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260話 レオンハルトside

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セリスティア様が帰国する馬車が出て約1時間が経過した。

それなのに、僕は、というと

「もうシャルロットは門を通過したのかしら?」

「でも、まだ門番からの連絡がないですよね」

と言う公爵夫人とブレイド様の3人で優雅にお茶を楽しんでいた。

いや、そもそもシャルロット様を見送ったらすぐに返ろうと思っていたのは確かなんだけど.......夫人に誘われて、しかもブレイド様にも声をかけられてしまったら流石に断れなかったというか......。

セリスティア様を婚約者に、と紹介してもらって、しかも婚約以外の件でも相当良くしてもらっている、ということで、誘われてしまうと断れないんだよね。

正直、セリスティア様がいなくなってすぐに逃げる様に帰ったシャリア様を少し羨ましくも感じてしまうよ。

そう思いながら、何杯目かわからないお茶を口に含んだ。

すると、僕がお茶を飲んだのとほぼ同時くらいにコンコン、と控えめに応接室の扉がノックされて

「奥様、旦那様がお呼びです」

僕たちのことをチラチラと見ながら、メイドがそう言ってきた。

まぁ、こうやって当たり前のように夫人とお茶を楽しんでいるけど、本来は相当忙しい人だからね。

公爵も夫人のことは相当頼りにしているし、こんなところで時間を潰していてもいい人ではないんだよ。

そう思いながら、夫人の方に視線を向けると、どうやら公爵に呼ばれるとは思ってもいなかったみたいで

「あら?今日は特に何もないと思っていたんだけど.......何かあったのかしら?」

首を傾げながら驚いた顔をしている。

.......ということは、本当に予定がなくて今日はゆっくりと出来た、ということなのか。

てっきりセリスティア様が国に帰ってしまったら、僕がここに来ることはなくなってしまう、ということで、最後のお茶会をしているものだと思っていたんだけど.......。

なんて思いながら、

「ちょっと席を外すわね」

と言って急ぎ足で部屋を出た夫人の背中を見送った。


さて、つまりはブレイド様と2人きりになってしまった、ということだけど.......正直、2人だけで話をしたことがないから、何の話題を出すのが正解なのかわからないんだよね。

ブレイド様の好みや趣味もわからないし........。

ただ、黙っているわけにもいかないだろうから何かは話さないといけないんだけど......。

そう思いながらブレイド様の方をチラッと見ると、どうやら僕と同じことを考えていたであろうブレイド様も、僕の様子を窺うようにチラチラと見ていると思ったら

「レオンハルト様はまだ時間の方は..........」

と聞いてきたから、

「あぁ、時間は大丈夫だが.......そろそろ帰らないと邪魔じゃないのか?とは思っている」

と素直に思っていたことを言うと、ブレイド様は

「そんな!邪魔なわけがないじゃないですか!」

手を横にブンブン振りながらそう言ってくれた。

ただ、面と向かって邪魔です、とは言えないだろうし......と考えたら、ダラダラと座っているのも違うのかもしれない。
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