ね。自分の未来が知りたいとは思わないの?』
「あら重要な出来事しかわからないんじゃなかったの? 私の未来なんて重要じゃないわよね」
『あら、私の話きちんと聞いていたのね。まあそうなんだけどね。この国の未来とか知りたくないの?』
「別にいいわ。私は自分の未来は自分で開くもの。この国の未来があまりよくないものだとしても、私が何かしたところで変わるものでもないでしょ。そんなことよりあなたに頼みたいことがるの。私にとってはこっちのほうが重要ね」
『そんなことって……、まあいいわ。でも私があなたの頼みを聞く義理はないわね』

 アオは呆れたような顔をした後、ちょっと意地悪そうな顔で断ってきた。予想通りの反応だった。

「義理はないかもしれないけど、あなたのした悪戯によって大変なことになっているのだから私の頼みの一つや二つ聞いてくれても良いと思うわ」
『妖精に罪悪感とか期待しても無駄よ』

 生まれたばかりの子供を入れ替えるなんてことを平気でする妖精に罪悪感なんて期待しても無理なのはわかっている。でもアオにしか頼めないのだから仕方ない。

「もとの家族がどうなっているのか見てきてくれない?」

 私の頼みが意外だったのか目を丸くしている。

『あら、まあ。切り捨てた家族のことが気になるの? それとも庶民になったアンナって娘のことがどうなったのか知りたいのかしら』
「知っているの?」
『知らないわ。でもクリューが傍にいるみたいだってことはわかっているわ』
「クリュー?」
『私の仲間である妖精のことよ。なんでかアンナって娘のそばにいるのよね。でもそうねえ、いいわ。見てきてあげる。でも私たち妖精は無料では動かないわ。なにか美味しいものでも用意していて。それによって教えられる事柄がかわってくるから。っじゃ、またね』

 美味しいもの? 妖精って何を食べるの? それにしても、どうしてアンナのそばにアオの仲間の妖精がいるのかしら。わからないことだらけだわ。
 でもこれで私が動くことなく、家族の様子が分かるのだから、美味しいものの一つや二つ用意するのは安いものよね。

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