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297話

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ちなみに、陛下がレオンハルト様と手紙のやり取りをして思ったことは

「凄く真面目な公爵子息だ」

ということだったみたいですわ。

手紙の詳しい内容は教えてくれなかったんですが、一番最初に手紙を貰った時は婚約が決まったから挨拶だけでも、ということで簡単な自己紹介のようなことが書かれてあったみたいですし。

まぁ....流石に私が自分のせいで嫌がらせを受けている、ということは書かれていなかったので、陛下も驚いた、とは言っていましたけどね。

とにかく、エリザベート様が思っているような女性を誑かすようなことはしない、と陛下がしっかりと断言してくれましたわ。

ここまで言われるとカイン様もエリザベート様も納得せざるを得ませんわよね。

なんて思いながら、陛下がレオンハルト様を褒めている間、ひたすら頷いているとそんな私をジッと見ていたエリザベート様が

「とにかく、セリスティア様がレオンハルト様?のことを好いているのだけはしっかりとわかりましたわ」

と言ってきましたわね。

きっと陛下の言葉に何度も何度も頷いていたのでそう思ったんでしょうけど......改めてレオンハルト様を好いている、だなんて言われると少し照れてしまいますわ。

いや.....そもそも、自分ではレオンハルト様のことが本当に好きなのか、どうなのかハッキリとわかっていませんでしたのよね。

何と言いますか.....伯母様たちに勧められたので婚約したようなものでしたし......。

ですが、さっきカイン様達に言われてレオンハルト様との婚約を白紙に...と考えた時、自分の胸がズキッと痛くなりましたの。

あぁ、もちろんカイン様達の言っていることは正しいですし、納得も出来ましたのよ?

ですが、婚約破棄したくないと思ったといいますか.....そもそも、考えるだけで悲しくなったと言いますか.....。

今までこのようなことがなかったのでわかりませんが、これはレオンハルト様のことが好きだからこそ、の感情ですわよね?

なんて思っていると、エリザベートの言葉に続けてカイン様が

「まぁ、父上がここまで人を褒めるのは少ないからな。俺たちが文句を言っても婚約は白紙になるわけでもないし......きっと大丈夫だろう」

そう言って私に視線を向けましたわ。

それに付け加える様に

「俺たちもセリスティア嬢の婚約をなくしたいわけではないしな」

そう言ったカイン様の顔を見ると、申し訳なさそうな、でもやっぱり不安に思っているのか、複雑そうな顔をしていますわ。

そんなカイン様に対して

「2人とも、私のことを心配して言ってくれているのはわかっていますわ。ありがとうございます」

と言って微笑むと、カイン様は優しく微笑んでくれましたわ。

その横では、エリザベート様が照れくさそうな顔をしてそっぽを向いてしまいましたが、その姿があまりにも可愛らしくて思わず笑いそうになってしまいましたわよ。

まぁ、この状況で笑ってしまうと、なんだかバカにしたような感じになってしまうので、必死に堪えましたけどね。
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