私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

231話

急にシャリア様の機嫌が悪くなってしまったことについて動揺した私は、思わずレオンハルト様に視線を向けましたが、どうやら気付いていないみたいですわね。

ニコニコしながらメイドにお茶を用意するようお願いをしていますわ。

え、えぇ......？

シャリア様はなぜそのような顔をしているのかわかりませんが......そ、そのような顔は品のあるシャリア様には似合いませんわよ？

なんて思いながら、気付いた時には相当シャリア様を凝視してしまっていたので、流石に私の視線に気付いたシャリア様が焦った様子で鋭かった雰囲気を普段のものに戻していましたわ。

ただ、メイドにお茶の指示を終えたレオンハルト様に対して

「今日は私が来ることを知っていたんじゃないのかしら？なぜ来ましたの？」

と睨みつけながら質問していますわね。

え....もしかして、ですがレオンハルト様とシャリア様は中が悪いんでしょうかね？

まさか顔を合わせるだけで、こんなにも空気が重たくなるとは思ってもいませんでしたわ。

そう思いながら、今度はレオンハルト様に視線を向けると、こちらはシャリア様とは真逆で、物凄く良い笑顔を向けながら

「そろそろセリスティアも国に帰ってしまうから、今のうちに会っておこうと思ってね」

と答えていますわね。

確かに、もう少しで国に戻ることは元々決まっていたことですが........とはいえ、レオンハルト様とは昨日も会っていますし.......。

あ、シャリア様とも昨日会っていましたわね。

そう考えると、別に毎日会わなくても........い、いや、それはちょっと冷たすぎますわね。

なんて思っていると、さっきまで睨み合っていたシャリア様がいつの間にか私の方を向いていて

「そういえば、いつ戻るか決まりましたの？」

と聞かれましたわね。

いつ戻るか、ですか......。

そういえば、まだ2人には話をしていなかった、と思った私は

「えっと......昨日伯母様と話をした時に1週間後くらいに、と決まりましたの。今日、あっちの国の陛下にも手紙を書きましたし、一応我が家の経営を頑張ってくれている叔父様にも話が伝わるように頼んでいますわ」

と言うと、シャリア様が少し寂しそうに微笑みましたわね。

これはもしかして、私が国に帰ってしまうことを寂しがってくれている、とかでしょうか？

そうだとしたら物凄く嬉しいですし、帰るのが寂しくも感じますわね。

なんて思いながら、寂しそうに微笑むシャリア様に、思わず私も苦笑していると、話を聞いていたレオンハルト様が

「まぁ、僕の場合は卒業してからセリスティア様と一緒にいられるけど、シャリア様は難しいですしね。なんだか邪魔をしてしまったみたいですみません」

とシャリア様に言うと、何やら苦虫を噛み潰したかのような顔をしながら

「別に私だって王妃になりたくてなるわけでもないのに、本当に嫌な話ですわ」

そう言いましたわね。

確かに、パーティーの次の日に会った時もシャリア様は王妃になりたくない、みたいなことを言っていましたもの。

なんだか可哀そうといいますか......少し複雑ですわよね。