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307話

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荷物を馬車から降ろした男性達は、仕事が終わった、とでも言わんばかりに手をパンパン、と叩いて大きく息を吐きましたわ。

私たちは、その様子をただただ呆然として眺めていましたが.....当然ですが、黙っていない人が1人いますわよね。

そう思ってチラッと叔父様の方に視線を向けると、私が思った通り叔父様は肩をプルプルと震わせながら

「お、お前ら……」

と呟いて、顔を真っ赤にして男性達を睨みつけますが、男性達はそんな叔父様を見下ろすように視線を向けると

「ふんっ!そんなんだからメイド達もお前の味方をしないんだ」

吐き捨てる様にそう言うと、近くにいた他の男性や、たった今お屋敷の中から荷物を運び終えて出てきた男性達に向けて

「行くぞ!この仕事は辞めだ!」

大声でそう叫ぶと、叔父様に対して背中を向けましたわね。

そんな男性達を見て焦った叔父様は

「お、お前ら!こんなことをしてただで済むと思うなよ!俺は依頼主だぞ!」

必死な形相でそう怒鳴りつけましたが、男性達は振り向くことなくその場を後にしましたわ。

な、なんだか嵐のようでしたわね。

呆気に取られていたらいつの間にか男性達が帰って行った、という感じですわ。

まぁ、最初に作業をしている人の1人がユーリにぶつかってきた時は当然腹が立ちましたしたけど、しっかりと話をしたらいい人だった、ということ........いや、ですが私が言うまでユーリに謝罪をしようともしませんでしたしね。

それを考えたら安易に、本当はいい人なんだ、と判断するのもおかしな話ですわ。

そう思いながら、1人残された叔父様の方に視線を向けると、男性達がいなくなったからなのか、叔父様は落とされた荷物の元に駆け寄ると

「くそっ……」

と大きな声で叫びましたわ。

叔父様の目の前には、壊れてしまった食器や家具、調度品や高そうなアクセサリーが沢山ありますが.......アクセサリーに関しては女性用のデザインばかりですわね。

......もしかして、あのおバカさん2人から奪い取って....いや、叔父様のことなので、バレないように盗んできたんでしょうね。

なんだか想像が出来てしまうのが少し残念に思えますわ。

ただ、こうなってしまったのも叔父様の自業自得ですし、あの男性達に対しても傲慢な態度をとっていなければ、今頃また違ったことが起こっていたのは確実だ、と思った私は、スッと膝をついている叔父様の近くに行って

「ざまぁないですわね、叔父様」

淡々とした口調で吐き捨てる様にそう言いましたわ。

すると叔父様は、流石に言い返すことが出来ないのか、それとも言い返す気力が残っていないのか、どちらかはわかりませんが無言で俯いてしまいました。

はぁ......叔父様もわかっているんでしょうか?

自分が原因でこのようなことになっているんだ、と。

そう思いながらチラッとお屋敷の入り口の方を見ると、中で待っていたメイド達も外で何かあったんだ、と気付いたんでしょうね。

入り口からではありますが、様子を窺うように私たちの方に視線を向けていることに気付きましたわ。

さて、そろそろこの件に関してケリを付けないといけない、そう思った私は

「このままお屋敷に荷物を置くなら既に運ばれている物もこれらと同じ状態にしますわよ」

と言うと、私が本気で言っていることに気付いたんでしょう。

俯いていた頭を上にあげ、私に対して縋るような視線を向けながらこう言いましたわ。

「しっ……仕方ないだろう!?お前は隣国にでも逃げるところがあるかもしれないが、俺には行くところはおろか、家すらないんだぞ!」

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