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313話
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2人にはとても感謝をしていますが......どうしても、この重たい空気に慣れない私は、話を逸らすかのように
「そ、そういえば、カイン様の言う嫌な奴とは一体誰のことを言っていますの?学園に私と話すような人も居ませんし、全く思い当たりませんわよ?」
と首を傾げながらそう尋ねましたわ。
あまりにもあからさまに話を逸らしたので、頭のいい2人は気付いたでしょうね。
それに、自分でもわかってしまうくらい顔が引きつっていたはずですし。
ただ、2人は私がこの話題を終わらせたい、と思っていることをわかってくれたんでしょうね。
本来ならもっと色んなことを聞きたいはずなのに
「確かに特別仲がいい人はいないかもしれないが、1人厄介な奴がいるだろう」
と私の話題に乗っかってくれましたわ。
それにしても、厄介な人ですか......。
他の人とは関わることがなさ過ぎて、全く思いつきませんわ。
今だって厄介な人で思い浮かんできたのは隣国のカティ様のことでしたし......。
そういえば、帰国してから忙しすぎてレオンハルト様と伯父様たちに手紙を出していませんでしたわね。
流石に今日出さないと心配をかけてしまうかもしれませんわ。
なんて全く関係のないことを考えていると、カイン様もエリザベート様も、本当に私が誰のことを言っているのか理解出来ていないことをわかってくれたんでしょう。
「デール様のことですわよ」
と苦笑しながら教えてくれましたわ。
デール様.......あぁ!デール様のことですのね。
短い間でも一応婚約していたのに、色々なことがありすぎてすっかり頭から抜けていましたわ。
なんて思っていると、エリザベート様はそんな私を見て
「もしかして、忘れていましたの?」
驚き半分、呆れ半分、というような感じで質問してきたので、咄嗟に
「い、いや....忘れていたというより、記憶から排除していたといいますか......」
と言ってしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に流石のカイン様も
「それを忘れていたというんだよ」
苦笑しながらそう言いましたわね。
ただ、まさか私が忘れているとは思ってもいなかったのか、驚いてはいましたけどね。
私自身、帰国する前?までは頭の片隅辺りにではありますがデール様のことを覚えていたんですけどね。
きっと、そんなことを気にする余裕がないくらいのことが起こったせいでしょう。
そう思いながら、苦笑している2人に
「正直、デール様のことに関してはあまりいい思い出がありませんし、新しく婚約者がいるので出来る限り話しかけてこないで欲しい、というのが本音ですわね」
と私の素直な気持ちを伝えると、2人は一瞬だけ顔を見合わせた後に真剣な顔をしながら
「ここ最近、何があったのか知らないが大人しくはなっているんだけど、セリスティア嬢の姿を見て何もしない、とは断言が出来ないからな」
「噂ではデール様のお兄様が心を入れ替えるよう説得した、とのことでしたが、セリスティア様が隣国に行ったとき、あまりにも騒ぎすぎて今は皆から距離を置かれていますの」
とそれぞれ言いましたわ。
既に婚約者ではないのでデール様がどうなっていても関係がありませんが、私のせいで孤立してしまった、ということに関してだけは少し申し訳なく思えますわ。
ただ、距離を置かれてしまう程だなんて、相当ですわよね。
「そ、そういえば、カイン様の言う嫌な奴とは一体誰のことを言っていますの?学園に私と話すような人も居ませんし、全く思い当たりませんわよ?」
と首を傾げながらそう尋ねましたわ。
あまりにもあからさまに話を逸らしたので、頭のいい2人は気付いたでしょうね。
それに、自分でもわかってしまうくらい顔が引きつっていたはずですし。
ただ、2人は私がこの話題を終わらせたい、と思っていることをわかってくれたんでしょうね。
本来ならもっと色んなことを聞きたいはずなのに
「確かに特別仲がいい人はいないかもしれないが、1人厄介な奴がいるだろう」
と私の話題に乗っかってくれましたわ。
それにしても、厄介な人ですか......。
他の人とは関わることがなさ過ぎて、全く思いつきませんわ。
今だって厄介な人で思い浮かんできたのは隣国のカティ様のことでしたし......。
そういえば、帰国してから忙しすぎてレオンハルト様と伯父様たちに手紙を出していませんでしたわね。
流石に今日出さないと心配をかけてしまうかもしれませんわ。
なんて全く関係のないことを考えていると、カイン様もエリザベート様も、本当に私が誰のことを言っているのか理解出来ていないことをわかってくれたんでしょう。
「デール様のことですわよ」
と苦笑しながら教えてくれましたわ。
デール様.......あぁ!デール様のことですのね。
短い間でも一応婚約していたのに、色々なことがありすぎてすっかり頭から抜けていましたわ。
なんて思っていると、エリザベート様はそんな私を見て
「もしかして、忘れていましたの?」
驚き半分、呆れ半分、というような感じで質問してきたので、咄嗟に
「い、いや....忘れていたというより、記憶から排除していたといいますか......」
と言ってしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に流石のカイン様も
「それを忘れていたというんだよ」
苦笑しながらそう言いましたわね。
ただ、まさか私が忘れているとは思ってもいなかったのか、驚いてはいましたけどね。
私自身、帰国する前?までは頭の片隅辺りにではありますがデール様のことを覚えていたんですけどね。
きっと、そんなことを気にする余裕がないくらいのことが起こったせいでしょう。
そう思いながら、苦笑している2人に
「正直、デール様のことに関してはあまりいい思い出がありませんし、新しく婚約者がいるので出来る限り話しかけてこないで欲しい、というのが本音ですわね」
と私の素直な気持ちを伝えると、2人は一瞬だけ顔を見合わせた後に真剣な顔をしながら
「ここ最近、何があったのか知らないが大人しくはなっているんだけど、セリスティア嬢の姿を見て何もしない、とは断言が出来ないからな」
「噂ではデール様のお兄様が心を入れ替えるよう説得した、とのことでしたが、セリスティア様が隣国に行ったとき、あまりにも騒ぎすぎて今は皆から距離を置かれていますの」
とそれぞれ言いましたわ。
既に婚約者ではないのでデール様がどうなっていても関係がありませんが、私のせいで孤立してしまった、ということに関してだけは少し申し訳なく思えますわ。
ただ、距離を置かれてしまう程だなんて、相当ですわよね。
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