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343話
しおりを挟むふと、叔父様たちの現状が気になった私は、苦笑しているカイン様に
「そういえばあの人達はどうなりましたの?」
と質問してみましたわ。
するとカイン様はまさか私がその質問をするとは思ってもいなかったんでしょうね。
一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに
「あー......言わない方がいいかと思って何も言わなかったけど、気になるか?」
と少し都合の悪そうな顔をして聞いてきましたわ。
なので、
「まぁ、一応親戚のようなものですからね」
苦笑しながらですが、そう言うと、カイン様は言葉を選びながらではありますが、あの人たちの現状を話してくれました。
まず、おバカさん2人の片方......アーリアの方ですが、家を出るように役人が言いに行った時には既に家を出ていたらしいですわ。
最初は外出しているだけか、とも思ったらしいんですが、メイドが
「最近、姿を見ていないし、アーリア様の物が減っていた」
と言ったことで、1人家を出たんだ、という判断になったらしいんですの。
今はどこにいるのかわかっていないらしいですが、陛下は
「あのタイミングで家を出るということは何かしら思うことがあったんだろう」
と言っているらしいですわ。
確かに陛下の言う通りですわね。
前までのアーリア様だったら、家にしがみついていたことでしょうし.......少しは変わりたいと思っているんでしょうか?
もし変わりたいのなら、手伝うことは出来ませんが頑張って欲しい、と心から思いますわ。
そして、次は叔母様ですわね。
カイン様いわく、役人が家に行った時から相当酷い態度だったらしいんですが、最後の最後まで家から出ていくことは無かったみたいですわ。
最終的には王令を出して追い出そうとしたらしいんですが、それでも動かなかったので、兵士に連れて行かれたとか......。
話によると、今まで好き勝手していたことと、男好きだという噂もあったので、低級娼婦に売られた、とのことでしたわ。
その売られたお金で支払われていない税金、ということになったんだとか。
低級、ということは安い金額で、自分の体を売らないといけないのに、客層も悪く病気になっても怪我をしても働かせる、と聞いたことがあります。
叔母様は一生娼婦からでてこられない、ということなんでしょうね。
なんて思っていると、私と同じく今子爵家の人たちの末路を聞いたらしいエリザベート様は
「元とはいえ貴族が低級に入れられるのは珍しいですわね」
そう言って何とも言えないような表情をしましたわね。
確かに、貴族が娼婦となる時は高級、低くても中級に売られることが多いはずです。
それなのに......と思いましたが、叔母様のあの見た目では中級も難しいですわよね。
性格も悪いですし、声もお酒の飲みすぎでガラガラですし.....。
そう考えると低級は誰でも買い取ってくれるので、確実ですもの。
なんて思っていると、カイン様も私と同じようなことを思ったのか
「確かにそうだな。だが、見た目といい性格といい高級娼婦では買い取ってくれないだろう」
と言いましたが、眉間に皺を寄せて何とも言えないような、複雑そうな顔をしていますわ。
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