チェンジ~花奈~

小鳥遊郁

文字の大きさ
上 下
2 / 3

しおりを挟む
    

「それで君はどうする」

 感激してる井端くんの事はもう済んだとばかりに私に話しかけてくる。

「私も大体は同じでお願いします。ただ私は女なので、冒険者にはなりたくないのですが何か暮らしていけるスキルとかないですか?」

「ふむ。治癒はどうだ? 治癒能力を持ってる人は少ないからありがたがられるだろう。それと鑑定も与えよう。この二つがあればポーションを作って売ることもできよう」

 ポーション売ることが出来たら暮らせていける気がする。とにかく知らない世界でお金は重要だよ。

「それと困った時に相談できる人が欲しいです」

「それは行ってから作ればよかろう」

「神様とは話せないのですか?」

「ふむ。私を信仰してる神殿でなら話せることもあるが、よほどのことがない限り手を貸すことはできないからな」

「わかりました。話せるだけでもいいです」

 とりあえず保護者みたいなのはゲット出来たような気がする。

「君達は違う国に行く事になる。後に会うのは構わない。井端理玖はザラーン国だ。ザラーンの情報はステータスにある。地図もあるので参照するように。須賀花奈はマダルーン国だ。情報は全てステータスに入れてある」

 神様はそこで息をひとつ吐くと

「君達は一度死んだものだ。これから行く世界は元の世界よりも人の命が軽い。それでもできるだけ長く生きれるように頑張ってくれ。以上だ。今から二人の姿をこの世界で生きれるように変える。目が覚めたら異世界だ。幸運を祈る」

 神様の「幸運を祈る」の言葉と同時に意識がなくなった。



「.....う、うん」

「お兄さん、こんな所で寝てたら風邪ひくよ」

「えっ!」

 小さい子供に起こされたらしい。目の前の状況から考えてここは異世界。やっぱり夢オチじゃなかったのね。それにしても神様って酷い。可愛い乙女を外に放り出すなんて! 人さらいに攫われたらどう責任取ってくれるんだろう。プンプンだよ。

「お兄さん、大丈夫? もしかして誰かに殴られて伸びてたの?」

「ううん。大丈夫。でもお兄さんじゃなくてお姉さんでしょう?」

 いくらなんでもお兄さんは無いよね。神様も美男美少女って言ってたのに、この子供は何を言ってるんだろう。この胸だって今までより大きいはず。と思いながら胸に手を置いて....? ない。無いよね。胸がないよ。正確に言うと胸の盛り上がりが、洗濯板だよ。おまけに手もゴツくなったような.....。
 そういえば声もずいぶん低くなってる。これって男の声じゃないの?

「鏡...鏡はないの?」

「鏡? 自分を見たいのなら店のガラスを利用したらいいよ。ガラスに映るから見れるよ」

 急いで起きて店のある方向に行く。よくわからないけど大通りにいけばあるだろう。あえて下半身は見なかった。見るのが怖いから。さ、触るのはもっと嫌だ~。

「この顔って.....」

 いろいろ変わってるけど、井端理玖の顔だ。髪は銀髪だし、瞳も濃い青になってるし、色も白いし、鼻も高く背も高いけど井端理玖だよね。なんで私が井端理玖になってるのよ~。あの神様が間違えたのか! 神様に訴えよう!

「神殿、神殿ってどこにあるの?」

 さっきの子供がまだ私の隣にいるので尋ねる。

「もうすぐ暗くなるから神殿に行っても入れないよ。それよりお兄さん、宿はいいの? まだなら『宿屋しずく』に来なよ。うちなら色々教えてあげるよ。お兄さん頭でも打ったのか、さっきから変だよ」

「どうしてそんなに親切なの?」

「行き倒れてたら助けるのが、うちの方針なんだよ」

「お金持ってなかったらどうするのよ」

「その時は身体で返してもらってる.....って何してるの?」

 思わず胸を隠すように手を交差してかばってしまった。もう胸なんてないのに......。

「身体でっていうから、思わず.....」

「そういう意味じゃないから。働いてっていう事。皿洗いとかあるでしょ。男なのに変な奴だな」

 子供に変な奴って言われたよ。早く神様にあってなんとかしてもらわないと.......。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

処理中です...