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271話 ユースティンside
しおりを挟む顔色を悪くさせているメイドに違和感を感じながらも、とりあえず早く向かった方が良さそうだ、ということで急いで書斎に向かいましたわ。
コンコン、と普段通りにノックをして
「お父様?ユースティンですわ」
と声をかけても返事がないのが気になりますが……これは勝手に入ってこい、ということなんでしょうか?
そう思った私は、なんだか違和感を感じながらも恐る恐る書斎の中へと入りましたわ。
もしかしたら聞こえていない可能性もありますものね。
きっと私の考えすぎですわ。
そう思いながら書斎にいるお父様を見ると、手には紙を持っていてピクリとも動かずにただただその紙を見つめていましたわ。
あー……もしかして、真剣に書類を見ていたから聞こえていなかったんでしょうね。
そうじゃないと、お父様が私のことを無視するなんて有り得ませんもの。
なんて思いながら、
「お呼びだということで来ましたが、どうしましたの?」
と言ってお父様に近付くと、急に勢いよく顔を上げたお父様が
「どうしたもこうしたもあるか!」
そう言って、机の上にバンッと持っていた紙を叩きつけましたわ。
これには流石の私も驚いて
「な、なんですの?」
と言うのが精一杯でしたが、急に怒鳴るなんて、お父様らしくないですわね。
私に対して常に冷静に、と言っている張本人とは思えませんわ。
そう思いながらお父様を見ると、何やら相当お怒りのようで、叩きつけた紙がグシャグシャになってしまうほど手に力が入っていて、顔は真っ赤に染まっていますが……一体何が起こっているのか全くわからない私は、首を傾げてお父様の言葉を待ちましたわ。
すると、少しではありますが顔の赤みが引いたお父様が
「その手紙に書いてあるのは嘘か本当か、それだけを答えろ」
静かに、ですが怒りの籠った声でそう言ってきたのでゆっくりと机に近付いて紙に視線を向けると、サーっと自分の顔が真っ青になっていくのがわかりましたわ。
だって、その紙には
『貴方の家の従者を犯罪者として捕らえています。理由は令嬢に危害を加えようとしたからです』
というような内容のことが書かれていたんですもの。
あぁ、もちろんこんなに簡単な文章では書いてありませんわよ?
もっと堅苦しくて、遠回しでの言い方無んですが要約するとそんな感じ、ということで……って、それどころではありませんわね。
ただ、お父様の質問にどう答えたらいいかわからず
「こ、これは……」
どうにかして言い訳をしようとする私に対してお父様は
「言っただろう。嘘か本当か、だけを答えろと」
低く冷たい声でバッサリとそう言われましたわ。
嘘か本当かだけって……本当だ、ということしか答えはありませんが……
で、ですが今のお父様に対して言い訳もせずに頷いてしまうと、私がどうなるかわかったものではありませんわ!
やっぱり、上手く
「そういえば、今日はサイラスを連れていないんだな」
と言われて思わずビクッと大きく肩を揺らしてしまいました。
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どうにかして、この件は私が関わっていないことにしておかないと……。
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