26 / 35
旅立ちと、エルフの里に向けて
しおりを挟む
(サヤカ、頼みがあるんだ)
「何?チョコ」
(ボクの友達を助けて欲しい)
「チョコの友達って、チョコ〇?」
(種族は違うんだけど、聖獣の仲間。アッシュ、ブリテンドに行きたい)
「チョコ殿、ブリテンドはドーラ帝国と一触即発状態にある。危険だ」
(ボクは…フェンリルを助けたい)
えっ…超有名ファンタジー種族じゃん!
(さっき、念話が届いて…何故か急に瘴気が湧き出して、普段はいない魔物まで集まって来てるって…先にボクだけで転移する。後からサヤカと来てくれないか?)
「にゃっ!」
(マシロ!君には無理だ)
「にゃうん」
(アッシュに任せればいいって?…まあ、君が来てくれるなら、助かるけど)
「ちょっと待ってよ…瘴気って危険なんでしょ?」
(魔物を狂わせるけど、ボクなら平気だよ。ボクの山だって、弱い瘴気があったじゃないか。今はサヤカのお陰で消えたけど)
「え?そうなの?…というか、瘴気ってそもそも何なの?」
(自然にも溜まりやすい場所はある。そういう場所にボクみたいな聖獣がいて、抑えている訳だけど)
「自然ではない何かがあったと?」
(分からない。でもマシロなら瘴気を浴びても狂わないと思う)
「私は、どうしたらいい?」
(なら、あの木を増やしてよ。ある程度片づいたら来て欲しい)
「分かった…マシロをお願い」
(大丈夫、信じて)
亜空間から出たチョコとマシロの姿が、一瞬歪んで消えた。
「転移とか…流石聖獣様だ。さて…寒い中移動するのは大変だけど、俺達も明日には移動しようか」
「えっ…フェンリルの所に?」
「いや、馬だけで移動は無理だから、エルフの里に…転移陣を使う。それに、一応王にも報告しないと」
「王様って、エルフの?アッシュさんのおじいさん?」
「そんなに身構える必要はないよ」
権力への拘りなんてかけらもないし、本人は早く隠居して、魔道具作りに集中したいみたいだし。
もう、最初に種から育てたリンゴの木はすっかり大きくなっていて、赤い実がたくさん実っている。
オーブンがあるから、アップルパイも焼けるけど、シナモン欲しいな…
取り敢えず、ジャムでも作ろうかな。苺も当分チョコがいないなら、ジャムにしてもいいかも?
で、二種類のジャムが出来た
鑑定 リンゴジャム
聖女の力が込められたジャム
魔力回復 体内瘴気除去
鑑定 苺ジャム
聖女の力が込められたジャム
疲労回復 俊敏上昇
何かやっぱりアレな効果が付いてる。
特に、瘴気なんて普通に暮らしていて、付いたりするものなのだろうか?
味は普通に美味しい。
「へえ…これはまた凄い物が…リンゴジャムは、作ってストックして欲しいな」
「えええ…リンゴをたくさん切るって結構大変なんですよ?」
加護効果がなかったら、翌日の筋肉痛は必須だ。
「まあ…作りますけど」
木が大きくなるにつれて、収穫量も増えてるし、季節関係なく花が咲いて、次々に実る。
元がチートなリンゴだからか、謎の効果も付くし。
「チョコが言ってたブリテンドって凄く遠いんですか?」
アッシュさんが、地図を見せてくれた。世界地図だ。
「エルフの里へはここから一週間かな」
「別に鎖国してる訳じゃないんですね…ユグドラシル?なんて重要な物があるのに」
「普通の人は入れない。サヤカは聖女だから大丈夫だけど」
「はぁ…聖女、ですか…」
まだどこかで、信じ切れてないんだよね…絶対ないとは言えないけど、この引きこもり専用スキルの亜空間は凄く有り難くて、自分にも合ってる気がする。
それに、今の自分の称号も分からないし、精霊も見えない。アッシュさんはそのうち見えるようになるっていうけど、精霊視のスキルはまだ付かない。
感覚強化で、視力系の力は上がってるはずだけど、焦っても見えるようになる訳じゃないと思うし。
ハイエルフなアッシュさんには、生まれつき見えてたらしい。スキルを切っておく事も出来るから、必要ない時は見てなかったみたいだけど、今は必要らしい。
そう急ぐ必要はないけど、いつでも転移出来るようにしておきたいから、エルフの里へは翌日から向かう事にした。
チョコがいないので、馬でである。雪がうっすら積もっていて、寒い。
「サヤカ、風の魔法で風が当たらないように出来るよね?加護も頂いたし」
「ええっ!いきなりですか?」
「俺も風魔法のスキルは持ってるけど、折角頂いても使わないと成長しないからね」
やっぱり鬼師匠だ。
移動の時にチョコにやって貰っていたから、何となくやり方は分かる。
「そんなに強くかける必要はないよ、薄くでいい…今度は風が巻き込んで来るよ!ちゃんと操作して!」
うう…スパルタだ。
「さ、お昼にしようか」
馬を操りながら仕留めた雪ウサギを渡される。解体して捌くのも私…解体も慣れないとね。
半分はソテーにして、あと半分はブラウンシチューにする。これを作ると、お皿を前にしてじっと冷めるのを待ってたマシロが可愛いかった。
シチューは夕ご飯用にして、サラダと一緒に並べる。
「それにしても、ストーブの魔道具って凄いんですね。すぐに部屋全体が暖かくなりますし、上着が要らない位」
「火の精霊が魔道具に加護をくれたみたいだからね」
「えっ…あ、本当だ。いつの間に」
まさかの精霊さんパワー。
ふと思いついて、コンロの魔道具を見ると、こちらにも加護が付いてる。水道や、庭の池にも水の精霊さんが加護を付けてくれている。お陰で、魔力たっぷりの美味しい水だ。チョコ達が大きくなったのはこの水のせいかな?
「うわ…精霊さん達、ありがとうね!」
微かに喜びの声が聞こえた気がしたけど、耳鳴りかな?
「何?チョコ」
(ボクの友達を助けて欲しい)
「チョコの友達って、チョコ〇?」
(種族は違うんだけど、聖獣の仲間。アッシュ、ブリテンドに行きたい)
「チョコ殿、ブリテンドはドーラ帝国と一触即発状態にある。危険だ」
(ボクは…フェンリルを助けたい)
えっ…超有名ファンタジー種族じゃん!
(さっき、念話が届いて…何故か急に瘴気が湧き出して、普段はいない魔物まで集まって来てるって…先にボクだけで転移する。後からサヤカと来てくれないか?)
「にゃっ!」
(マシロ!君には無理だ)
「にゃうん」
(アッシュに任せればいいって?…まあ、君が来てくれるなら、助かるけど)
「ちょっと待ってよ…瘴気って危険なんでしょ?」
(魔物を狂わせるけど、ボクなら平気だよ。ボクの山だって、弱い瘴気があったじゃないか。今はサヤカのお陰で消えたけど)
「え?そうなの?…というか、瘴気ってそもそも何なの?」
(自然にも溜まりやすい場所はある。そういう場所にボクみたいな聖獣がいて、抑えている訳だけど)
「自然ではない何かがあったと?」
(分からない。でもマシロなら瘴気を浴びても狂わないと思う)
「私は、どうしたらいい?」
(なら、あの木を増やしてよ。ある程度片づいたら来て欲しい)
「分かった…マシロをお願い」
(大丈夫、信じて)
亜空間から出たチョコとマシロの姿が、一瞬歪んで消えた。
「転移とか…流石聖獣様だ。さて…寒い中移動するのは大変だけど、俺達も明日には移動しようか」
「えっ…フェンリルの所に?」
「いや、馬だけで移動は無理だから、エルフの里に…転移陣を使う。それに、一応王にも報告しないと」
「王様って、エルフの?アッシュさんのおじいさん?」
「そんなに身構える必要はないよ」
権力への拘りなんてかけらもないし、本人は早く隠居して、魔道具作りに集中したいみたいだし。
もう、最初に種から育てたリンゴの木はすっかり大きくなっていて、赤い実がたくさん実っている。
オーブンがあるから、アップルパイも焼けるけど、シナモン欲しいな…
取り敢えず、ジャムでも作ろうかな。苺も当分チョコがいないなら、ジャムにしてもいいかも?
で、二種類のジャムが出来た
鑑定 リンゴジャム
聖女の力が込められたジャム
魔力回復 体内瘴気除去
鑑定 苺ジャム
聖女の力が込められたジャム
疲労回復 俊敏上昇
何かやっぱりアレな効果が付いてる。
特に、瘴気なんて普通に暮らしていて、付いたりするものなのだろうか?
味は普通に美味しい。
「へえ…これはまた凄い物が…リンゴジャムは、作ってストックして欲しいな」
「えええ…リンゴをたくさん切るって結構大変なんですよ?」
加護効果がなかったら、翌日の筋肉痛は必須だ。
「まあ…作りますけど」
木が大きくなるにつれて、収穫量も増えてるし、季節関係なく花が咲いて、次々に実る。
元がチートなリンゴだからか、謎の効果も付くし。
「チョコが言ってたブリテンドって凄く遠いんですか?」
アッシュさんが、地図を見せてくれた。世界地図だ。
「エルフの里へはここから一週間かな」
「別に鎖国してる訳じゃないんですね…ユグドラシル?なんて重要な物があるのに」
「普通の人は入れない。サヤカは聖女だから大丈夫だけど」
「はぁ…聖女、ですか…」
まだどこかで、信じ切れてないんだよね…絶対ないとは言えないけど、この引きこもり専用スキルの亜空間は凄く有り難くて、自分にも合ってる気がする。
それに、今の自分の称号も分からないし、精霊も見えない。アッシュさんはそのうち見えるようになるっていうけど、精霊視のスキルはまだ付かない。
感覚強化で、視力系の力は上がってるはずだけど、焦っても見えるようになる訳じゃないと思うし。
ハイエルフなアッシュさんには、生まれつき見えてたらしい。スキルを切っておく事も出来るから、必要ない時は見てなかったみたいだけど、今は必要らしい。
そう急ぐ必要はないけど、いつでも転移出来るようにしておきたいから、エルフの里へは翌日から向かう事にした。
チョコがいないので、馬でである。雪がうっすら積もっていて、寒い。
「サヤカ、風の魔法で風が当たらないように出来るよね?加護も頂いたし」
「ええっ!いきなりですか?」
「俺も風魔法のスキルは持ってるけど、折角頂いても使わないと成長しないからね」
やっぱり鬼師匠だ。
移動の時にチョコにやって貰っていたから、何となくやり方は分かる。
「そんなに強くかける必要はないよ、薄くでいい…今度は風が巻き込んで来るよ!ちゃんと操作して!」
うう…スパルタだ。
「さ、お昼にしようか」
馬を操りながら仕留めた雪ウサギを渡される。解体して捌くのも私…解体も慣れないとね。
半分はソテーにして、あと半分はブラウンシチューにする。これを作ると、お皿を前にしてじっと冷めるのを待ってたマシロが可愛いかった。
シチューは夕ご飯用にして、サラダと一緒に並べる。
「それにしても、ストーブの魔道具って凄いんですね。すぐに部屋全体が暖かくなりますし、上着が要らない位」
「火の精霊が魔道具に加護をくれたみたいだからね」
「えっ…あ、本当だ。いつの間に」
まさかの精霊さんパワー。
ふと思いついて、コンロの魔道具を見ると、こちらにも加護が付いてる。水道や、庭の池にも水の精霊さんが加護を付けてくれている。お陰で、魔力たっぷりの美味しい水だ。チョコ達が大きくなったのはこの水のせいかな?
「うわ…精霊さん達、ありがとうね!」
微かに喜びの声が聞こえた気がしたけど、耳鳴りかな?
26
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
少女は自重を知らない~私、普通ですよね?
チャチャ
ファンタジー
山部 美里 40歳 独身。
趣味は、料理、洗濯、食べ歩き、ラノベを読む事。
ある日、仕事帰りにコンビニ強盗と鉢合わせになり、強盗犯に殺されてしまう。
気づいたら異世界に転生してました!
ラノベ好きな美里は、異世界に来たことを喜び、そして自重を知らない美里はいろいろな人を巻き込みながら楽しく過ごす!
自重知らずの彼女はどこへ行く?
転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活
高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。
黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、
接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。
中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。
無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。
猫耳獣人なんでもござれ……。
ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。
R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。
そして『ほの暗いです』
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる