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19話
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昨日から、何かを言いたそうにしながらも言葉を濁しているディーヴァンに違和感を覚えながらも、とりあえずそろそろ出発の時間なので、用意してあった荷物を背負いましたわ。
あ、ちなみに貴族の令嬢のような手で持つ鞄は空を飛ぶときに向いていないので、当然リュックですわよ。
最初に、ディーヴァンの背中に乗るためにリュックを買って欲しい、とお願いした時は、相当反対されたんですのよね........。
リュックだけではなく、この服装についても相当嫌そうな顔をされましたし、当時の私はよく折れなかったなぁ......と感心しますわよね。
なんて呑気に思っていると
「そろそろ出発の時間かなーと思ってきたけど......その恰好で行くの?」
と後ろから、お兄様に声をかけられましたわ。
その恰好って......
「え?さっきディーヴァンにも同じことを言われましたが、何か変ですか?」
せっかく気にしないように、と思っていたのに、お兄様にも言われてしまうと嫌でも気になりますわよね。
私としては動きやすいですし、ディーヴァンに乗っていても裾が邪魔になることもなく、最適な服装だと思っていますのよ?
それなのに、2人ともなぜそんなに複雑そうな顔で私を見ていますのよ......。
お兄様とディーヴァンを交互に見ながら、2人が何を言いたいのか、と首を傾げていると
「い、いや.......変ではないけど......」
[言いたいことはよくわかる......]
それぞれそう言うだけで、何が言いたいのか全く理解が出来ませんわ。
全く....何か言いたいことがあるのならハッキリと言うのが常識だと思いませんか?
お兄様とディーヴァンはそんなことも出来ないなんて、少し複雑な気分ですわよ。
なんて思っていると、今までのやり取りをスッと見ていたお母様が
「まぁまぁ、いいじゃない。これがアリスティアだもの」
これまた意味深な言い方でお兄様とディーヴァンにほほ笑んでいますが
「そ、それってどういう意味ですの?」
と流石に聞いてしまいましたわよ。
だって、本当にどういう意味か気になりましたもの。
これが私って.......でも、これと同じような服装でお兄様は稽古に参加しているのに、私は何かしら言われるのはおかしいと思いませんか?
そんな中、お母様は笑みを崩すことなく優雅に
「特に深い意味はないわよ」
と言って微笑むだけですし......。
もう!皆で私のことをそうやって.......言いたいことがあるならハッキリと言って欲しいですわ!
なんて思っていると、一番最後にやってきたお父様が、
「とにかく、婚約破棄の話と、手紙はしっかりと渡すこと。泊ってきてもいいが、あまり遅くならないように」
と言うと一気にその場の空気が変わったのがわかりましたわ。
なんといいますか......出発するんだ、というピリついた空気と言えばいいんでしょうか?
さっきまでの和やかな空気ではありませんわね。
なんて思っていると、お父様のこの言葉を合図に
[さて、では行くとするか]
とディーヴァンが私に声をかけてきたので、
「えぇ!ディーヴァン、今回もお願いね」
と言って飛び乗ると、しっかりとディーヴァンの首を掴みましたわ。
あ、ちなみに貴族の令嬢のような手で持つ鞄は空を飛ぶときに向いていないので、当然リュックですわよ。
最初に、ディーヴァンの背中に乗るためにリュックを買って欲しい、とお願いした時は、相当反対されたんですのよね........。
リュックだけではなく、この服装についても相当嫌そうな顔をされましたし、当時の私はよく折れなかったなぁ......と感心しますわよね。
なんて呑気に思っていると
「そろそろ出発の時間かなーと思ってきたけど......その恰好で行くの?」
と後ろから、お兄様に声をかけられましたわ。
その恰好って......
「え?さっきディーヴァンにも同じことを言われましたが、何か変ですか?」
せっかく気にしないように、と思っていたのに、お兄様にも言われてしまうと嫌でも気になりますわよね。
私としては動きやすいですし、ディーヴァンに乗っていても裾が邪魔になることもなく、最適な服装だと思っていますのよ?
それなのに、2人ともなぜそんなに複雑そうな顔で私を見ていますのよ......。
お兄様とディーヴァンを交互に見ながら、2人が何を言いたいのか、と首を傾げていると
「い、いや.......変ではないけど......」
[言いたいことはよくわかる......]
それぞれそう言うだけで、何が言いたいのか全く理解が出来ませんわ。
全く....何か言いたいことがあるのならハッキリと言うのが常識だと思いませんか?
お兄様とディーヴァンはそんなことも出来ないなんて、少し複雑な気分ですわよ。
なんて思っていると、今までのやり取りをスッと見ていたお母様が
「まぁまぁ、いいじゃない。これがアリスティアだもの」
これまた意味深な言い方でお兄様とディーヴァンにほほ笑んでいますが
「そ、それってどういう意味ですの?」
と流石に聞いてしまいましたわよ。
だって、本当にどういう意味か気になりましたもの。
これが私って.......でも、これと同じような服装でお兄様は稽古に参加しているのに、私は何かしら言われるのはおかしいと思いませんか?
そんな中、お母様は笑みを崩すことなく優雅に
「特に深い意味はないわよ」
と言って微笑むだけですし......。
もう!皆で私のことをそうやって.......言いたいことがあるならハッキリと言って欲しいですわ!
なんて思っていると、一番最後にやってきたお父様が、
「とにかく、婚約破棄の話と、手紙はしっかりと渡すこと。泊ってきてもいいが、あまり遅くならないように」
と言うと一気にその場の空気が変わったのがわかりましたわ。
なんといいますか......出発するんだ、というピリついた空気と言えばいいんでしょうか?
さっきまでの和やかな空気ではありませんわね。
なんて思っていると、お父様のこの言葉を合図に
[さて、では行くとするか]
とディーヴァンが私に声をかけてきたので、
「えぇ!ディーヴァン、今回もお願いね」
と言って飛び乗ると、しっかりとディーヴァンの首を掴みましたわ。
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