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70話

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廊下を歩くだけで、メイド達から物凄く注目された私たちでしたが、なんとか執務室に到着しましたわね。

途中でお兄様か、お母様のどちらかに会うと思っていましたが.....どこにも見当たらない、ということはお出かけでもしているんでしょうか?

なんて思いながら、執務室の扉を開けましたわ。

すると、どうやらお兄様達は外出していたのではなく話し合いをしていたみたいで、お父様とお母様、そしてお兄様の3人で向かい合って椅子に座っています。

ノックもせずに扉を開けてしまったので、3人とも驚いた顔をしていますが.......同じような顔と体制をしているのでなんだか面白いですわね。

そう思いながら、コシューミアを肩に乗せて、そして後ろにディーヴァンを連れて執務室に入ると、早速コシューミアに気付いたお父様に

「ち、ちょっと待て。その肩に乗っている小さな竜は一体なんだ?」

と言われましたわ。

その言葉に、お兄様もお母様もほぼ同時に私の肩を見ましたが、やっぱりこれほどまでに小さな竜を見るのは初めてだったみたいで目を大きく見開いて、コシューミアのことを凝視していますわ。

うーん......一気に3人からの視線を感じるとコシューミアも驚いてしまいますわよね。

そう思った私は、驚いた顔をしている3人に

「ディーヴァンの姪っ子のコシューミアですわ」

とだけ言って、私の肩からディーヴァンの方にコシューミアを移動させてから、空いている椅子に腰をかけました。

そして、ふぅ......と小さく息を吐いた後に、ヌミア山で起こった出来事をお父様達に伝えましたの。

もちろん、私の説明だけでは少し足りないところがあるみたいなので、所々でディーヴァンに補足してもらいながら、ですが、隣国の陛下に話をしたものよりももう少し詳しく、そして、今後の話もということで隣国で引き取ることを断ったことも話すと、お父様は

「いやいや......別にここで育てるのは構わないが.........竜にとってここで良いのか?」

そう言って、確認のためにディーヴァンの方を見ましたわ。

お父様が一番気になるのは、ここが竜にとって良い環境なのか、ということなんですのね。

ということは、コシューミアがここで生活していく、ということに関して反対していない、ということなので、なんだか嬉しいですわね。

元々、お父様が反対するとは思ってもいませんでしたが、なんだか安心しましたわ。

お父様の質問に対してディーヴァンは

「ここで2年間生活をしているが、不便を感じたことはない。だから大丈夫だ」

淡々とした口調でそう答えると

「だったら良いが.......」

とお父様も安心したような顔をしています。

そんな中、唯一反対してくると思ったお兄様ですが、意外にも

「ディーヴァンの妹さんも来てくれて良かったのに。1人じゃ寂しいんじゃない?」

と賛成的なことを言ってくれましたわね。

私が竜騎士になる、というのも最初は反対していたので、てっきり竜が嫌いなのかと思っていましたが、ディーヴァンと一緒に過ごしてきて、考えが変わったんでしょうか?

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