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地位向上編
47話 俺、退学の危機に
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長期休暇ってほどでもなかったが、まあ休みは無事に終わった。
前世の俺には休みなんてものはなかったから、今回の休暇は色々と忙しくもあり、有意義なものになったのは確かだ。とは言ってもだ……内容が内容だけあって今後の対応を考えなければ、マジで大変目に遭う。そんな予感しかしない。
そして新学期が始まり、講義を受けているのだが、正直暇すぎて辛い。
姉ちゃんと契約したのもあってか、魔術に関する知識の大抵が頭の中に入っている。
最初はそんなバカなって驚きもしたが、どうやらこれが契約というものらしい。
簡単に説明すると例えば精霊と契約したとしよう。精霊といっても呼称で一括りされているだけで、実際は生きてる年数、知識や能力、属性もそれぞれ個体によって違う。
まあ、言ってしまえばその契約した精霊によって大きく恩恵も変わってくるということだ。
膨大な知識を所持するも力のない精霊と契約すると、その膨大な知識がその人へのプレゼントみたいなものだ。その代わり力がないため能力向上などの恩恵は皆無な状態。
大雑把だが説明はそんな感じだ。
ていう理屈から、俺は姉ちゃんが知識も力も持ち合わせてる最強キャラの一人であるため、俺もその両方を手にすることができた、というわけだ。
さすがに地頭まではよくならなかったけど。
「さて、君たちに問おう。現、天魔歴102年だがそれは何を以てして名付けられたか……知る者は?」
教壇に立ち、いかにも教師らしい振る舞いを見せているのは、魔術界隈では知名度の高い人物。賢者ザバド。
若くして魔術の才に恵まれ、ここまで聞くとユリアナとそう変わりないが、だがしかし、その若さでここまでの地位に出世できたのかは謎だという。
だって賢者だぞ。本来ならよぼよぼの爺さんが人生の最後の最後でその地位に就くっていうイメージじゃないか。
そんないけ好かない賢者様がとんがり帽子を頭からすっぽり、若々しくもそのイケメン顔のおかげで女子からの人気が高い。見ていて腹が立つ。
先に言っておく。ひがみではないと。
それに年齢は前世の俺よりちょい上ぐらいだろうから……20代半ばぐらいか、多分。
話が逸れたが、そんなイケメン賢者が俺たちに質問しているのが、年号のいわれについてだ。
この世界にも一応、前世と同様で年号が存在している。いかにもファンタジーって感じの年号だが、どう名付けられたかなんてわかるわけないだろ!
そんな知識、姉ちゃんから共有されてないぞ。
まさか、姉ちゃんこういう知識は一切ないのか?
「誰も挙手せぬとは……君たち本当に王立ブロッサム学園の生徒なのか? 疑問に思うばかりである」
「は~い! お姉ちゃん答えま~す!!」
「君は……誰だ?」
「お姉ちゃんはネオ君の契約奴隷――いえ、お姉ちゃんであり奥さん、はたまた愛人でもあるのよ」
「そ、そうか……で、問の答えは?」
「愛の力、よ」
「はぁ……まったく理解ができない」
すいません、ほんと姉ちゃんがすいません。
こんなふざけたことばかり言ってすいません。
「理解できないのはお姉ちゃんの方よ。愛を知らないあなたに教壇に立つ資格はありませ~ん」
「ね、姉ちゃん!?」
まさか姉ちゃんが追い打ちの如く喧嘩を売るとは思ってもいなかった。ていうか、姉ちゃんはバカなのか?
今、ここで喧嘩でもして見ろ。
俺の悪評は増すばかりだ。現段階でも奴隷を従う鬼畜だの、変態ゲス野郎だのボロカス言われてるのに。このままではまた悪い肩書が増えてしまう。
「ほほう、いい度胸だ。連帯責任でネオとそこの奴隷は落第とする」
「先生、本当にすいませんでした!!」
俺は立ち上がり深く頭を下げた。
しかしザバドはまるで俺がいないかのような態度を取るのだ。所謂、無視されてるってとこだ。
「人族風情が偉そうに。消しちゃおうかな」
そう言って姉ちゃんは指先から赤黒い光の玉をザバドに向けて放った。まあ、ニヤニヤしてるからイタズラ程度だと思うが……俺、知らんぷりしとこ。
いや、今のうちに学園長に対する謝罪を考えないと。マジでこのままでは退学になりかねない。
そうこうしてるうちにゆっくりと浮遊する姉ちゃんの魔術はザバドの背中で小さな爆発を起こした。煙が教室中に広がり、もう講義どころではない。
女子は甲高い声で悲鳴を上げ、男子諸君はいいところを見せようとしてるのか、怯える女子の支えとなるべく身体を張って守ろうとしている。
多分、何者かの襲撃だと考えているのだろう。
「誰だ、今、わたしに魔術を放ったのは」
そんな質問に皆が首を横に振る。
しかし姉ちゃんは謝罪もせずそっぽを向くだけだった。その態度に苛立ちを見せるザバドだったが、結局質問をするだけして再び講義を始めてしまったのだ。
ここまでされても無視するとは。
余計恐怖に感じる。
そう、俺はこの時、ザバドに対しての認識を改めた。まだまだ若いからと甘く見ていたのだが、さすがは賢者と呼ばれるだけある。
少々のことでは動揺もしない、まさに冷静沈着であって、ある意味ヤバい奴。
間違いなく敵に回してはいけないタイプ第一位なのだ。
前世の俺には休みなんてものはなかったから、今回の休暇は色々と忙しくもあり、有意義なものになったのは確かだ。とは言ってもだ……内容が内容だけあって今後の対応を考えなければ、マジで大変目に遭う。そんな予感しかしない。
そして新学期が始まり、講義を受けているのだが、正直暇すぎて辛い。
姉ちゃんと契約したのもあってか、魔術に関する知識の大抵が頭の中に入っている。
最初はそんなバカなって驚きもしたが、どうやらこれが契約というものらしい。
簡単に説明すると例えば精霊と契約したとしよう。精霊といっても呼称で一括りされているだけで、実際は生きてる年数、知識や能力、属性もそれぞれ個体によって違う。
まあ、言ってしまえばその契約した精霊によって大きく恩恵も変わってくるということだ。
膨大な知識を所持するも力のない精霊と契約すると、その膨大な知識がその人へのプレゼントみたいなものだ。その代わり力がないため能力向上などの恩恵は皆無な状態。
大雑把だが説明はそんな感じだ。
ていう理屈から、俺は姉ちゃんが知識も力も持ち合わせてる最強キャラの一人であるため、俺もその両方を手にすることができた、というわけだ。
さすがに地頭まではよくならなかったけど。
「さて、君たちに問おう。現、天魔歴102年だがそれは何を以てして名付けられたか……知る者は?」
教壇に立ち、いかにも教師らしい振る舞いを見せているのは、魔術界隈では知名度の高い人物。賢者ザバド。
若くして魔術の才に恵まれ、ここまで聞くとユリアナとそう変わりないが、だがしかし、その若さでここまでの地位に出世できたのかは謎だという。
だって賢者だぞ。本来ならよぼよぼの爺さんが人生の最後の最後でその地位に就くっていうイメージじゃないか。
そんないけ好かない賢者様がとんがり帽子を頭からすっぽり、若々しくもそのイケメン顔のおかげで女子からの人気が高い。見ていて腹が立つ。
先に言っておく。ひがみではないと。
それに年齢は前世の俺よりちょい上ぐらいだろうから……20代半ばぐらいか、多分。
話が逸れたが、そんなイケメン賢者が俺たちに質問しているのが、年号のいわれについてだ。
この世界にも一応、前世と同様で年号が存在している。いかにもファンタジーって感じの年号だが、どう名付けられたかなんてわかるわけないだろ!
そんな知識、姉ちゃんから共有されてないぞ。
まさか、姉ちゃんこういう知識は一切ないのか?
「誰も挙手せぬとは……君たち本当に王立ブロッサム学園の生徒なのか? 疑問に思うばかりである」
「は~い! お姉ちゃん答えま~す!!」
「君は……誰だ?」
「お姉ちゃんはネオ君の契約奴隷――いえ、お姉ちゃんであり奥さん、はたまた愛人でもあるのよ」
「そ、そうか……で、問の答えは?」
「愛の力、よ」
「はぁ……まったく理解ができない」
すいません、ほんと姉ちゃんがすいません。
こんなふざけたことばかり言ってすいません。
「理解できないのはお姉ちゃんの方よ。愛を知らないあなたに教壇に立つ資格はありませ~ん」
「ね、姉ちゃん!?」
まさか姉ちゃんが追い打ちの如く喧嘩を売るとは思ってもいなかった。ていうか、姉ちゃんはバカなのか?
今、ここで喧嘩でもして見ろ。
俺の悪評は増すばかりだ。現段階でも奴隷を従う鬼畜だの、変態ゲス野郎だのボロカス言われてるのに。このままではまた悪い肩書が増えてしまう。
「ほほう、いい度胸だ。連帯責任でネオとそこの奴隷は落第とする」
「先生、本当にすいませんでした!!」
俺は立ち上がり深く頭を下げた。
しかしザバドはまるで俺がいないかのような態度を取るのだ。所謂、無視されてるってとこだ。
「人族風情が偉そうに。消しちゃおうかな」
そう言って姉ちゃんは指先から赤黒い光の玉をザバドに向けて放った。まあ、ニヤニヤしてるからイタズラ程度だと思うが……俺、知らんぷりしとこ。
いや、今のうちに学園長に対する謝罪を考えないと。マジでこのままでは退学になりかねない。
そうこうしてるうちにゆっくりと浮遊する姉ちゃんの魔術はザバドの背中で小さな爆発を起こした。煙が教室中に広がり、もう講義どころではない。
女子は甲高い声で悲鳴を上げ、男子諸君はいいところを見せようとしてるのか、怯える女子の支えとなるべく身体を張って守ろうとしている。
多分、何者かの襲撃だと考えているのだろう。
「誰だ、今、わたしに魔術を放ったのは」
そんな質問に皆が首を横に振る。
しかし姉ちゃんは謝罪もせずそっぽを向くだけだった。その態度に苛立ちを見せるザバドだったが、結局質問をするだけして再び講義を始めてしまったのだ。
ここまでされても無視するとは。
余計恐怖に感じる。
そう、俺はこの時、ザバドに対しての認識を改めた。まだまだ若いからと甘く見ていたのだが、さすがは賢者と呼ばれるだけある。
少々のことでは動揺もしない、まさに冷静沈着であって、ある意味ヤバい奴。
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