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タマと海人君

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    一応ざっとダンジョンを巡り、スタンピードが完全に収まった事を確認して、自警団の人達は戻って行った。

    ダンジョン内は元の静けさが戻っている。あの声が聞こえた5階層に行ってみたけど、特に何もなかった。

    心の中でエストレイラ様にお礼を言って、リクエストされた魚を採りに行く。
「うわ…いつも以上に大漁!」
    増えたとしてもここから移動出来る魚はいないからね。

    念の為に私が確認出来る13階層までは確認してみた。自警団の人達が何階層まで確認したのか分からないからね。流石に9階層の水の中までは確認してなかったのだろう。

    これは私が美味しく頂くからいいけどね!

    それから13階層へ。牛肉狩りだ!
    牛肉が手に入るようになったてから、肉じゃがの肉が、鶏肉やオーク肉から牛肉になった。やっぱり牛肉の方が美味しいよね。

    幼稚園でかくれんぼをして、見付けてもらえず…やっぱり忘れられた。
    別にいいかと魔力操作をしていて、海人君に見付かった。

「良かった…でも、よく見付けられたね?」
「魔力感知。ていうか、気配隠蔽してたら誰にも見付けて貰えないだろ?」
「別に隠蔽してないけど…かくれんぼは前から得意だから、忘れられるのは慣れてるよ」
「…嫌な慣れだな」

    そうだけど、簡単に見付かりたくないし。今回は海人君が見付けてくれて良かった。

 「今日は、ポチかタマ、貸して貰えるか?6階層に行きたい」
「なら、本人に聞いてみるね」
「え…聞くって?喋れるのか?」
「念話だよ。タマ達も覚えてくれたからね」
「魔物じゃないのに、本当に従魔みたいだな」
「私も思ったよ」

    動物…だよね。妖怪じゃないよね?
    妖怪になっても謎生物になっても可愛いペットには変わりないけどね。

    幼稚園から帰って、着替えて早速準備した。
(タマ、今日は海人君のフォローお願いしてもいい?)
(ええ…美優以外、守りたいた思わないんだけど)
(タマはマジックバッグ持ってるから、丁度いいかなと思って)
(うう…ならピヨちゃんでもいいじゃない?収納庫を使えるんだから)
(ピヨちゃん…海人君が危ない時だけ狼を攻撃する事は出来る?)
(んー。ピヨちゃんが全部倒すじゃだめなの?)
(はぁ…仕方ないわね。ポチにポシェット貸すのは嫌だし)

    渋々でも了承してくれたから、大丈夫だろう。

    私達は牛肉だ。収納庫が時間停止する物だと家族が知ったら、肉や魚など、色々保管をお願いされた。次に移ったら牛肉は食べられなくなると思ったのか、牛肉の確保は多めにお願いされた。
    頼まれなくてもやるけどね?

    お腹の目立ってきたお母さんはダンジョンに入らなくなっちゃったから、その分も頑張るんだ!
    野菜の収穫は無理ない程度にやってるみたいだけど、私の時は入院もしてたみたいだし、無理はして欲しくない。
    妊婦さんに必要なのは鉄分。魔物の牛に鉄分があるかどうかは分からないけど、赤ちゃんの為にも頑張る。


    ダンジョンから出て、海人君が集めた皮を出したら、怒られた。
「新しい階層に行く時はお父さんかお母さんと一緒って言ったでしょう!」
「大丈夫だってば!美優ちゃんがタマを貸してくれたから、危ない事があったとしても安心だし」
「でも…」
「僕だってもう、一人前の冒険者だよ。美優ちゃんだってペット達はいるけど、一人じゃないか」
「それは…美優ちゃんの魔法は強力だし」
「僕だって無理は絶対しないし、レベルを上げる事は悪い事じゃない」

「タマじゃなくて、私だったら安心でしたか?」
「それは…10層を越えたら中級冒険者って呼ばれるし、魔法がこんなに速く発動するなんて思ってなかったから。それに…他の魔法スキルを持つ人は、そんなに長時間活動出来ないのに、美優ちゃんは予想以上に魔力?が多いのかしら?」
「どうなんでしょうね。他の魔法使いの人の戦いを見た事ないですし」
    魔力量か…そこまでは考えてなかったな。それに、魔力操作で効率的な魔法を使えていると思うし。

「それに、前に本社から皮を納品して欲しいって言われたのを聞いたから」
「それね…ウルフじゃなくて、ワーウルフなのよ。16階層の魔物」
「えっ…狼っぽいのに違うんですか?」
「品質は全然違うわ。でも美優ちゃんは無理しないでね」
    解体は任せちゃったし、触ってもないから違いは分からない。

「因みにオーガは何階層ですか?」
「19階層よ。あの魔法、凄かったわね。でも近付いて戦うのは難しいわよ?それに、強い魔法だとすぐ魔力が切れてしまうとも聞くし」
    いや…分類されるとしても中級だろう。水でも上級クラスは威力も規模も半端ないし。
    とはいえ、これは前世での話だ。ここでの魔法の常識は違うだろうし、慣れてる火魔法を使わなかったのは、林に燃え移るのが怖かったからだ。私が水魔法を使った事で驚いている人もいるかな…私の魔法は火だと思わせているんだし。

「美優ちゃん家のペット達がどれ位強いかは分からないけど、索敵能力は凄いわね…あの騒動の後も追加の魔物発見の報せもないし」
「前衛としても申し分ないですよ」
    物理攻撃しか見せてないし、進化後の姿も見せてない。知ってるのは海人君だけだ。
「そうね…マジックバッグも持ってる位だものね…因みにマジックバッグは、売ると百万円以上の値段が付くわよ?」
「…いえ。あれはタマが気に入ったみたいなので、売りません」
「なら、ペットも含めてあまり他人に貸したりしちゃだめよ?それだけ価値のある物なのだから」
「忠告ありがとうございます。気をつけます」

    私も海人君だから貸したんだけど…それ言ったら前世の話までする事になるかも知れない。

    今は付与なんて扱える人もいないだろうから、ダンジョンで宝箱から見付けるしかないんだろうな…逆に、作れる人がいたら同じ転生者かもね。


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