52 / 96
第5話(5)
しおりを挟む
「しゅーすけ君?」
「本物の先生は無理だけど、僕でよければ簡単な授業をしてみよっか? まあ、満足してもらえるかはわかんないけどね」
「ううん。修助君が迷惑じゃなかったら……」
「迷惑じゃないよ。……コホン。それでは、ただいまから修助先生による特別授業を開始します」
教壇に上がり、まずは出席確認から。
「今から出席をとります。呼ばれたら返事をするように。マシマロくん」
「はーい」
「レートくん」
「はいっ」
「良い返事です。それでは、今から問題を出すから、わかった人は答えるように」
一問出して、答えて、解説。こういった形式の方があまり知識がなくても授業としての雰囲気は出ると思う。もちろん、知識がないのは僕ね。
暫し考え、白チョークをとり、黒板にこう書いた。
『( )年 鎌倉幕府創設』
これは中学校の歴史の問題。
英語や数学はマシマロ、レート、僕も自信がないから、暗記科目を選んだ。それに、年号や人名を覚える時はよく庭に出て、一緒に遊びながら呟いて頭に叩き込んでたから、もしかしたら覚えてくれてるかもしれないと思った。
「ここには西暦――800年とか1200何年とかが入るからね。ぱっと閃いた数字を言ってみてもいいよ」
「はーい!」
「おっ、マシマロくんどうぞ」
「1187年」
「う~ん、ちょっと違うなぁ。おしいよ」
近かったからちょっぴり驚き。もしかして、うっすらと記憶にあったのかな。
「は、はい……」
「レートくん」
「1188年、かなぁ?」
「あとちょっと!」
かなり惜しい。もしかして、僕より頭良い?
「じゃあ、1189年かなー?」
「あと数年」
「えと、1190年?」
「もう一声」
「1191年!」
「もう少し。手を伸ばせば届く」
「1192年、かなぁ……」
「はい正解! 答えは1192年です!」
正解したレート、頑張ったマシマロに拍手を送る。
「すっごいねー。さすがレー君だよー!」
「最初にヒントくれたマシマロちゃんのおかげだよ」
まあ、本来はクイズみたいなノリはないんだけど、今回は『特別授業』。楽しくがモットーだから、これで良いのである。
「では解説を。……鎌倉幕府はね、幕府――今の政府のようなものを鎌倉、今の神奈川県に創ったからそう呼ばれているんだ。ちなみに作った人は、源頼朝さん」
去年まで勉強していた分野だからか、まともに説明できてびっくりだ。
「先生質問です。どうして作ったんですかー?」
マシマロが挙手。
「ま、まあ……源さんも、一念発起したんじゃないかな」
「そうなんだー。偉いねー」
ごめんね。僕、そこまでツッコまれると答えきれない。
源さん、適当なことを言って申し訳ございません。
「こ、これはテストにも良く出る問題だから重要です。『良い国鎌倉幕府』って覚えればスッと頭に入ってくるからぜひ試してみるように」
『はーい』
どうにか上手くまとまった。ではもう一問。こんどは近代に飛ぼう。
『( )年 大日本帝国憲法制定』
「これはわかるかな?」
「905年!」
「1356年?」
「う~ん、両方遠いなー」
さすがに年が離れすぎたせいか、正解は出ず解説へ。
「正解は1889年です。この大日本帝国憲法というのは、今の憲法――日本国憲法の元になってるんだよ」
「はーい。質問でーす。この憲法は誰が作ったんですか?」
さすがマシマロ。いい線ついてくる。さっきは不覚を取ったけど、今回はばっちり。
「これはですね………………あれ?」
誰だ!?
た、確か……人のはず。それは当然か。ええと、案を出した方は沢山いるだろうけど、中心人物がいた、ような。いなかったような。
「えーとですね……」
源さん? まさか七百年の時は超えてら
っしゃらないだろう。
「えー……あー……そのぉ――」
「……何してんの?」
記憶をサルベージしていると、廊下側から声が。視線をやると、飽きれた様子で夏子が立っていた。
「本物の先生は無理だけど、僕でよければ簡単な授業をしてみよっか? まあ、満足してもらえるかはわかんないけどね」
「ううん。修助君が迷惑じゃなかったら……」
「迷惑じゃないよ。……コホン。それでは、ただいまから修助先生による特別授業を開始します」
教壇に上がり、まずは出席確認から。
「今から出席をとります。呼ばれたら返事をするように。マシマロくん」
「はーい」
「レートくん」
「はいっ」
「良い返事です。それでは、今から問題を出すから、わかった人は答えるように」
一問出して、答えて、解説。こういった形式の方があまり知識がなくても授業としての雰囲気は出ると思う。もちろん、知識がないのは僕ね。
暫し考え、白チョークをとり、黒板にこう書いた。
『( )年 鎌倉幕府創設』
これは中学校の歴史の問題。
英語や数学はマシマロ、レート、僕も自信がないから、暗記科目を選んだ。それに、年号や人名を覚える時はよく庭に出て、一緒に遊びながら呟いて頭に叩き込んでたから、もしかしたら覚えてくれてるかもしれないと思った。
「ここには西暦――800年とか1200何年とかが入るからね。ぱっと閃いた数字を言ってみてもいいよ」
「はーい!」
「おっ、マシマロくんどうぞ」
「1187年」
「う~ん、ちょっと違うなぁ。おしいよ」
近かったからちょっぴり驚き。もしかして、うっすらと記憶にあったのかな。
「は、はい……」
「レートくん」
「1188年、かなぁ?」
「あとちょっと!」
かなり惜しい。もしかして、僕より頭良い?
「じゃあ、1189年かなー?」
「あと数年」
「えと、1190年?」
「もう一声」
「1191年!」
「もう少し。手を伸ばせば届く」
「1192年、かなぁ……」
「はい正解! 答えは1192年です!」
正解したレート、頑張ったマシマロに拍手を送る。
「すっごいねー。さすがレー君だよー!」
「最初にヒントくれたマシマロちゃんのおかげだよ」
まあ、本来はクイズみたいなノリはないんだけど、今回は『特別授業』。楽しくがモットーだから、これで良いのである。
「では解説を。……鎌倉幕府はね、幕府――今の政府のようなものを鎌倉、今の神奈川県に創ったからそう呼ばれているんだ。ちなみに作った人は、源頼朝さん」
去年まで勉強していた分野だからか、まともに説明できてびっくりだ。
「先生質問です。どうして作ったんですかー?」
マシマロが挙手。
「ま、まあ……源さんも、一念発起したんじゃないかな」
「そうなんだー。偉いねー」
ごめんね。僕、そこまでツッコまれると答えきれない。
源さん、適当なことを言って申し訳ございません。
「こ、これはテストにも良く出る問題だから重要です。『良い国鎌倉幕府』って覚えればスッと頭に入ってくるからぜひ試してみるように」
『はーい』
どうにか上手くまとまった。ではもう一問。こんどは近代に飛ぼう。
『( )年 大日本帝国憲法制定』
「これはわかるかな?」
「905年!」
「1356年?」
「う~ん、両方遠いなー」
さすがに年が離れすぎたせいか、正解は出ず解説へ。
「正解は1889年です。この大日本帝国憲法というのは、今の憲法――日本国憲法の元になってるんだよ」
「はーい。質問でーす。この憲法は誰が作ったんですか?」
さすがマシマロ。いい線ついてくる。さっきは不覚を取ったけど、今回はばっちり。
「これはですね………………あれ?」
誰だ!?
た、確か……人のはず。それは当然か。ええと、案を出した方は沢山いるだろうけど、中心人物がいた、ような。いなかったような。
「えーとですね……」
源さん? まさか七百年の時は超えてら
っしゃらないだろう。
「えー……あー……そのぉ――」
「……何してんの?」
記憶をサルベージしていると、廊下側から声が。視線をやると、飽きれた様子で夏子が立っていた。
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる