上 下
295 / 344

295話

しおりを挟む

エリザベート様からされた質問があまりにも的確といいますか......反射的にそうなんです、と答えてしまう程ピッタリと良い質問をされてしまったので、動揺してしまいましたわ。

すると、瞬時に私の動揺を察したエリザベート様がすかさず

「やっぱり!お手紙で教えてくれなかったではありませんか!何がありましたの!?」

と詰め寄るように続けて質問してきましたわね。

あまりの勢いに一歩後退ってしまいそうになりましたが、椅子に座っているので後ろに下がることは出来ず、ただただどうしていいのか、と無言になってしまいましたわ。

すると、私たちのやり取りを見ていたカイン様が流石に見ていられなくなったんでしょう。

「まぁまぁ」

と言いながらエリザベート様に対して苦笑をしていましたわ。

そのおかげで冷静になったのか、エリザベート様は私に対して

「す、すみません......少し強引すぎましたわね」

シュンとしながらそう言ってくれましたが、その姿がなんだか可愛らしくて思わず頬が緩んでしまいましたわ。

とりあえず、ユーティン様のことについてどう説明するか、ですわね。

うーん.....レオンハルト様の幼馴染だ、と言ってもなぜ幼馴染がそのようなことを、となってしまうでしょうし.......かといってそれ以外に説明のしようがありませんのよね。

......って、よく考えると別にユーティン様のことに関しては嘘をつく必要もないのでは?

別にレオンハルト様とユーティン様の間にやましいことはありませんし、このようなことになった以上、変にユーティン様を庇っても無意味ですわよね。

なんて思っていると、エリザベート様が落ち着いたのを待っていたかのようなタイミングで、今まで黙っていた陛下が

「儂も何があったのか聞いておきたい。話してくれるか?」

と言って私に視線を向けましたわ。

すると、当然ですがカイン様とエリザベート様も気になったみたいで、興味津々に私のことを見てきましたわね。

.....うん、決めましたわ。

ここは変に誤魔化すようなことはせずに、パーティーであったことを素直に話しましょう。

その方が陛下も対応しやすいですものね。

そう思った私はあのパーティーでのやり取りを、簡単にではありますが陛下達に話しましたわ。

すると、私が話し終えるとすぐに

「その.....セリスティア様」

とエリザベート様が遠慮気味に声をかけてきたので

「どうしましたの?」

首を傾げながらそう尋ねると、ふぅ......と息を吐いたエリザベート様が私にこう質問してきましたわ。

「こう言うのは失礼かもしれませんが、その婚約者様というのはその人じゃなければいけないんですの?」

まさかそのような質問をされるとは思ってもいなかった私は

「な、なぜですか?レオンハルト様はとても優しくていい人ですわよ?」

首を傾げままそう返事を返すと、どうやらカイン様もエリザベート様と同じようなことを思ったらしく

「うーん......でも、その人と婚約している間、ずっと同じようなことがあるかもしれないんだよ?」

私に追い打ちをかけるかのようにそう言ってきましたわ。

これには

「そ、そう言われましても.....」

と言うしかありませんわよね。

だって、今更になって婚約破棄なんてありえませんし......私自身レオンハルト様とは結婚するつもりでいたんですから。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

亡国の大聖女 追い出されたので辺境伯領で農業を始めます

夜桜
恋愛
 共和国の大聖女フィセルは、国を安定させる為に魔力を使い続け支えていた。だが、婚約を交わしていたウィリアム将軍が一方的に婚約破棄。しかも大聖女を『大魔女』認定し、両親を目の前で殺された。フィセルだけは国から追い出され、孤独の身となる。そんな絶望の雨天の中――ヒューズ辺境伯が現れ、フィセルを救う。  一週間後、大聖女を失った共和国はモンスターの大規模襲来で甚大な被害を受け……滅びの道を辿っていた。フィセルの力は“本物”だったのだ。戻って下さいと土下座され懇願されるが、もう全てが遅かった。フィセルは辺境伯と共に農業を始めていた。

影の聖女として頑張って来たけど、用済みとして追放された~真なる聖女が誕生したのであれば、もう大丈夫ですよね?~

まいめろ
ファンタジー
孤児だったエステルは、本来の聖女の代わりとして守護方陣を張り、王国の守りを担っていた。 本来の聖女である公爵令嬢メシアは、17歳の誕生日を迎えても能力が開花しなかった為、急遽、聖女の能力を行使できるエステルが呼ばれたのだ。 それから2年……王政を維持する為に表向きはメシアが守護方陣を展開していると発表され続け、エステルは誰にも知られない影の聖女として労働させられていた。 「メシアが能力開花をした。影でしかないお前はもう、用済みだ」 突然の解雇通知……エステルは反論を許されず、ろくな報酬を与えられず、宮殿から追い出されてしまった。 そんな時、知り合いになっていた隣国の王子が現れ、魔導国家へと招待することになる。エステルの能力は、魔法が盛んな隣国に於いても並ぶ者が居らず、彼女は英雄的な待遇を受けるのであった。

婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ? どうぞご自由に

柚木ゆず
恋愛
 ※7月25日、本編完結いたしました。後日、補完編と番外編の投稿を予定しております。  伯爵令嬢ソフィアの幼馴染である、ソフィアの婚約者イーサンと伯爵令嬢アヴリーヌ。二人はソフィアに内緒で恋仲となっており、最愛の人と結婚できるように今の関係を解消したいと考えていました。  ですがこの婚約は少々特殊な意味を持つものとなっており、解消するにはソフィアの協力が必要不可欠。ソフィアが関係の解消を快諾し、幼馴染三人で両家の当主に訴えなければ実現できないものでした。  そしてそんなソフィアは『家の都合』を優先するため、素直に力を貸してくれはしないと考えていました。  そこで二人は毒を用意し、一緒になれないなら飲んで死ぬとソフィアに宣言。大切な幼馴染が死ぬのは嫌だから、必ず言うことを聞く――。と二人はほくそ笑んでいましたが、そんなイーサンとアヴリーヌに返ってきたのは予想外の言葉でした。 「そう。どうぞご自由に」

処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~

インバーターエアコン
恋愛
 王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。   ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。 「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」 「はい?」  叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。  王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。  (私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)  得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。  相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。

平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎
恋愛
江島七海はごく平凡な普通のOL。取り立てて目立つ美貌でも無く、さりとて不細工でも無い。仕事もバリバリ出来るという言う訳でも無いがさりとて愚鈍と言う訳でも無い。しかし陰で彼女は『魔性の女』と噂されるようになって――― 生まれてこのかた四半世紀モテた事が無い、男性と付き合ったのも高一の二週間だけ―――という彼女にモテ期が来た、とか来ないとかそんなお話 ※2018.1.27~別作として掲載していたこのお話の前日譚『太っちょのポンちゃん』も合わせて収録しました。 ※本編は全年齢対象ですが『平凡~』後日談以降はR15指定内容が含まれております。 ※なろうにも掲載中ですが、なろう版と少し表現を変更しています(変更のある話は★表示とします)

原因不明の病気で苦しむ婚約者を5年間必死に看病していたら、治った途端に捨てられてしまいました

柚木ゆず
恋愛
 7月4日本編完結いたしました。後日、番外編の投稿を行わせていただく予定となっております。  突然、顔中にコブができてしまう――。そんな原因不明の異変に襲われた伯爵令息フロリアンは、婚約者マノンの懸命な治療と献身的な看病によって5年後快復しました。  ですがその直後に彼は侯爵令嬢であるエリア―ヌに気に入られ、あっさりとエリア―ヌと交際をすると決めてしまいます。  エリア―ヌはマノンよりも高い地位を持っていること。  長期間の懸命な看病によってマノンはやつれ、かつての美しさを失っていたこと。今はエリア―ヌの方が遥かに綺麗で、おまけに若いこと。  そんな理由でフロリアンは恩人を裏切り、更にはいくつもの暴言を吐いてマノンのもとを去ってしまったのでした。  そのためマノンは傷つき寝込んでしまい、反対にフロリアンは笑顔溢れる幸せな毎日が始まりました。  ですが――。  やがてそんな二人の日常は、それぞれ一変することとなるのでした――。

男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「たかが一男爵家の分際で、一々口を挟むなよ?」  そんな言葉を皮切りに、王太子殿下から色々と言われました。  曰く、「我が家は王族の温情で、辛うじて貴族をやれている」のだとか。  当然の事を言っただけだと思いますが、どうやら『でしゃばるな』という事らしいです。  そうですか。  ならばそのような温情、賜らなくとも結構ですよ?  私達、『領』から『国』になりますね?  これは、そんな感じで始まった異世界領地改革……ならぬ、建国&急成長物語。 ※現在、3日に一回更新です。

処理中です...