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324話
しおりを挟むその後、意外にもデール様はダラダラと会話をすることなく、自分の言いたいことを終えるとすぐに
「お昼休みに時間を貰ってしまってすみませんでした」
というと、スッとその場を後にしましたわ。
その場に取り残されてしまったような私たちは、というと、デール様が座っていた椅子を見つめながら呆然としていましたが、今まで黙り込んでいたエリザベート様が
「なんだか拍子抜けですわね」
と言ったのを合図に会話を始めましたわ。
「もしかして、デール様が私に対して異様な執着をしていたのは伯爵が原因だったのでは?」
と私が言うとカイン様もエリザベート様も首を傾げたので、デール様と婚約する際に交わした契約と言いますか.....約束のようなものを2人に伝えると
「なるほどな」
「確かに、そのようなことがあったのならセリスティア様を必死に探していたのも頷けますわ」
2人とも納得したようで、頷いてくれましたわ。
そして、デール様の件を締めくくるように
「まぁ、しっかりと心を入れ替えた、というのは伝わったし、もう大丈夫だろう」
とカイン様が言ったので、私も同じ考えだということでしっかりと頷いてデール様の件は終わりを迎えましたわ。
正直、ここまであっさりと私の1つの悩みだったデール様の件が片付くとは思ってもいませんでしたが、デール様の様子を見ているとお兄様が何かしら関わっているんでしょうね。
婚約していた時から私を気遣ってくれたりと、本当に優しい人でしたがまさかデール様のことを改心させると思ってもいませんでしたわ。
今度パーティーで会った時にお礼を言わないと、ですわね。
そう思いながら、カイン様とエリザベート様と他愛のない話を楽しみましたわ。
ー-------------
エリザベート様の馬車で家まで送ってもらった私は、いい気分のまま自分の部屋へと向かっていたんですが、その途中
「お嬢様!大丈夫でしたか!?」
私の姿を見つけたユーリが慌てた様子で私に駆け寄ってきましたわ。
そんなに慌てている、ということは私がいない間に何かあったんだろう、と思った私は
「そんなに慌ててどうしましたの?」
なるべく落ち着くようにユーリを宥めながらそう尋ねると、ユーリはこう言いましたわ。
「少し前にダレス様が門の前で暴れていて........」
これには誰のことを言っているのかわからず
「ダレス......?」
と呟きましたが、すぐに叔父様の名前を思い出した私は、ユーリに
「暴れていたって.......皆は無事でしたの?」
そう尋ねるとユーリが何度も何度も頷いたので安心しました。
まぁ、流石の叔父様もメイド達に危害を加える、なんてバカなことはしないと思いますが、それでもユーリ達が大人の男性を相手に、というのは危険ですからね。
誰も怪我はないみたいですし、良かったですわ。
そう思いながら、ユーリの方を見ると私があまりにも落ち着いているので疑問に思ったんでしょうね。
ついさっきまで慌てていたのに、今では不思議そうな顔をして私のことを見ていますわ。
そんなユーリに
「あの人のことはもう心配しなくても大丈夫ですわ」
と言いましたが......どうやら余計に疑問を増やしてしまったみたいですわね。
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