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第2話(5)

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「夏子。レートがツイストと遊びたいって言ってるけどどさ。いいよね?」
「もち。てかあの子も、遊び相手がいなくて退屈してると思うんだ。レート君、仲良くしてあげてね」
「は、はい」

 レートは、控えめにコクンと頷いた。

(こっちは気にしなくていいからさ。ゆっくりしてきていいよ)
(あたしもいるから、こっちはガンガン盛り上がるもんねっ。レー君、気にせずゴーだよゴーっ)
(う、うん。ありがとう修助君、マシマロちゃん)

 僕たちに遠慮して落ち着いて過ごせなかったらいけないので、小声で念を押してからレートを送り出した。マシマロも協力、ありがとね。

(あははっ。レー君、ニコニコしてたねー)
(うん。やっぱり、楽しみにしてたんだろうね)

 僕らは密かにそんな会話を行い、4分くらい経った頃かな。夏子が大皿を二つ持ってきた。

「お待たせー。今日のおやつは特製サンドイッチ! 散歩行く前に作って冷やしときましたっ」
「おおっ。美味しそうじゃん」
「ねーっ。すっごく美味しそうー!」

 皿にあるのは、定番の卵サンドとツナサンド。趣味が料理だけあってどちらも手が込んでいて、卵の方は食感が残るように白身黄身が半つぶしで、さらに薄く切ったキュウリ入り。ツナの方には刻み方が異なる玉ねぎが3種類入ってる。

「マシマロさん、どんどん食べてよ。まだまだ沢山あるからね、およそ10斤分」
「10斤って。相変わらず作りすぎだろ!」

 ここでご説明を。
 夏子は痩せの超大食いで、先週は学校の帰りにハンバーガーを9個、ポテトを2つ、シェイク、三段のアイスクリーム、クレープを平らげたほど。
 まさに、別次元に繋がる胃袋の持ち主なのである。

「私としては、まだ足りないくらいだって。ほら、これレート君に持ってったげて」
「あ、うん。サンキュ」

 目の前に置かれたトレーには、サンドイッチと冷たいジュースがあった。僕はそれを持ってリビングを出て、和室へ向かう。
 玄関から行ってもいいんだけど、ここは勝手知ったる他人の家。和室に行って障子とガラス戸を開けると縁側があり、そこを通るとショートカットとなって、ツイストと戯れているレートの姿があった。

「レート、これ夏子からの差し入れ。休憩する時に食べるといいよ」
「ありがとう。えっと、ボクもお礼を言わないと」
「それは僕から言っておくから、ワザワザ行かなくていい。思う存分遊んできなよ」

 立ち上がろうとする前に、制止する。レートのことだから、きっとそうすると予想してたんだよね。

「で、でも……」
「いいからいいから。じゃあまたあとでね」

 渋るレートに手を振ってからリビングに戻ると、対面のソファーに夏子が座っていて――おおぅ。テーブルにはジュースが入ったコップ三つと、大皿が2つ増えていた。

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