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71話

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そんなことを思いながらお兄様のことを凝視していると、私の視線にすぐ気づいたお兄様が

「何?どうしたの?」

と不思議そうな顔をして質問してきましたわね。

ただ、なんとなく聞いて良いのか聞いてはいけないのかわからなかったので、咄嗟に

「いや、なんでもありませんわ」

と答えてしまいましたわ。

うーん......別に気になるなら質問すればよかったんですが、どうしたんでしょう?

本当に反射的に答えてしまいましたわね。

まぁ、別に良いんですけどね。

なんて思いながら、コシューミアと戯れているお父様に視線を向けると、どうやらお父様も既にコシューミアの可愛さにやられてしまったみたいで、今まで見たこともないくらいだらしのない顔をしていますわ。

そんなお父様の姿を物凄く冷静な顔でお母様とお兄様、ディーヴァンまで見ているんですが、その光景があまりにも異様な雰囲気で、どうしたらいいのかわからなくなりますわね。

えっと......とりあえず、お父様はお母様たちからの視線に早く気付いてほしいのですが.....。

そう思いながら、どのような顔をしたらいいかわからないまま、お父様に視線を向けると、やっとのことで皆からの視線に気付いたお父様が、少し顔を赤くしながら

「竜の.....いや、コシューミアの件はわかった。とりあえず、今はディーヴァンと同じ場所でもアリスティアと同じ部屋でも入れるから好きな方を選ばせてあげたらいい」

コホン、と一度咳払いをした後にそう言ってくれましたわ。

そんなお父様に、満面の笑みで

「ありがとう!お父様!」

とお礼を言ったのは良いですが、その後すぐにお父様の顔が真剣な表情になりましたわね。

なんだか部屋の空気も一気にピリついたような気がしますし..........私のお礼の言い方がダメだったんでしょうか?

いや、ですが、普段と全く変わらないお礼の言い方ですし、悪い言い方というのも理解が出来ませんわよね。

なんて思いながら、とりあえず、ということでお父様に視線を向けると

「ところで、話しが全く違うものになるんだが........」

と物凄く真剣な声のトーンで言われましたわね。

これは、今後にも関わる大事な話でしょうし、しっかりと聞かないと、です。

心の中で動揺を抑えながらお父様の言葉に静かに頷くと

「新しく婚約者を、と言ったら怒るか?」

物凄く真剣な声で、そう言われましたわ。

婚約者、ですか?

え、えっと.........

「それは私に、ですわよね?」

思わずそう聞いてしまいましたが、声のトーンと話しの内容が合っていないといいますか.......。

そこまで真剣な声で話す必要があるのか?と思ってしまいますわよね。

私の質問に真剣な顔で頷くお父様に、思わず笑ってしまいそうになりますが、なぜかお兄様もお母様も真剣な顔をしているので、グッと堪えて

「つい最近婚約破棄されたのに次、というのは早すぎるんじゃないでしょうか?」

そう言ってお父様を見ると、何やら複雑そうな顔をされてしまいましたわ。

ということは、望んでいた答えと違った、ということなんでしょうか?

うーん......わかりませんわね。

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