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259話

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とりあえず、門番からの話も聞きましたし、馬車を出すことになったのはいいですが、馬車の中ではなんとも言えないような、重たい空気が流れていますわ。

まぁ、ネイトが馬車の中に乗り込んできた時から空気は重たかったんですけどね?

ただ今回の出来事と、門番からの話を聞いて余計に重たい空気になってしまったといいますか.......どんな顔をしていたらいいのかわからない、というのが正解なのかもしれませんわね。

そんな空気に耐えられなくなった私は、わざとらしく大きくため息をついた後に、

「一体誰がこんなことを指示したのかしら?」

と頬に手を当てて呟きましたわ。

すると、私の言葉を聞いてユーリがすかさず

「お嬢様、ということはきっと貴族の令嬢ですよね」

と話に乗ってきましたわね。

多分ですが、皆この話題について触れたかったと思うんですのよ。

ただ、どうやって話始めたらいいのか、という感じで、周りの様子を窺っていたんですのよね。

その証拠に、私の呟きを聞いたユーリもミリアもディアもノリノリで会話を進めようとしていますもの。

そんな3人を苦笑しながら眺めながら、ネイトから聞いた門番の話を頭の中でまとめてみましたわ。


まず、お嬢様だと言っていたので、あの馬車に乗っていた人たちに指示を出したのはお金持ちの家なのは確かなんですのよ。

ただ、お金持ちの平民が......とはなかなか考えられませんわよね。

だって、いくら従者がいるとはいえ、そのようなくだらない指示を出すほどの人数がいるとは思えませんもの。

そう考えると、やっぱり指示を出したのは貴族の令嬢、ということになりますよね。

なんて思いながら、何とも言えないような複雑そうな顔をしている3人に

「多分だけど指示を出したのはレオンハルト様関係の令嬢だと思うのよね。レオンハルト様に好意を持っている令嬢.......と考えるのが普通だと思うわ」

と私が言うと、すぐにミリアが

「やっぱりそうですよね」

と頷いてくれましたわ。

ディアは、というと小さく息を吐きながら

「でも、まさか帰国する日にこのようなことをしてくるとは誰も思っていませんよ」

そう言って、肩をすくめていますわね。

気持ちはわかりますし、私もそう思いますわ。

.....って、よく考えてみると私が帰国する日を狙ってきたのであれば、近い関係の人ですわよね?

だって、私が今日帰国することは、伯父様達とレオンハルト様、シャリア様と陛下たち以外は知らなかったはずです。

それなのに、わかっている、ということは誰かが情報を流しているか、もしくは伯父様やレオンハルト様達と近い関係の人が教えている、と考えるのが普通ですわよね?

......いや、考えてもわかりませんし、今はとにかく無事に家に帰ることだけを考えましょう。

そう思った私は、難しそうな顔をして考え込んでいる3人に

「とりあえず、伯父様達のところに連れて行ってくれるのよね。だったら後は連絡があるまで待つしかないのかもしれないわ」

苦笑しながらそう言うと、3人とも私の言葉に頷いてくれましたわ。
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