123 / 166
異変の解決と、ダンジョンの魔物
しおりを挟む
ダンジョンに入ると同時に、二人は人化を解いた。シュガーは自身の気配と姿を隠してヤブランの行動に注意しながら進む。
ヤブランが進んでいるだけで、魔物は倒されていく。シュガーはそのドロップアイテムの中から、メイが喜びそうな物だけ拾っていく。
ヤブランが、気ままにブレスを吐くだけで、放射状に魔物が消えていく。
ドロップアイテムを拾うだけのシュガーも結構忙しい。
(やはり、特殊な魔物がいたか。シュガーは下がってくれ)
念話はシュガーに向けてのみ。シュガーも余計な心配を与えない為に、話す時はヤブランだけにすると決めた。
四つ足で闊歩するドラゴン。このダンジョン固有種を倒さなければダンジョンの平穏はないだろう…そして、ヤブラン自身の進化の為にも。
漆黒のドラゴンは、ヤブランの姿を見ると、走ってきてそのままの勢いで体当たりしようとするが、予見で見ていたヤブランは、難なく避ける。
間合いが離れ、追い討ちをかけるようにヤブランが爪で切り裂く。
倒すまでのダメージは入っていない。
漆黒のドラゴンが、振り向きながらのブレスを放つ。が、ヤブランの竜鱗結界に阻まれる。
それを想定していたのか、ブレスを隠れ蓑に、漆黒のドラゴンは勢いよく走る。
(ぐっ…)
(大丈夫にゃ?)
(問題ない!もっと下がれ!巻き込まれても知らんぞ!)
とはいえ、シュガーなら大丈夫だろう。シュガーを連れてきたのはあくまでも保険だ。神格を得たシュガーなら、何があっても自分で対処出来る。
躱しながら、爪を振るう。爪は漆黒の鱗をも切り裂いて、ダメージを与える。
激しく暴れる漆黒のドラゴン。冷静さは欠いているが、怒りに力は上がった。
本来なら同じダンジョンに住む魔物同士が戦う事はない。だが今の漆黒のドラゴンには、それらを気遣う余裕もない。
傷を負いながらも、冷静さを失った相手の動きを見切る事は容易くなった。確実に避け、爪と、時折ブレスでダメージを与え、漆黒のドラゴンはついに倒れた。
ドロップしたのは、頭に生えていた角2本。
そして、異様な空気の中にあったダンジョンも、元に戻る。
下から上がってきた魔物を狩り、増えすぎた魔物を倒していくと、もう異常に増えたりしなくなった。
(ヤブラン、戻るにゃ)
(うむ…先に回復する)
回復しつつ人化すると、シュガーもヤブランの隣で人化した。
「ヤブランはドラゴンがいた事を分かっていたにゃ?」
「いや…だが、我もシュガーのように神格を得ないと、主の元に居られなくなるからな」
「…神格にゃ?」
「まさかの無自覚か…我がどれ程その力に焦がれたか」
拳をぐっと握るヤブランに、シュガーは首を傾げる。
「なんで怒ってるにゃ?!にゃーは何もしてにゃーよ?」
「むしろ、何もしていないから怒ってるのだが…早く戻ろう。主が心配している」
「ヤブラン!シュガー…良かった。無事だね?」
「回復はしたにゃ…ダンジョンも、元に戻るにゃ?」
「ああ。危険は取り除いた」
「そうなの?…レアモンスターがスタンピードを引き起こすタイプだったのか…」
「レアモンスター?」
「あ、ええと…どんな魔物がいたの?」
「漆黒のドラゴンだ。ドロップアイテムは角。軽くて丈夫なので、何にでも使えるだろう」
ヤブラン達が中に入った時はどうなるかと思ったけど、良かった…多少の怪我はあったみたいだけど、ヤブランは最強だもんね!
そして、シュガーが肉をたくさん確保してくれていた。勿論、私もレッドコークと戦ったよ?ダンジョンから出たら丸々1羽手に入るなんて、素晴らしい!
もしかして、他のダンジョンでもそうなのかな?リソースが足りているダンジョンはそうかも?
もやしを水耕栽培している空納になら…それとも、そういう魔法を作る?魔法はイメージだもんね!うん。何とかなるかも!
「えへへ…」
その事をみんなに話したら、危険だと反対された。
「でも、考えてみてよ。苦労しないと捕まえられないシジミーが、確実に手に入るんだよ?それに、相手がシジミーなら危険はないよね?」
「全く…あの表情で、何かまた思い付いたとは思っていたが…だが今はまだ、冒険者が多いだろう。少し待て」
ランスの言葉に、素直に頷く。
「私だって、これは成功したらズルだと思ってるし、他の人に怪しまれる行動は避けたい」
エリー姉様が気を利かせてたくさん料理を出してくれたから、さすがにみんなお腹いっぱいになるだろう…私は、見てるだけでお腹いっぱい。
「主、水を貰えるか?」
(ヤブラン、メイだよ)
コップの中に水魔法で水を注ぎながら、氷も浮かべてやる。
エリー姉様だけならともかく、ここにはもふもふメイドもいる。そのくるりと巻いた、リスのような尻尾…ちょっとだけでいいからもふらせて貰えないかな…
翌日、エリー姉様とヤブランとでダンジョンの最終チェックをして、異変は完全に終息した事を確認した。
「早速ダンジョンに入るのね?本当に気をつけて、絶対に無理しちゃダメよ?」
エリー姉様に手を振って、笑顔でダンジョンに入っていく。
「あのね?魔法の実験したいの。ダンジョンの魔物を捕獲して、外に出してみたいの」
「シジミーで実験するのではないのか?」
「それは…だって、冬まで待てないんだもん」
「レッドコークなら、ボク達ならメイを守れると思うの」
「むぅ…だが、放つ場所は亜空間だ。まだダンジョンの異変が続いていると、誤解させるのも申し訳ないからな…我の亜空間で良いだろう」
「そうだね…火を吐かれたら色々あったら燃えちゃうし」
私の亜空間はメインの生活空間だから、物が多い。
ランスの亜空間も物がないけど、どっちでもいいもんね。
よし!レッドコーク、1羽で向かってきた。相変わらず怖い顔してるなー。殺さないようにダメージだけ与えて…よし!空間捕獲!
僅かな抵抗を見せるも、無事に捕獲された。
空間把握してみても、生きたまま捕らえられた事が分かった。
「やった!成功!」
「良かったな…だがここはダンジョンだ。気を抜くな」
「ふふっ!分かってるよ、ランス」
あとは、どれだけ無傷で3階層に進めるかだ。ドラゴンに挑むのは難しいけど、2階層の魔物に負けたくないな。
ヤブランが進んでいるだけで、魔物は倒されていく。シュガーはそのドロップアイテムの中から、メイが喜びそうな物だけ拾っていく。
ヤブランが、気ままにブレスを吐くだけで、放射状に魔物が消えていく。
ドロップアイテムを拾うだけのシュガーも結構忙しい。
(やはり、特殊な魔物がいたか。シュガーは下がってくれ)
念話はシュガーに向けてのみ。シュガーも余計な心配を与えない為に、話す時はヤブランだけにすると決めた。
四つ足で闊歩するドラゴン。このダンジョン固有種を倒さなければダンジョンの平穏はないだろう…そして、ヤブラン自身の進化の為にも。
漆黒のドラゴンは、ヤブランの姿を見ると、走ってきてそのままの勢いで体当たりしようとするが、予見で見ていたヤブランは、難なく避ける。
間合いが離れ、追い討ちをかけるようにヤブランが爪で切り裂く。
倒すまでのダメージは入っていない。
漆黒のドラゴンが、振り向きながらのブレスを放つ。が、ヤブランの竜鱗結界に阻まれる。
それを想定していたのか、ブレスを隠れ蓑に、漆黒のドラゴンは勢いよく走る。
(ぐっ…)
(大丈夫にゃ?)
(問題ない!もっと下がれ!巻き込まれても知らんぞ!)
とはいえ、シュガーなら大丈夫だろう。シュガーを連れてきたのはあくまでも保険だ。神格を得たシュガーなら、何があっても自分で対処出来る。
躱しながら、爪を振るう。爪は漆黒の鱗をも切り裂いて、ダメージを与える。
激しく暴れる漆黒のドラゴン。冷静さは欠いているが、怒りに力は上がった。
本来なら同じダンジョンに住む魔物同士が戦う事はない。だが今の漆黒のドラゴンには、それらを気遣う余裕もない。
傷を負いながらも、冷静さを失った相手の動きを見切る事は容易くなった。確実に避け、爪と、時折ブレスでダメージを与え、漆黒のドラゴンはついに倒れた。
ドロップしたのは、頭に生えていた角2本。
そして、異様な空気の中にあったダンジョンも、元に戻る。
下から上がってきた魔物を狩り、増えすぎた魔物を倒していくと、もう異常に増えたりしなくなった。
(ヤブラン、戻るにゃ)
(うむ…先に回復する)
回復しつつ人化すると、シュガーもヤブランの隣で人化した。
「ヤブランはドラゴンがいた事を分かっていたにゃ?」
「いや…だが、我もシュガーのように神格を得ないと、主の元に居られなくなるからな」
「…神格にゃ?」
「まさかの無自覚か…我がどれ程その力に焦がれたか」
拳をぐっと握るヤブランに、シュガーは首を傾げる。
「なんで怒ってるにゃ?!にゃーは何もしてにゃーよ?」
「むしろ、何もしていないから怒ってるのだが…早く戻ろう。主が心配している」
「ヤブラン!シュガー…良かった。無事だね?」
「回復はしたにゃ…ダンジョンも、元に戻るにゃ?」
「ああ。危険は取り除いた」
「そうなの?…レアモンスターがスタンピードを引き起こすタイプだったのか…」
「レアモンスター?」
「あ、ええと…どんな魔物がいたの?」
「漆黒のドラゴンだ。ドロップアイテムは角。軽くて丈夫なので、何にでも使えるだろう」
ヤブラン達が中に入った時はどうなるかと思ったけど、良かった…多少の怪我はあったみたいだけど、ヤブランは最強だもんね!
そして、シュガーが肉をたくさん確保してくれていた。勿論、私もレッドコークと戦ったよ?ダンジョンから出たら丸々1羽手に入るなんて、素晴らしい!
もしかして、他のダンジョンでもそうなのかな?リソースが足りているダンジョンはそうかも?
もやしを水耕栽培している空納になら…それとも、そういう魔法を作る?魔法はイメージだもんね!うん。何とかなるかも!
「えへへ…」
その事をみんなに話したら、危険だと反対された。
「でも、考えてみてよ。苦労しないと捕まえられないシジミーが、確実に手に入るんだよ?それに、相手がシジミーなら危険はないよね?」
「全く…あの表情で、何かまた思い付いたとは思っていたが…だが今はまだ、冒険者が多いだろう。少し待て」
ランスの言葉に、素直に頷く。
「私だって、これは成功したらズルだと思ってるし、他の人に怪しまれる行動は避けたい」
エリー姉様が気を利かせてたくさん料理を出してくれたから、さすがにみんなお腹いっぱいになるだろう…私は、見てるだけでお腹いっぱい。
「主、水を貰えるか?」
(ヤブラン、メイだよ)
コップの中に水魔法で水を注ぎながら、氷も浮かべてやる。
エリー姉様だけならともかく、ここにはもふもふメイドもいる。そのくるりと巻いた、リスのような尻尾…ちょっとだけでいいからもふらせて貰えないかな…
翌日、エリー姉様とヤブランとでダンジョンの最終チェックをして、異変は完全に終息した事を確認した。
「早速ダンジョンに入るのね?本当に気をつけて、絶対に無理しちゃダメよ?」
エリー姉様に手を振って、笑顔でダンジョンに入っていく。
「あのね?魔法の実験したいの。ダンジョンの魔物を捕獲して、外に出してみたいの」
「シジミーで実験するのではないのか?」
「それは…だって、冬まで待てないんだもん」
「レッドコークなら、ボク達ならメイを守れると思うの」
「むぅ…だが、放つ場所は亜空間だ。まだダンジョンの異変が続いていると、誤解させるのも申し訳ないからな…我の亜空間で良いだろう」
「そうだね…火を吐かれたら色々あったら燃えちゃうし」
私の亜空間はメインの生活空間だから、物が多い。
ランスの亜空間も物がないけど、どっちでもいいもんね。
よし!レッドコーク、1羽で向かってきた。相変わらず怖い顔してるなー。殺さないようにダメージだけ与えて…よし!空間捕獲!
僅かな抵抗を見せるも、無事に捕獲された。
空間把握してみても、生きたまま捕らえられた事が分かった。
「やった!成功!」
「良かったな…だがここはダンジョンだ。気を抜くな」
「ふふっ!分かってるよ、ランス」
あとは、どれだけ無傷で3階層に進めるかだ。ドラゴンに挑むのは難しいけど、2階層の魔物に負けたくないな。
72
お気に入りに追加
1,801
あなたにおすすめの小説
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる