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53話 フレグリッドside

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部屋で謹慎してから数日が経過した。

というのも、基本的に部屋のカーテンは閉められていて、風呂とトイレ以外部屋から出ることが出来ないから、今が何時なのか、部屋に閉じ込められて何日経過したのか把握できなくなってきてしまったんだ。

くそっ.......なぜ国にとって有害の辺境伯を追い出そうとしただけで、王太子である俺がこんな扱いをされないといけないんだ.......。

何度も何度も同じことを考えてみるが、全く答えが出ない。

父上だって、金食い虫が国の中で重要な人だ、ということしか教えてくれないし、そもそも女で竜騎士という時点でおかしい。

きっと、父上に嘘を話して俺を陥れようとしたんだろうな。

そう思いながら、既に冷めきっているスープを口に入れた。

はぁ......持ってくる食事だって、俺の食べたい時間にくるわけじゃないから、毎回冷めているし.......そもそも動かないのに食事だけ与えられるなんて家畜にでもなった気分だ。

こんな日々が後何日続くのか.......。

これほどまでに屈辱的な思いをしないといけないくらいのことをしたのか?

なんて思いながら、頑なったパンに噛り付いた時だった。

コンコンという控えめなノックが聞えて来たかと思ったら、俺が返事をする前にゆっくりと扉が開いたではないか。

これには、気力がなくなって来ていた俺も少し苛立って、

「誰の部屋だと思っているんだ!?」

と怒鳴ろうとしたが、それよりも先に

「反省しましたか?」

という声が聞こえてきたせいで、怒鳴ることは出来なかった。

なんと、部屋の中に入ってきたのはお父様の右腕と言われている宰相の『ブブタス公爵』だった。

銀縁の眼鏡にブロンドの髪の毛、スタイルが良くて顔もそこそこ良いのになぜか結婚していない、という変わり者だ。

そんな男をなぜ宰相の座に置いているのか、俺には理解が出来ないが父上は相当こいつのことを信用している。

まぁ、ここまででわかるとは思うが俺はこの男のことが嫌いだ。

といっても、別にこれと言った理由があるわけではない。

ただ、顔と喋り方と、立ち方と歩き方と..........とにかく全てが嫌いだ。

「反省、だと?俺は何も悪いことをしていないのに、なぜ反省などしないといけない」

そう言ってブブタス公爵を睨みつけると、

「本気でそう思っています?我が国で最も重要な一家を追い出したのに?」

呆れた、とでも言いたそうにそう言って肩をすくめる姿は本当に何度見ても腹立たしくて、思わず手が出そうになってしまった。

だが、ここでそんなことをするわけにもいかないからな。

仕方ないが耐えるしか.....。

なんて思いながら、肩をすくめるブブタス公爵に

「いやいや.....辺境伯など遠征に金をかけるだけの無駄な爵位だ、と貴族たちが話しているのを聞いたぞ?」

と言ってニヤッと笑ってやると、そんな俺に対して、

「はぁ!?貴方は王太子でありながら、辺境伯のことをそのように思っていたんですか!?」

ブブタス公爵はそう言うと、バカにしたように笑ってきたではないか。

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