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244話
しおりを挟むカティ様の話をした私とリーシャ様は、話しは終わり、ということで違う話題に変えて楽しんだのは良いですが.....やっぱり心のどこかでカティ様のことが引っかかってぎこちないまま帰宅の時間になってしまいましたわ。
まぁ、最後にリーシャ様と話が出来ただけでも嬉しいことですわよね。
教え子として、ではなく、この国の伯爵令嬢として話すことが出来たのも私にとっては凄く嬉しかったですわ。
そう思いながら、応接室から自分の部屋.......いや、客室へと戻ってきましたが.......
「随分と綺麗になりましたわね」
部屋に入ってすぐに、そんな言葉を発してしまいましたわ。
あぁ、もちろん毎日しっかりと掃除をしてくれて、部屋を綺麗に使っていた、ということもあって普段から綺麗な部屋なんですのよ?
ですが、今の客室は普段よりも綺麗といいますか.........。
そう思いながら部屋をグルっと見渡していると、私の声を聞いたミリアがすかさず
「長い間お世話になりましたからね。これくらいにはしておかないと申し訳なくなりますよ」
と返事をしたかと思ったら、まだ細かい場所の掃除をしていますわ。
今は、部屋の角の埃をとっている最中、という感じかしら?
既に黒くなっている雑巾を片手に、ゴシゴシとふき取っていますわね。
そのすぐ近くには
「久しぶりに本気で掃除をしたような気がします.......」
「わ、私はここまでしっかり掃除をしたのは初めてですよ.......」
と疲れ切った顔をしているユーリとディアを見ると、ミリアに相当しごかれたみたいですわね。
私が使っていた部屋なので、なんだか申し訳なく感じますわ。
なんて思いながら、3人に感謝と労いの言葉をかけていると
「それで、リーシャ様が来たんですよね?なんだったんですか?」
興味津々という感じでユーリに聞かれましたわね。
家庭教師をやっていた期間の間に、ユーリもリーシャ様とは相当仲良くなっていたので気になったんでしょう。
まぁ、ユーリ曰く人見知り同士で通じ合う何かがある、とのことですが........いまだにユーリの人見知りは信じていませんわ。
だって人見知りの人が、初めての人を相手に話しかけることは不可能だ、と思っていますもの。
.......って、今は関係がないことですし、あまり言うとユーリが拗ねてしまうので言いませんけどね。
「授業もないのにここまで1人で来るなんて凄いですよね。前だったら絶対無理だったんじゃないですか?」
とディアも感心していますわね。
これには思わず勢いよく頷きそうになりましたわ。
だって、あまり関りのなかったディアがそう感じるほどリーシャ様の成長は凄いんですもの。
「まぁ、簡単に言うと今までのお礼と他愛のない話をしたかった、みたいな感じかしら?ほら、なんだかんだで、教え子と先生、という感じでしか接していなかったから」
と私が言うと3人とも納得してくれたみたいで、なるほど、と頷いていましたわ。
カティ様のことは.........伯母様の耳に入れておくとして、この3人には言うことじゃないですし、言わなくてもいいでしょう。
そう思いながら、手垢の1つもない綺麗な窓からジッと外を見つめましたわ。
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