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3話 アレックスside

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俺はこの国の王子だ。

好きな物はすぐに買い与えてもらえるし、俺がカッコイイということもあってすぐに女が擦り寄ってくる。

まぁ、次期国王になるんだから当たり前だよな。

そんな俺は小さい頃に初恋をした。

この国では珍しい銀色の髪の毛が特徴的な美しい少女だった。

ニッコリと微笑まれただけで、特に話をした訳ではなかったけど、気付いたらその少女に一目惚れをしていた。

すぐに父上にお願いして1年後、ようやく俺にも婚約者が出来た。

俺の頼みを聞いてくれたのなら、今から現れるのはあの銀色の髪の毛の美少女だ、と心躍らせていると、現れたのは娼婦のような母親とそこら辺によくいるブロンドの髪の毛にそばかす顔の地味な少女だった。

唯一同じところは、あの少女と同じ紫色の瞳だけ。

父上は俺の頼みを聞いてくれなかったんだ、と思った。


絶望に近い感情を抱きながらユーフェミアと話をしたが、全く頭に入ってこなかったし、なんだかオドオドしているユーフェミアに苛立ちを覚えた。

父上は、なんでこんな奴を選んだんだ

そう思いながら日々を過ごしていた。

そんな時にユーフェミアが妹を連れて王宮にやってきた。

リリアーナは愛想が良くて、甘え上手だった。

顔も結構可愛いし、ユーフェミアと違って近寄られても嫌な気がしない。

貴族らしくないが、歯をみせて笑う姿も可愛らしく見えた。

そのうち、ユーフェミアよりリリアーナとばかり親密になっていった。

だって、ユーフェミアは話しかけてもただ頷くばかり。

ニコリともクスッとも笑わない無愛想な女だ。

そんな奴より表情豊かなリリアーナと一緒にいた方が気が楽だった。

そしてある日

「あー...ユーフェミアなんかよりリリアーナと結婚したいな」

と呟いてしまった。

勿論、リリアーナと居ると癒されるが王妃として務まるか、と聞かれたら答えはノーだった。

話をしていてわかるが、教養もマナーも何も出来ない女を王妃として迎える訳にはいかない。

そうわかっていたが、つい言ってしまったのだ。

するとリリアーナはその言葉を聞いて異様に乗り気だった。

「じゃあ、お姉様と婚約破棄して私と婚約しましょうよ!」

と歯を見せて笑った。

その日は上手く話を流したが、会う度に婚約を迫ってくるリリアーナに少しずつ嫌気がさしていた。

それなのに、噂というのはどこで伝わるのか、次のパーティーでユーフェミアと俺は婚約破棄をする、という噂が広まってしまった。

リリアーナを次の婚約者とするのは無理だが、ユーフェミアとは婚約破棄したいと思っていたから良いか、と思ったから噂を否定しなかった。

そして迎えたパーティー当日。

婚約破棄をする為にユーフェミアを探した。

でも探しても探しても、ユーフェミアの姿はなかった。

変わりに、あの、俺の初恋の令嬢そっくりな人が会場に現れたのだ。

この機会を逃したらもうこの令嬢に会えないような気がして声をかけた。

それなのに、令嬢は嫌そうな顔をして会場を去ってしまった。

でも名前だけでもどうしても聞きたくて追いかけた。

すると、令嬢の婚約者だろうか?

男から見ても物凄くイケメンが現れたのだ。

あの令嬢と並ぶとなんだか絵になっていてすごくムカついた。

でも令嬢が立ち去った後に1足のヒールを落としていった。

多分、本当は俺と話をしたかったんだろう。

何かしらの繋がりが欲しくて、でも自分の婚約者が来てしまったから仕方なくこんなことしか出来なかっただけだ。

必ず見つけてみせるからな。
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