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47話
しおりを挟む本当に小さな声でしたし、一瞬聞き間違えかとも思った私は、
「え?えっと?」
と聞き返してしまいましたわ。
だって.....ねぇ?
このタイミングで何か言って来るとは思っていませんでしたし。
ただ、確実に名前を言ったような気はしましたわ。
そう思いながら、シャリューアの言葉を待っていると、シャリューアは今日見た中でも一番優しい笑みを浮かべて
[この子の名前......コシューミアがいいんじゃないか、って]
と言ったのが聞こえてきましたわ。
これには、なぜか嬉しくなって
「コシューミア!凄く良いと思いますわ!」
と大きな声を出してしまいましたわよ。
おかげで肩に乗っていたコシューミアは飛び上がるかのように落ちてしまいましたし、ディーヴァンに呆れたような目で見られてしまいましたし、自業自得とはいえ恥ずかしいですわ。
なんて私が思っている間にも、ディーヴァンとシャリューアは
[思った以上にすんなりと出て来たな]
[本当にパッと頭の中に浮かんできたんです。なんででしょう?]
と話をしていますわね。
まぁ、確かにもう少し考えると思っていたんですけどね。
想像以上にパッと出てきたので、最初から考えていたのでは?と疑ってしまいますわ。
もしかしたら、元々名前は決めていたのかもしれませんが、コシューミアはこれから私に預けると決意したので気を遣ったのかもしれません。
そう考えると、やっぱり私が名付け親にならなくて良かったですわね。
......少し残念ではありますけど。
そんなことを思いながら私と同様に疑いの眼差しを向けるディーヴァンを押しのけて
「素敵な名前ですし、私は気に入りましたわよ?」
とシャリューアに言うと
[ありがとうございます]
そうお礼を言ってきたシャリューアの表情は、本当に嬉しそうで私の方まで嬉しくなりましたわ。
そんな中、私に押しのけられたディーヴァンは、というと
[んで?他に聞きたいことはなんだ?もう1つあるんだろう?]
私の肩から落ちてしまったコシューミアを自分の背中にの背中に乗せながらそう聞いてきましたわね。
そういえば、名前のことで忘れるところでしたが、私の質問は2つある、と宣言していましたわ。
もちろん、それは今も変わっていませんし、今後にも関わる大事なことなのでしっかりと聞いておかないといけませんわよね。
なんて思いながら、
「えっと.......2つ目の質問だけど....」
と前置きをしてシャリューアに聞いてみましたわ。
その質問、というのはオスとメスでは色々と出来ること、出来ないことがある、というのはわかったけど、コシューミアはディーヴァンのように人の姿になることは可能なのか、ということ、ですわね。
これは連れて行くのにも大事なことですし、もし人間の姿にはなれない、というのであれば今ディーヴァンが住んでいる場所を少し広くしないといけなくなります。
それに加えて、移動するときに常に大きな竜を2人も連れているのはあまりにも目立ってしまうので、出来ることなら可能であって欲しい......という希望ですわよね。
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