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35話

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ディーヴァンと2人、山を登って20分が経過しましたわ。

もう頂上が見えるくらいの距離にはなっていますが......なんだか前に来たときより静かな気がしますわね。

なんて思いながら、一歩、また一歩と前に進んでいると

「そろそろ疲れたんじゃないか?大丈夫か?」

凄く心配そうな顔をしてディーヴァンにそう聞かれましたわね。

疲れたのでは?って......ディーヴァンは疲れと言うものを知らない人ですから、きっと私のことを気遣って言ってくれたんでしょうけど

「私だって鍛えているんだから、これくらいで疲れないわよ」

思わずそう言って笑ってしまいましたわよ。

だって、毎日1時間の走り込みをしていますのよ?

確かに山を登るのと平坦な道を走るのでは少し違いますが、たかが20分ごときでは疲れませんわよ。

私の答えに、ディーヴァンは

「そうか........」

と短く答えただけですが......やっぱりどこか落ち着きがないですわね。

そわそわしていると言いますか、歩きながらもチラチラと上の方ばかり見ていると言いますか。

だから、今立ち止まっているよりも上の方で休んだ方がディーヴァンも落ち着けるでしょう。

そう思った私は、ディーヴァンに

「そろそろ到着するんだから、早く行きましょう?頂上でゆっくりした方が良いわ」

と言って微笑むと、何も言わなかったですが小さく頷きましたわ。


それから5分ほどが経った頃、

「なんだか山全体が静かね」

と呟くと、ディーヴァンも同じことを思っていたみたいで、すぐに

「多分寒さから逃れるために、洞窟の奥の方に入っているんじゃないか?」

と返事をしてくれましたわ。

洞窟の奥の方、ですか.......。

確かにディーヴァンと初めて会った時も洞窟の前でしたわね。

奥の方で兄弟がいる、とか聞いたことがありますが.......あの時は契約をしたばかりということもあって、見せて欲しいと言えなかったんですのよね。

今だったら会わせてくれるかしら?

なんて思いながら、

「確かに随分と冷えていますものね。ディーヴァンは寒くない?大丈夫?」

と尋ねると、鼻を赤くしたディーヴァンが

「まぁ.....少し寒いかもしれないが、これくらいならまだ耐えられる」

と言っていますが、表情は強張っていますわね。

あ.....そう言えば竜は体の温度調節は出来るのかしら?

今まで極端に寒いところもありませんし、暑いところも行ったことがなかったので気にしたことがありませんでしたわ。

ただ、今のディーヴァンは人間の姿、ということで、きっと私と同じ状況ですわよね。

そう思った私は、ディーヴァンに

「私は歩いて温まってきたからジャケットを貸そうか?」

と声をかけましたが、

「いや、それはお前が借りたものだ。着ておけ」

そう言って、寒そうにしながらも頑なにジャケットを着ようとはしませんでしたわ。

まぁ.....私がリーファイ様から借りたものですし、勝手に貸すのは.....とでも思ったんでしょうか?

いや、そうだとしても別に寒さに震えるくらいだったら着た方が良いと思うんですが......。

まぁ、しつこく言ってもディーヴァンの意思は変わりませんし、とにかく今は頂上まで急ぎましょう。

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