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みんなで焼き肉

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    個人用の黒板の下に紙を隠し、餅つき機の設計図を考える。
    どうせなら蒸す機能も付けたい。そうして、回転させながらつく…材質はどうしよう?餅がなるべく付かないようにするには、本体に…じゃなくて、釜に付与する?そんな付与あったかな…

「メイ、おい。…これは何だ?」
「あ、先生、返して!」
「ほう…何かは分からんが、授業も聞かずに他の事をやっていたとは」
「ごめんなさい…」

    紙は放課後まで没収されてしまった。
「さっきのは設計図だよね?」
    ああ。アルマになら分かるか。
「うん…内職したのは悪いとおもってるけど、昼休みとかも進めたかったのにな」
「どんな魔道具を作ろうとしてたの?」
「うーん。簡単に言えば美味しい物を作る為の魔道具だよ」

「あ、やっぱり?」
「あなたの事だからそうじゃないかと思いましたわ」
    う。何も否定出来ない。
「でも授業中は良くないな」
    エレンの言葉に、ちょっと頬を膨らませる。
「分かってるけど、書き留めておかないと、頭から抜けちゃうんだよ…」

    でも、基本は頭の中に入っている。友人達と会話しながらも検索したり、設計図を考えたり出来る。
    並列意思のスキルのお陰だ。決して妄想のお陰ではない。

「メイは余裕だよね…明日は北門から出た先で実戦訓練なのに」
    北門の先は深淵の森に繋がっているので、魔物も若干強い。冒険者の影響で森からイレギュラーな魔物も出て来る事もあって、北門の先での実習は無くなる話もあったけど、ちゃんとやるみたいだ。

「噂では冒険者も護衛してくれるみたいだし、平気だよ」
    まあ、深淵の森の深部にいるような魔物が出て来ない限り、私もシュガーもいるから何の問題もないんだけどね。

    翌日、護衛の冒険者を見て驚いた。フレイムがいたから。
    槍の扱いは少々ぎこちないけど、フレイムは基礎能力値が高いからね。
    まあ、フレイムは仕事で来たんだから、私達の側にずっといられる訳じゃないけど。

    基本、冒険者達は手出ししない。危険な時だけ手を貸してくれる感じだ。
    鶏肉発見!羽根を広げて威嚇しながら走ってきたビッグコッコを飛んで避けつつ、切り付けた。
「…まあ、お前相手に驚いてもしょうがないな。来て早々課題クリアだから、他の生徒のフォローに当たってくれ」
「え?今日は狩り放題じゃなかったの?」

「お前に狩り放題されると魔物がいなくなりそうだからな」
    失敬な。この程度じゃ相手にならないだけだよ。
    それに今日は、食べられる魔物を倒したら、串焼き食べ放題だし!

(メイ、フォレストボアなの)
    うん。私の方が近いね。
    突進してきた足下に穴を掘ってやる。
    みんなで剣や槍で突き刺したから、毛皮はボロボロだ。
    フォレストボアは小型だから、補助がなくても解体まで出来るだろう。

    ロックリザードも出て来た。そっちは冒険者達に任せよう。
「レイリー先生、レッドハウンド、お任せします」
    
    か、亀が飛んでる!亀が飛ぶのは映画だけじゃなかったの?

    鑑定    ビッグトータス    風と水の魔法を自在に操る。体当たりに注意

「メイ!危ない!」
    水弾が飛んできた。けど届く前に魔法を打ち消した。

    水だから、雷かな?
    魔法を当てたら、落ちてきて、ひっくり返った。
「あ、トール。とどめ刺す?」
「え…でもメイが」
「私は課題真っ先に終わらせたからいいの」

    しかし大きな亀だな…私の身長越えてるよ。これも食べられるのかな?
「トータス類は煮た方が美味しいんだよね」
「そうなの?!じゃあ鍋用意しておくね!」
    まだとどめも刺していないのに、気が早いな。それもメイらしいと思ってトールは苦笑した。

    ビッグコッコの羽根も毟らないといけないし、大鍋は必須アイテムだな。
「あー、メイ。ちょっとロックリザードの方を手伝ってもらえるか?」
    ええ?また出たの…じゃなくて、冒険者が倒せてないのか。
    
    確かにロックリザードは厄介だ。岩に覆われた背中には攻撃が通らない。ひっくり返せばお腹側からなら楽に倒せると思うんだけどな…

    土魔法が使えないのか。というか、そう思い込んでるだけなんだけどね。
    魔物の特性と違って人族は適性がない魔法はない。
    
    取り敢えず…畳返しの魔法?よし!上手くイメージできた。
    …冒険者さん…一応プロでしょ?そこで慌ててどうするの。
    暴れると尻尾の攻撃とか危ないから、サクッと首を落とした。

「フレイムも準備手伝って」
    これから焼き肉だ!亀は煮る。汁物があった方がいいからね。
「…うん?知り合いの冒険者か?」
「フレイムは同じパーティーメンバーだよ」
「まだ新人だけど、チームもふもふのメンバーなの」

「もふもふ…って、メイが考えた名前?」
「そうだけど…アルマ、良く分かったね?」
「…誰でも分かると思うよね」
    リリーに羽根を毟るのをやって貰い、亀汁を作る準備をする。
「これだけ人数いても流石に食べ切れないと思うぞ?」
「そしたら収納庫に入れておくから大丈夫だよ。先生はサボってないでちゃっちゃと解体して下さい」

    あ…亀。これコラーゲンだわ。お肌がぷるぷるになるかも?
    でもまだ子供だから、肌の心配はする必要はないんだけど。
「とろとろで美味しいにゃ!」
「そうだね。森には亀はいないから、今まで食べた事なかったけど、まさか空を飛ぶなんて思っても見なかったよ」
「え?亀…って、トータスの事?トータス類は空を飛ぶものよ?」
「そうなの?!リリー」
「う、うん…今まで見た事なかった?」
「初めて見たよ」
    映画以外では。

    飛ぶというよりは浮かんでる感じだったな。
「確かメイは森の近くに住んでるんだっけ?トータス類は平地にいる事が多いからかもね」
    へえ…ビッグという事は他にも種類がいそう。緑亀とか。一応これは陸亀に入るのかな?

「食べるの大好きな割にはあんまり食べないんだね」
「五歳児にこれ以上は無理だよ…トールは何歳なの?」
「もうすぐ10歳だよ。だから学校を卒業したら両親と本格的な冒険者になるつもり」
    それは羨ましいな…私ももうすぐ6歳だけど、一人前になるにはあと4年もある。

「シュガーも強いし、あのフレイムって人も強いよね?お父さんも?」
「うん。あと一人、弓を使うヤブランも強いよ…私が一番弱いかな?」

「いいな…僕もそんな強い人達と一緒に冒険したら、強くなれるかな?」
    一緒にダンジョンに入ればレベルだけは上がりそう。でもそれじゃ意味ないんだよね…それに私達には秘密も多い。私以外みんな人じゃないから。加えて亜空間とか、亜空間移動とか。

「同じクエストを、共同受注する事ならあるかもね?その時はよろしくね」
    余程の事がない限りないと思う…一緒に戦えなくても、トールは友達だ。
「うん…そうだね」
    残念そう?でも、トールに合わせて依頼のレベルを下げる事もないだろうし、この国に留まるとも限らない。

    ここはふるさととも言える場所だし、深淵の森ダンジョンには何度も潜る事になるだろうけど、基本は旅かな。
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