上 下
265 / 344

265話 レオンハルトside

しおりを挟む

他の令嬢とは違う立ち位置……か。

夫人の言っていることは理解できないけど、隣で話を聞くブレイド様が小さく、何度も頷いているのを見ると何か深い意味があるように思えてくるな。

そんなことを思いながら、この話についてこれ以上詳しく話してもキリがない、と判断した僕は、なんとも言えないような顔をしながら何かを考えこんでいる夫人に

「と、とりあえずユースティン様が僕に好意を持っている、というのはわかりました。ですが、建国パーティーの時に相当冷たく突き放したので、これ以上何かしてくるとは思いませんが……」 

と呟くように話しかけた。

というのも、自分で声に出していて思ったけど、これ以上何かをしてこないだろう、なんて発言は現状と合っていないし、僕が言うことでもない、と思ってしまったんだよね。

咄嗟に話したこととはいえ、なぜそんなことを言ってしまったのか、自分でも理解ができない。

なんて思いながら、恐る恐る夫人の顔を見ると、当たり前だけど僕の発言に対して

「とはいえ、実際にセリスティアの馬車を襲うよう指示を出しているからね。これから何かしらの対応をしないといけない、とは思っているわ」

そう言って苦笑をしていた。

夫人のことだから怒られるか、と思ったけど……さっきも何か考え込んでいたし、なんだか話の半分くらいしか耳に入っていないみたいだな。

まぁ、ブレイド様の方はしっかりと僕の発言を聞いているから、今も僕の発言に対して眉をひそめているんだけど……。

後から夫人に何かしら言わなければいいけど……。

あぁ、もちろんユースティン様のことに関しては庇うとかそんな感情はないし、セリスティア様を襲わせる、なんて許されることではないと思っている。

ただ、さっきの僕の発言だと、まるでユースティン様を庇っているかのような、そんな発言をしていたような気がするからね。

ちゃんと気を付けて発言をしないと……。

そう思いながら、夫人に視線を向けると、今まで黙っていたブレイド様が

「そういえば、捕らえられた従者たちはどうするんですか?このまま我が家の牢屋に、と言っても王宮のような牢屋ではないので難しいですよね?」

と夫人に質問をしていた。

確かに……一応貴族の家には牢屋というものが存在するが、王宮のように終身刑のような長期で拘束するような牢屋ではない。

というのも、貴族の家にある牢屋、というのは、ただただ人を入れておくためだけの檻という表現がピッタリと当てはまるほど何もないところなんだ。

それと比べて王宮の牢屋というのは、中にしっかりと布団と机が置いてあって、監視の目はあるものの、割と自由に過ごすことが出来る、と聞いたことがある。

まぁ、王宮の牢屋には終身刑を言い渡された奴もいるからな。

何もやることがないと精神的におかしくなってしまう、とのことらしい。

……と話が逸れてしまったが、とりあえず捕らえた奴らをどうにかしないといけないんだが……一体どうするつもりなのかなんだ?

もし僕が夫人の立場だとしたら、すぐにでも処刑してしまうと思うけど……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。  レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。  知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。  私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。  そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。

隣国で大活躍中につき、婚約破棄してきた王子様にはもう会いません!

昼から山猫
恋愛
【祖国から要らないと言われた私、隣国では超引っ張りだこなんです」】  子爵令嬢フィオナは、王子アレクセイに「才能なし」と決めつけられ、婚約破棄。嫌気が差して隣国ラウフェンへ行き、のんびり過ごすつもりが、たまたま魔法オペラ劇団の楽屋トラブルに遭遇。彼女は舞台裏の整理や演出スケジュールをササッと把握し、混乱を収めてしまう。  実は王宮で礼法や舞踏を学んでいた彼女の経験が、劇場運営にぴったりハマったのだ。劇団から「ぜひ演出助手をやってほしい」とオファーされ、フィオナは試しにやってみると、次々と劇を成功に導き、観客も劇団員も感謝しきり。  いつしかラウフェン中に「魔法オペラを成功させる立役者がいる」と話題が広がり、貴族社会からも「劇場改革を手伝って」と大勢の依頼が舞い込む。フィオナは連日舞台裏で大忙しだが、感謝される喜びに満たされ、毎日が輝いていた。  祖国はアレクセイ王子が失敗続きで苦境に陥り、「あのフィオナがいれば…」と呼び戻しを試みる。だが劇団やラウフェン貴族らが口をそろえて「彼女は我が国に欠かせない」と拒否。フィオナも「申し訳ありませんが、もうそちらで働く気はありません」と一蹴する。  王子が必死に“お詫び”の書簡を送っても、フィオナは「舞台の本番が迫っているので忙しくて」と相手にしない。祖国の苦しみなど、今の彼女には関係ない話だ。  こうして、祖国で「無能」と言われた彼女は、隣国で新しい道を切り開き、人々の拍手と喝采を受ける立場になった。婚約破棄も悪くない――そんな開き直りさえ感じるほど、フィオナの充実した日々は続いていく。

お前は名前だけの婚約者だ、と言われたけれど、おかげで幸せになりました。

あお
恋愛
厳しい選考会を経て第一王子の婚約者に選ばれた侯爵家令嬢シェリアーナ。 王宮での顔合わせの日、王子はお気に入りの侍女を抱きながら、 「お前は名前だけの婚約者だ。愛する人はイリアだけ。俺たちの邪魔をするな」 と言った。

双子の妹は私から全てを奪う予定でいたらしい

佐倉ミズキ
恋愛
双子の妹リリアナは小さい頃から私のものを奪っていった。 お人形に靴、ドレスにアクセサリー、そして婚約者の侯爵家のエリオットまで…。 しかし、私がやっと結婚を決めたとき、リリアナは激怒した。 「どういうことなのこれは!」 そう、私の新しい婚約者は……。

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

知らない人に「お前とは婚約破棄をする」と言われました。私の婚約者は貴方じゃありません。

あお
恋愛
エリスが学園のカフェテラスで人を待っていたら、見知らぬ男女がやってきて。 「お前と婚約破棄して、ユリアと結婚する。もう決めた事だ。ヴェラー伯爵には話をつけてある。ユリアを妻として、俺が婿養子に入るって事をな」 と婚約破棄を宣言した。 誰かとお間違えでないですか?  いや、でも女の方、面影があるわ。 お母様が亡くなった後、喪が明ける前に元父が連れ込んだ愛人の子。 ヴェラー家とは縁を切ったはずなのに、これはなんの嫌がらせかしら。 私は、アウリーデ公爵令嬢。 あなた達、こんな公衆の面前で、公爵令嬢を侮辱して、ただで済むとは思わないことね。 遅れてやって来たエリスの婚約者ルイス。 エリスを完璧にエスコートしながら、エリスに喧嘩を売った二人に格の違いを見せつけつつ誤解を解いていく。 元実家のトラブルに巻き込まれたエリスと、彼女の婚約者ルイス。愚かなお猿さんたちの話。 全7話完結。予約投稿済です。

要らない、と申しましたが? 〜私を悪役令嬢にしたいならお好きにどうぞ?〜

あげは
恋愛
アリストラ国、侯爵令嬢。 フィオラ・ドロッセルが私の名前です。 王立学園に在籍する、十六歳でございます。 このお話についてですが、悪役令嬢なるものがいないこの時代、私の周りの方々は、どうやら私をそのポジションに据えたいらしいのです。 我が婚約者のクズ男といい、ピンクの小娘といい…、あの元クズインといい、本当に勘弁していただけるかしら? と言うか、陛下!どう言う事ですの! ーーーーー ※結末は決めてますが、執筆中です。 ※誤字脱字あるかと。 ※話し言葉多め等、フランクに書いてます。 読みにくい場合は申し訳ないです。 ※なるべく書き上げたいですが、、、(~_~;) 以上、許せましたらご覧ください笑

処理中です...