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第73話 もっと早く出て来いよ・・・

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 逮捕されてから二日目。
 今日は書記官以外、違う警察官が担当している。勿論、圧迫面接だ。
 ここには真面《まとも》な警察官が居ないのか?などと考えていると、目の前の奴が立ち上がり俺の後ろに回り込んだ。

 「君も早く帰りたいだろ?ちなみに、この後来る検察官に頼ろうと思っても無駄だぞ?俺らの仲間だからな!」

 マジか。下手したら、勾留されるかもしれないな。大体、10日間ぐらいだっけ?いや、10日間程度じゃ済まないか。
 こんなことになるのなら、ボイスレコーダーでも仕込んでおくべきだったな。そうすれば、こんな奴らなんて一発なのに。

 「ほら!いつまでも黙って無いで、早く自白しなさい!!こっちだって暇じゃないんだ!」

 どうやら、こいつも忙しいらしい。こんな事をしている奴らが、忙しい訳が無いだろうに。
 今まで通りに無視を続けていると、突然後ろから頭を掴まれ机に押し付けられた。

 「自白しろって言ってんだろが!!時間が無いんだよ時間が!ガキの癖に煩わせやがって!!どれだけてめぇが粘っても、有罪は免れないんだよ!!!大人の邪魔をするな!!」

 机に顔を強く押し付けられたまま、耳元で怒鳴られる。耳が痛い。比喩とかでは無くて。

 「ほら言ってみろよ!!”俺が家族を殺しました”って!!早く!!言えよ!!!なんだ?ビビッて声も出せないのか?だったら俺の言葉を繰り返せ!”俺が”?”家族を”?ほら、繰り返せって言ってんだよ!!」

 頭を掴まれたまま揺さぶられていると、扉の近くにいた警官が誰かに電話をし始めた。

 「めんどくせえな。もっとキツくしないと駄目か?って、お前!!なに勝手に立ってやがる!!これから自白させんだから、しっかりと記入しとけ!!」

 そう言って、扉の近くに居た警察官に近づいた直前、部屋の扉が勢い良く開き、多くの警察官が入って来た。

 「警視庁本部から来た、盛田だ!!お前ら警察官数人を、逮捕する!!」

 次々に入って来る警察官に、俺の後ろに居た警察官は取り押さえられ、手錠を掛けられ運ばれて行った。
 突然のことに驚いていると、書記官として部屋の中に居た警察官は、盛田と名乗った人との会話が終わった後、こちらに向かって歩いてきた。

 「鬼堕君、突然こんなことに巻き込んでごめんね!念の為に言っておくけど、俺は斎藤さんに頼まれてここに来た潜伏捜査官ね?万が一、君に何か問題が起きたらいけないって斎藤さんに頼まれたんだよ!」

 軽く話を聞くと、前から一部の警察官の中で賄賂を貰って悪事を働いている者が居たらしく、それら全員を把握する為に派遣されていたようだ。そこに、運悪く俺が送られて来た為、伸二さんとの付き合いがあった目の前の男に、俺のことを頼まれたようだ。

 伸二さんの人脈はどうなっているんだろうか。そして、もうちょっと早い段階で、捕まえられなかったのかな?俺、結構痛かったんだけど。

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