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265話 レオンハルトside
しおりを挟む他の令嬢とは違う立ち位置……か。
夫人の言っていることは理解できないけど、隣で話を聞くブレイド様が小さく、何度も頷いているのを見ると何か深い意味があるように思えてくるな。
そんなことを思いながら、この話についてこれ以上詳しく話してもキリがない、と判断した僕は、なんとも言えないような顔をしながら何かを考えこんでいる夫人に
「と、とりあえずユースティン様が僕に好意を持っている、というのはわかりました。ですが、建国パーティーの時に相当冷たく突き放したので、これ以上何かしてくるとは思いませんが……」
と呟くように話しかけた。
というのも、自分で声に出していて思ったけど、これ以上何かをしてこないだろう、なんて発言は現状と合っていないし、僕が言うことでもない、と思ってしまったんだよね。
咄嗟に話したこととはいえ、なぜそんなことを言ってしまったのか、自分でも理解ができない。
なんて思いながら、恐る恐る夫人の顔を見ると、当たり前だけど僕の発言に対して
「とはいえ、実際にセリスティアの馬車を襲うよう指示を出しているからね。これから何かしらの対応をしないといけない、とは思っているわ」
そう言って苦笑をしていた。
夫人のことだから怒られるか、と思ったけど……さっきも何か考え込んでいたし、なんだか話の半分くらいしか耳に入っていないみたいだな。
まぁ、ブレイド様の方はしっかりと僕の発言を聞いているから、今も僕の発言に対して眉をひそめているんだけど……。
後から夫人に何かしら言わなければいいけど……。
あぁ、もちろんユースティン様のことに関しては庇うとかそんな感情はないし、セリスティア様を襲わせる、なんて許されることではないと思っている。
ただ、さっきの僕の発言だと、まるでユースティン様を庇っているかのような、そんな発言をしていたような気がするからね。
ちゃんと気を付けて発言をしないと……。
そう思いながら、夫人に視線を向けると、今まで黙っていたブレイド様が
「そういえば、捕らえられた従者たちはどうするんですか?このまま我が家の牢屋に、と言っても王宮のような牢屋ではないので難しいですよね?」
と夫人に質問をしていた。
確かに……一応貴族の家には牢屋というものが存在するが、王宮のように終身刑のような長期で拘束するような牢屋ではない。
というのも、貴族の家にある牢屋、というのは、ただただ人を入れておくためだけの檻という表現がピッタリと当てはまるほど何もないところなんだ。
それと比べて王宮の牢屋というのは、中にしっかりと布団と机が置いてあって、監視の目はあるものの、割と自由に過ごすことが出来る、と聞いたことがある。
まぁ、王宮の牢屋には終身刑を言い渡された奴もいるからな。
何もやることがないと精神的におかしくなってしまう、とのことらしい。
……と話が逸れてしまったが、とりあえず捕らえた奴らをどうにかしないといけないんだが……一体どうするつもりなのかなんだ?
もし僕が夫人の立場だとしたら、すぐにでも処刑してしまうと思うけど……。
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