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63話

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私の言葉に、応接室の空気が少し変わったのがわかりましたわ。

ピリついた、といいますか....今までの和やかな空気ではなく重たい感じですわね。

それに、普段の私だと、このトーンで言ったら提案を受け入れる、と陛下もわかっていただけあって、ここまでハッキリと断られて驚いているみたいですわ。

目を大きく見開いて、固まってしまっていますもの。

全く......わざとなのかどうかはわかりませんが、この国の陛下は策士ですわ。

なんて思いながら、次に陛下が何を言って来るのか、と待っていると、我に返った陛下は

「なぜだ?我が国の方が知識、場所、どれをとってもその竜にとって良い環境と言えるだろう」

なんとか冷静を保っているようにもみえますが、普段よりも口調が早くなっているので動揺しているのがバレバレですわね。

知識も場所も良い環境、ですか.....。

これには

「えぇ、確かにその通りですわ」

と頷くしかありませんわね。

だって、陛下の言う通りなんですもの。

この国、グレズリューン王国は長年、竜騎士という称号に力を入れているだけあって、竜の為に、と考えられていることが多々ありますわ。

国内で竜が飛んでいても騒ぎになることもありませんし、竜騎士という称号がどれほど凄いものなのかしっかりと理解されているだけあって、国民、貴族問わず全員が敬意をもって竜にも接してくれています。

それと比べて、バジューリアー国は竜騎士という称号自体、貴族の間でしか知られていませんし、国内で竜が飛ぶだけでも大騒ぎになるのが現状ですわ。

実際にあのパーティーの時も大騒ぎになっていましたしね。

ただ、それはバジューリアー国の話、ですわよね。

あの国からの独立を考えている我が家にとっては、こっちの国の方が、と言われても困りますわよ。

なんて思いながら、陛下の方を見ると、私が陛下の言葉に頷いたからでしょうね。

少しではありますが、希望があるような、そんな目をして私のことを見ていましたわ。

そんな陛下には本当に申し訳ありませんが、流石にこの提案は受けるわけにいきません。

そう思いながら、陛下に

「ですが、シャリューアから頼まれたのは私です。私がコシューミアを育てると約束をして連れて来たのに、手放すことは出来ませんわ」

ハッキリとそう言いましたわ。

伝わったかはわかりませんが、心の中でコシューミアを手放す気はない、としっかり意思表示もしたんですが.......って、これは不敬罪とかになりませんわよね?

あぁ、あと、こうやって私が断ってしまったことで独立の手助けはしない、と言われたり.......。

もしそうなってしまったらお父様になんて言えばいいんでしょう!?

言ってしまった後にそんなことを考えても遅いのはわかっていますが、今更ながらもう少し言い方を考えればよかった、と後悔しましたわ。

い、いや、お心の広い陛下のことです。

きっと、私がこの提案を断っただけで一度約束をしたことを断ってくることはないと信じていますわ。

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